自分を好きになれたほうが恋愛はうまくいきやすい
カウンセリングではこのようなご相談をいただくことがあります。
「彼のことが好きだけれども、一緒にいるとつらいです。大切にされていないと感じることもあるし、我慢することも多いです。でも彼が大好きです。どうしたらうまく付き合えますか?」
「彼はどんな人なのですか?」と聞くと、こんな答えが返ってきます。「彼は自由奔放です。自分のやりたいことを優先するし、嫌なことは嫌だとハッキリ言う。私はいつも振り回されてばかりです」と。
私は思います。「自分とかけ離れた真逆のタイプとお付き合いをしているのだな。それはつらいかもしれないな」と。つまり、シャドウタイプの男性に惹かれているのだなと思うことがあるのです。
「シャドウ」とは自分と正反対の人。自分が決してしないことをする人。自分にとってのタブーを平気で破る人のことをいいます。
大人しくてまわりの空気をすごく読むような女性が、押しが強くてスバズバ言うようなタイプの男性と付き合っていたり。他人を優先して自分を後回しにしている女性が、人のことなど全く気にしないような俺様タイプの男性の隣にいたりします。
世の中にはこういう正反対のカップルが、けっこう多いとは思いませんか?
◆自分と似た人を好きになるか、ならないか?
私たちが誰かを好きになるのは、大きく分けると2つのタイプのどちらかになりやすいといわれています。それは「自分と似た人を好きになるか」「自分と異なる人を好きになるか」です。
どちらが良い悪いという話ではありません。ただ、自分と似た人を好きになるためには、ある程度自分を好きでいられる必要があります。自分の性格をある程度受け入れられているからこそ、自分と似た性格の人を好きになることができるわけです。
でも、自分のことが嫌いだとしたらどうでしょうか。自分と似たタイプの人のことは選ばないと思いませんか?
気が弱い自分が嫌いな人は、どんなにやさしそうに見えても気が弱い人を好きになれないでしょう。怒りっぽい自分が嫌いな人は、どんなにエネルギーに満ち溢れていたとしても短気な人のことを好きにはなれないでしょう。
何が言いたいかというと、自己嫌悪が強めな人のなかには、自分と大きくかけ離れた真逆のタイプばかりを選んでお付き合いをする人がいるようなのです。
シャドウには、自分が生きることができなかった、人生の反面が映し出されています。「私も彼のように生きてみたかった。私もあんなふうに生きてみたかった」というシャドーに惹かれて好きになっている場合があるのです。
「本当は自分がそう生きてみたい。でも、そう生きることを諦めているとき、その要素をパートナーという形で手に入れようとする」といったらわかりやすいでしょうか。
自由奔放に生きてみたい。でも、それを諦めて従順に生きてきた。そんなときに自由奔放に生きている人に心が惹かれるわけです。
◆自分と似た人を好きにならない理由
真逆のタイプのパートナーと付き合うことには、じつは目的があります。そんなふうに生きている人の近くにいれば、自分もそう生きられるようになるのではないかという期待があるのです。
そう生きている人を近くで見れば、そう生きる方法がわかる気がするのです。そういう人と一緒にいたら、自分も一緒にそうなれる気がするのです。
でも実際は、そんなふうに生きているパートナーを陰で支える役目を担うことが多く、自分は日陰の存在のまま。ここに関係性の苦しさが現れてくることが多いのです。
人はシャドウに対して、嫌悪感も感じるけれども嫉妬心も感じる、不満も感じるけれど魅力も感じる、批判も感じるけれども憧れも感じるといった、相反する感情をもっているのです。
そこに「一緒にいるとつらい。でも好きで離れられない」といった複雑な感情を抱えている人がいるようです。
自分とかけ離れた真逆のタイプを好きになる人は、自分と似たタイプの人にアプローチをされても、魅力を感じられないので好きになれないという話を聞きます。
それは、自分のやさしさに魅力を感じていないから、やさしい人に魅力を感じない。自分の穏やかさをさほど良いものだと思っていないから、穏やかな人をさほど良いと思えないともいえるのです。
自分を大切にしてくれそうな人はいくらでもいるのに、そういう人に魅力を感じられないのは、自分自身のことを好きではないところにも由来しているのです。自分を好きになれたとしたならば、好きだと思える自分に似たご縁が新たにできるかもしれません。
心理学では「自分を好きになれたほうが恋愛はうまくいく」といいますが、シャドウの観点からみてもそのとおりなのです。
(完)