「どう楽しもうか?」という見方・考え方
こんばんは
神戸メンタルサービスの平です。
私たち人間というのは、どうも、「自分が見たいように」ものごとを見たり、「自分が聞きたいように」話を聞いたりしているようです。
客観的に見たり聞いたりしているようで、じつはとても主観的に、状況を判断していることが非常に多いというわけですね。
たとえば、あなたの自己概念の中に、「男は浮気するもの」というものがあったなら、いつも疑い深い目で彼氏やご主人のことを見てしまうと思いませんか?
彼がどんなに誠実な人であったとしても、あなたは、「そんなの、恋愛初期だけのことよね」とか「もう、ムリしちゃってぇ」など思っているかもしれません。
すると、ついそんな反応をしてしまったり、実際、口に出してそう言ってしまったりするかもしれません。
あなたの目には、彼の誠実さもよく見えません。
実際に彼がどんなに誠実であったとしても、あなたの目には“偽善”に見えてしまったりするわけです。
そんなことが続くと、彼のほうも、だんだんだんだん、自分がなんだかすごく無駄なことをしているように感じるようになってきます。
バカバカしくなってきて、「どうせ、疑われるなら‥‥」と思ったりして、そして、浮気をはじめることもあるかもしれません。
すると、あなたは、「ほーら、やっぱり!」と思うわけですが、まさか、自分の態度が彼を浮気に走らせる一因になったなんて、思いもしないでしょう。
私たちのほとんどが、「自分が見たいように」ものごとを見ているということにあまり気づいていません。
もっと言えば、じつは、私たちには、ほんとうのことなど、なにも見えていないかもしれないのです。
そこで、私たちカウンセラーが、つらい状況を抱えたクライアントさんにラクになっていただきたいと思うとき、「ものごとの見方を変える」お手伝いをさせていただくことがあります。
以前、私は震災の被災者の方の電話カウンセリングをさせていただきました。
彼は、住宅ローンを払い終え、ようやく肩の荷を下ろしたところでした。が、震災時の津波で家が流されてしまい、ふたたび住宅ローンを組み、家を建てなければならなくなったのです。
「もう、ほんとにウンザリです」と彼は言いました。
「やっと住宅ローンから解放されたと思ったのに、これからまた何十年も払わなければならないなんて‥‥。最悪ですよ!」
そう訴える彼に、私は「よかったじゃないですかー」と答えました。
「なんにもよくないですよ。もう、ウンザリですよ!」、そう言う彼に、私はもう一度、「でも、よかったじゃないですか」と言い、こう続けました。
「だって、あなたには、家を建ててあげたいと思う家族がいらっしゃるんでしょ。仮設住宅や県営・市営の住宅で過ごすという手もあるけれど、なんとかして大きな家を建てて、家族を住まわせてあげたいと思うんでしょ。だからこそ、もう一度、住宅ローンを組むという選択をしようとしていらっしゃるわけですよね。それだけの苦労をしてもいいと思えるほど、大切で、素敵な家族をあなたは持っている。ほんとうに、よかったですね」。
この言葉をじっと聞いていた彼は、こう答えました。
「そりゃ、そうだね。うちはだれ一人、死ななかったからね‥‥」。
そして、最初とはうってかわって、気分もよくなったようで、最後は、「がんばるしかないね」と笑顔で電話を切られたのです。
男女関係も同じです。
あんなひどいケンカをしても、まだ、いっしょに暮らしたり、ごはんをつくってあげたり、洗濯してがげたりしようと思う‥‥。それほどの関係性をもっていることの幸せを、ちゃんと感じたりすることはあまりないようです。
先日、50代前半で会社をリストラされ、なかなか再就職先が決まらないという男性にお会いしました。
彼の奥さまは、家の中で所在なく過ごしている時間の多い彼に、こんな話をしてくれたそうです。
「友だちのご主人は海外赴任をしていてね、彼女はずうっと一人なの。だから、こう言ってやったのよ。“うちのダンナは24時間家にいるので、あたしはぜんぜん淋しくない。どう、うらやましいでしょ”って」。
そう言われ、彼は不思議そうな顔で、奥さまの顔を見つめたといいます。
そのご夫婦にはお子さんがいらっしゃらず、奥さまにはご主人よりよい稼ぎがあったので、こんなふうにおおらかに、彼を励ますようなことが言えたのかもしれません。
しかしながら、この奥さまのような発想ができたなら、ネガティブな状況にあるときさえ、それを「どう楽しもうか?」という見方・考え方ができるのではないでしょうか。
もし、みなさんが、なにかの問題にハマッてしまうことがあったとしたら、「違う見方をしてみたい」と望んでみてください。
ただそれだけで、問題が解決に向かうためのインスピレーションが湧いてくることもあるのです。
では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!