自分を大切にする一年に

私たち夫婦にとって、1月は結婚記念日がある月です。
正確に言うと、私たちは籍を入れてない事実婚。
なので、結婚パーティーを開いて、参加してくれた家族・友人の前で「結婚します」と誓った日を結婚記念日としています。

13年前のその日、私たちは結婚パーティーに集まってくれた方々の前で、「誓いの言葉」を宣言しました。

この「誓いの言葉」、毎年読み返すわけじゃないし忘れてることの方が多いのだけど。
そういえば、どんな誓いを立てたのか、今年はお正月にあらためて読み返してみました。

私たち夫婦の個人的な誓いで、お恥ずかしい限りですが、思い切って公開しますね。

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誓いの言葉

●食事、睡眠、洗濯、掃除、入浴など、毎日の基礎的な生活を大切にします。家族みんなが健康で豊かに生きられるよう、意識して協力し合います。

●いつも一緒に喜んだり悩んだりできる二人でいられるように、自分の気持ちを言葉にして伝えることを大切にします。意見が食い違った時でも、お互いに耳を傾け、あきらめずに話し合います。

●迷った時には、「どうしたいのか」を一番大切にして一緒にこたえを探し、お互いが自分らしく歩めるよう励まし合います。

●私たちは、多くの人に支えられ、皆の中で成長してきました。これからも、周りの人たちとのつながりを大切に、支え合える関係をつくっていきます。

●仲良く楽しく面白く、二人で力を合わせて、私たちらしい家庭を築いていきます。

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読み返してみて、まず感じたのは「私たち、意外と良いコト書いてるな~」っていうこと(笑)

夫と二人で「誓いの言葉」を眺めながらアレコレ話しているうちに、だんだんと、この文言をつくったときのことが思い出されてきました。

私たち、結婚パーティーの直前ギリギリまで、夜なべして「あーでもない、こーでもない」ってお互いが納得するまで話し合ったな。
この「誓いの言葉」が、私たち夫婦の核のようなもの。
どんな宝物よりももっと大切にしたい、二人で練り上げた作品であり、私たちが自分に誓った約束。
あらためて、そんなふうに感じられました。

それなのに。
一方で、「いやいや~、そんな大したモンじゃないでしょ!」って思っている私もいるんです。

「意外と良いコト書いてんじゃん」とか、「真面目だったな~(笑)」なんて、ちょっと茶化したくなっちゃう気持ちもあったりして。
この「誓いの言葉」を大切にしたい思いも確かにあるのに、まっすぐ大切にできない私。
心の中は一体どうなってるんだろう? そのわけを知りたくて、数日の間、自分の気持ちに向き合うことになりました。

そして、思ったんです。
「もしかしたら『私のキャラに合わない』って感じてるのかも」と。

「自己概念」とか「セルフイメージ」って言ったりしますが、私たちはみんな「自分のことをどのような存在だと思っているか」というイメージを持っています。

たとえば、「私は男性から愛される」という自己概念を持つ女性がいるとします。
彼女は自分が男性から愛されると感じているので、気に入った男性に「今度ゴハンに連れていってください♪」ってお願いしやすかったりするんですね。

一方、「私は男性から愛されないどころか、嫌われる」と思っている女性がいるとしましょう。
この人が、「私は男性から愛される」と思っている女性と同じように、気になる男性に気軽に「ゴハンに連れていって」って言えるかというと……もう、絶対、口が裂けても言えないと思いませんか?
なんなら、好きな人から「今度ゴハン行こうよ」と誘われても、「勧誘か何かに違いない」なんて疑っちゃうかもしれません。

こんなふうに、自分がどんな自己概念を持っているか?によって、現実の行動や言葉に影響することがあるんです。
もっと言うと、私たちは、自己概念と一致する情報を集めやすく、一致しない情報は入ってこないことが多いんですね。

じゃあ、私自身はどんな自己概念を持っているかというと。
「私は、けっこう真面目で誠実な人間である」と感じています。ここは問題なさそう。
だけど「私はだいぶマヌケでしっかりしてない」とか、「私は立派でもステキな人間でもない」という自己概念もあるんです。

冒頭にご紹介した「誓いの言葉」、けっこう立派でステキだと思いませんか?
何を隠そう、私は思いました!
なんか、しっかりしてる人が書きそうな文言だなって。

そうすると、私の自己概念と、「誓いの言葉」をつくった自分のイメージが一致しないので、「私のキャラじゃない」って違和感を抱くんですね。

このときに「そうか、私って意外とちゃんとしたステキな人間なのかも」って、自己概念の方を修正できると良いのだけど。
私たちの心は自己概念の方を大切にして、それとは一致しない情報は重視しなかったりするんです。

ところで、私がカウンセラーをやっていて、とても良いことが一つあります。
それは、いつも自分自身に投げかけている言葉について、「クライアントさんに対しても、それを言う?」って自分に問うようになったことなんですね。

実は、このコラムに「誓いの言葉」のことを書いてみようかなって思いついたときに私が感じたことは、「いやいや、こんなん他人様に見せるほどの大したもんじゃないでしょ」ということでした。

そして、自問しました。
「クライアントさんに対しても、私は同じことを言うかな?」って。
答えは、もちろんNOです。
もしも私が、その人にとって大切な大切なものを見せてもらえたとしたら。
たとえばそれが擦り切れたハンカチ1枚だったとしても、一緒に大切にしたいなと思いました。

なのに自分自身に対しては、ちょっと冷たすぎるくらいの塩対応。
私たちは、自分に対してはほんとうに厳しいんですよね。

それからもう一つ、自問しました。
今の私のネガティブな自己概念と、13年前の私たちが書いたステキな「誓いの言葉」。
私は、どっちの方を大切にしたい?
もちろん、後者を大切にしたいなって思いました。

だから、私は決めることにしました。
まずは私が、私自身の大切にしたいものを、ちゃんと大切にしてあげよう。
自分のことを愛してあげられる人になろう。
今年最初の、私の決意です。

みなさんは、誰を、何を大切にしたいでしょうか?
大切な人、大切なものを、しっかり大切にしてあげられるように。
まずは、ご自分のことを大切にしてあげることから始めてみると良いのかもしれません。

なんだか今年は、「自分を大切にする」ことをがんばる一年になりそうです。
ご一緒に、自分自身を大切に愛しながら、新しい年を歩いていきましょうね。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

職場の人間関係をきっかけにうつ病になった経験を持つ。夫婦関係を見つめ直し心身ともに回復してきたことから「彼との距離が遠い」「人に頼れない」など恋愛・人間関係のご相談を得意とする。なんでも話せる安心感と、深い共感力に定評がある。クライアントの魅力や才能を引き出すことを大切にしている。