新しい仕事を任されたときの、ポジティブ反応・ネガティブ反応

仕事をしている中でチャレンジ(挑戦)をする機会というのは、意外とあるものです。
チャレンジというと、前向きでやる気のある人に向けられる言葉のように聞こえるかもしれませんが、要はやったことがないことを、なんとかしてできるようにする、ということと言えるかもしれません。

たとえば、
・やったことのない作業をする。
・お客様に新しい企画のプレゼンをする。
・新しい上司のもとで働く。
・対応したことのない問題を解決する。
などなど。

そしてチャレンジする機会が目の前にやってくると、人には大きく分けて二つの反応があるかもしれません。
たとえば上司に新しい仕事を仰せつかったとすると、

え?どうしよう、いやだな。というネガティブな反応
やった!うれしいな。というポジティブな反応

です。

ネガティブな反応をしやすい人は、新しい仕事を任されて喜ぶ人の気が知れないと思うかもしれませんし、逆にポジティブな反応をしやすい人は、チャレンジを嫌がる人の気が知れないと思うかもしれません。

チャレンジすることへの反応の違いがあることを知っておくと、職場で仕事を円滑に進めるヒントになるかもしれません。

◇自分への評価

新しい仕事を任されたときに、「なぜ上司はこの仕事を私に任せることにしたのだろう。」と考えることがあるかもしれません。
このとき、「きっと私のことが嫌いだから、面倒な仕事を私に押し付けておけばいいと思ったのではないだろうか。本当に私は不運だ。」と思う人もいれば、「きっと私のこれまでの仕事ぶりを見て、私になら任せておけば安心と思ったのではないだろうか。認められたなんて嬉しいな。」と思う人もいるでしょう。

どちらも上司からたいした説明もないうちに新しい仕事を任せられたのかもしれませんが、ネガティブに受け取ってしまうと、こんな新しい仕事なんてやりたくない、と思っても不思議ではありません。

ただ、ここで注意すべき点としては、「きっと私のことが嫌いだから」も、「きっと私になら任せておけば安心と思った」も、どちらも上司にそう言われたわけではないことが多いということです。
私たちは、自分自身のことをどう評価しているのかによって、他人からどう思われているのかを勝手に決めていると言えるのかもしれません。
私は嫌われる存在だと思うのか、私は良い評価をされる存在だと思うのかによって、仕事への意欲の差を生むこともあるのではないでしょうか。

◇他者への信頼

新しい仕事に着手すると、慣れないためにしばらくの間はうまくいかなかったり、どうすればいいのか悩んだりすることもあるでしょう。

そのようなときに、心の中で「できる、できる!」というように、自分に対して「大丈夫だ、できるぞ」と、鼓舞するような声かけを無意識にしている人がいます。
その一方で、自分に対して無意識に「無理かも。できないかも。」と不安で前に進むことを躊躇させるような声かけをする人もいるかもしれません。

やる前からなんの根拠もなく「大丈夫だろう」と思える人は、成功体験が多いから自信があるのだと考えることもできますが、実はそれだけではなく、失敗してもなんとかなるという楽観さがあると考えられるのです。
その楽観さは「私は失敗しない。」という思いから来ているのではなく、たとえ失敗しても、同僚や上司その他の人たちに助けを求めれば、きっと手を差し伸べてくれるだろう、そうすればきっと何とかなるだろうと思っていることが考えられるのです。
これは他人に依存しているわけではなく、自分で精一杯のことはやるが、もし失敗してしまったとしても色んな人の力を借りればなんとかなるだろうという、他者への信頼が「大丈夫だ」という思いにつながっているのかもしれません。

一方、大丈夫だとなかなか思えない人の中には、絶対に失敗してはいけないという強い思いがあることが考えられます。
もちろん失敗しないように尽力することは良いことですが、「絶対に失敗してはいけない」と思うと、かえって「失敗したらどうしよう」と不安を覚えるものかもしれません。
また、万一失敗でもしようものなら、すべての責任を自分が負わなければならないと思うかもしれません。
すると「失敗してはいけない」気持ちが一層強くなり、ガチガチに緊張したり、そのような責任を自分が背負うことはできないからと、仕事そのものに消極的になってしまうかもしれません。
これらは失敗の責任は自分が負うのだという責任感の強さと捉えることもできますが、実は誰のことをも信頼せず、ひとりで頑張ろうとする孤独なやり方と言えるのかもしれません。

人は完璧ではありませんし、できることとできないことは人それぞれです。
自分ができない部分と他人ができない部分をお互いに補い合ってもいいのだと思えると、失敗することへの怖れが軽減され、新しいことにチャレンジしてみようと思えるのではないでしょうか。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

職場の人間関係、夫婦・家族の問題を主に扱う。 「解決したい問題がある時に、悪いところを探して正そうとするのではなく、自分の魅力や才能を受け取れば物事を全く別の見方で捉えることができ、自分の枠から自由になり、のびのびと楽に毎日を送れるようになる」というスタンスでカウンセリングを行っている。