仕事と心理学 〜自己肯定感について〜

教育や対人関係などでもよくキーワードになる自己肯定感ですが、この自己肯定感が高いと自信が持てるだけでなくポジティブな考え方が出来るようになり、仕事のパフォーマンスにも大きく影響するものです。

自己肯定感が高い人はずっと高いままで、自己肯定感が低い人はずっと低いままではありません。
時と場合、状況によって自己肯定感が高くなったり低くなったりするものです。
できることなら自己肯定感の高い状態を保ちたいですよね。
そんな自己肯定感について解説していきます。

●自己肯定感とは

自己肯定感とは、自分がどんな人間であったとしても、ありのままを受け入れ、自分自身を肯定的に捉える感覚のことです。
自己を肯定する感覚のことですから、「今の自分は良い」「ありのままの自分で良い」と肯定的に感じることができていれば自己肯定感が高いと言えますし、「自分はダメだ」と自分を否定していたり、「今のままの自分で良いはずない」とありのままの自分を受け入れられないと感じている人は自己肯定感が低いと言えます。

●2つの自己肯定感

(1) 無条件の自己肯定感
「ありのままの自分で良い」「自分自身に価値がある」などのように無条件で自己を肯定できる自己肯定感で、自己肯定感の基礎、土台になります。

(2) 条件付きの自己肯定感
「学歴がある」「お金がある」「スキルがある」「経験がある」など、条件を満たすことで得られる自己肯定感で、無条件の自己肯定感の上に積み上げられます。

条件付きの自己肯定感を多く持つことも大切ですが、基礎、土台となる無条件の自己肯定感がしっかりしていないと、何かトラブルがあったときなどにブレやすく自己肯定感が低くなりやすくなってしまうので、無条件の自己肯定感をしっかり持つことが重要になってきます。

●自己肯定感の高い人、低い人

自己肯定感が高いと、「自分に価値がある」「ありのままの自分で良い」という感覚から自信や自分軸を持ちやすく、失敗を恐れず前向きな考えができるようになります。
何かトラブルがあったとしても、自分軸がしっかりしているため振り回されることも少なくなります。
また、他者にも肯定的な意識を向けやすくなるので良好な人間関係も築きやすくなります。

逆に自己肯定感が低いと、「今の自分ではいけない」「自分はダメだ」という感覚から自信を持てず、「どうせダメだ」と考えやすくネガティブ思考になりがちで、諦めやすく消極的になってしまい成功体験をすることも難しくなってしまいます。
仕事でも、自信の無さから「これで良いのだろうか?」と不安になりやすかったり、「どうせ言っても無駄だ」と上司や同僚といった誰かに意見や相談ができず、ひとりで抱えて無理をしてしまい、どんどん泥沼にハマってしまうこともあります。

●自己肯定感の高めかた

自己肯定感が高いと精神的にも安定しますし、トラブルにも巻き込まれにくく、良好な人間関係も築きやすくなるなどのメリットがありますので、自己肯定感を高める方法を3つ紹介します。

(1) 自分を肯定する意欲を持つ
当然のことですが、意欲を持たなければ何事もうまくいきません。
まずは、自分を肯定する意欲を持ちましょう。「ダメな自分で良いわけがない」「ダメなところは改善したい」と思うのも通常の考え方ですが、それでは土台になる無条件の自己肯定感を高めることが難しくなってしまいます。
肯定するということは、ダメな部分を正当化することではなく、より良くなることを諦めることでもありません。
ひとまず、自分のダメだと思っている部分をありのまま認める、受け入れる、許可して肯定する意欲を持ってください。
どうしても難しく感じるのなら、大切にしてくれた人、肯定してくれた人、愛を向けてくれた人を思い浮かべてみてはいかがでしょう。

(2) 自分の感情を肯定する
ネガティブな感情は感じたくないので、無意識に抑圧したり、否定したくなりますが、そういったネガティブな感情こそ丁寧に感じてあげてください。
不安、恐れ、悲しみ、悔しさ、怒りなど、「我慢しなければいけない」「怒ってはいけない」「思ってはいけない、感じてはいけない」とネガティブな感情は抑圧されたり、否定されやすいのですが、人は感情ある生き物です。
人の感情を否定したり抑圧をするということは、その人自身を否定し抑圧することになります。
感情をぶつけたり、抑圧したりするのではなく、「不安に思っている、それで良い」「怖くても良い」「怒りを感じてる自分がいる」と感じる感情をそのまま肯定してください。
感情を肯定することで、自分の気持ちに素直になり、自分軸を持ちやすくなります。
感情を我慢したり抑圧することが多い人だと、はじめのうちは感情を肯定することが難しく感じるかもしれませんが当然です。初心者なのですから練習が必要です。

(3) 自分を大切にする
自分を肯定することに意欲を持てたり、自分の感情を肯定する意欲を持つことでも、自分を大切にできているように思います。
あとは、より具体的に自分を大切にするために、自分を褒めたり、大切な人にしてあげたいことを自分にもしてあげてください。
「ありのままで良い」「よく頑張っている」「自分には価値がある」など、自分自身を肯定する言葉を声に出してかけることも効果的です。
どんなことがあっても、自分は自分の味方でいてあげてください。

いかがでしょうか。もちろん自己肯定感を高める方法はこれだけではありません。
人によって響く言葉も違いますし、より効果的な方法もあると思います。
仕事だけでなく、何かトラブルに見舞われた際、自分自身の心の安定のため、ブレない自分軸を持つために、自己肯定感を高められるヒントになれれば幸いです。

この記事を書いたカウンセラー

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我慢や犠牲的な生き方、依存的な恋愛、生きづらさを乗り越え、独立開業やカウンセラーになる夢を叶える。ユーモアに富んだ表現で心理学をわかりやすく伝え、クライアントの魅力や可能性を見続けて、クライアントと一緒に「その人らしく」「楽になる方法」を考えるスタイルに好評を得ている。