心の傷からできる観念もある
◆「結婚とは〇〇だ」=親を見て作った男女関係の観念
さっそくですが、観念チェックをしてみましょう。
「結婚とは〇〇だ」ここにどんな言葉が入るでしょうか?
メモを用意して、思いつく限りいくつでも書き出してみると良いでしょう。もちろん、ネガティブなものからポジティブなものまで、すべて書き尽くすつもりで。
親から見聞きしたことや言われたことなど、親の夫婦関係は自分の男女関係の観念になりやすいので、チェックしておくと良いでしょう。
たとえば、お母さんがお父さんに対する愚痴を子供に話すことがあります。
「お父さんは本当に自分勝手で、お母さんの気持ちなんて何も考えない人なのよ。お父さんはいつも平気で嘘をつくし、お母さんはどれだけその嘘に泣かされてきたことか。いいかい、お前はお父さんみたいな人と一緒になるんじゃないよ」なんて。
こんなふうにお父さんの愚痴を聞かされたときに、それを聞いて育った子供は、それをお父さんだけの話として聞いているわけではないのです。お父さんは世の中の男性代表の話として心に刻まれていくからです。
すると、「男は自分勝手で、女の気持ちなんて考えなくて、平気で嘘をつくものだ」というような、男とはこういうものだという観念になることがあります。親から見聞きしたことや言われたことを、そのまま取り込むことを「刷り込み」といいます。
刷り込みというのは、親の言うことを子供が完全コピーすることをいいます。つまりは親の観念を自分の観念として取り込んでいくのです。子供は親の言うことは疑いなく、コピーしまうところがあります。
親の言うことは正しいこともあれば、親自身の心の傷からできた、偏った観念もあります。自分もそのままの観念を採用していると、人生がうまくいかなくなることがあります。
両親の不仲さが、結婚に対する観念を作り上げていることがありますので、そんな時は自分が結婚に対して、どんなネガティブな観念をもっているのか、探ってみると良いでしょう。
「結婚とは忍耐である」「結婚とはお給料を全部奥さんに取られることだ」「結婚とは人生の墓場だ」とか、そんなことを書いている人はいませんか?
◆「人は○○である」=傷ついた経験が作る観念
次に皆さんに考えていただくのは、「人は〇〇だ」という観念です。もしネガティブなものがあれば書いてみましょう。
「人は冷たいものである」「人は嘘をつく」「人は自分を愛さない」など、いろいろ出てきませんか?
人に投影されているネガティブな観念は、あなたの心の傷を表しているのかもしれません。それは一体いつ、誰との関係で出来たものなのでしょうか?
たとえば、私の知人のAさんは「人を信用してはいけない」という観念をもっています。(※Aさんのご了承を得て書かせていただきます)
20年ほど前の話ですが、Aさんはお金を騙し取られたことがあるのです。古くからの友人が会社を経営していて「今、経営がピンチなので、お金を用立ててほしい」と泣きつかれたそうなのです。「200万ほどあればなんとかなる。必ず返すから助けてほしい」と。
Aさん自身も経営者でしたから、会社を潰したくない友人の気持ちは痛いほどわかります。でも、Aさんも経営がラクではなかったので、わざわざ銀行から借り入れをして、さも自分のお金のような顔をして気前よくポンと貸してあげたのです。
でも、そのお金が返ってくることはありませんでした。じつは計画倒産で、あちこちの人からお金を借りて夜逃げをされてしまったからです。当然Aさんは自分で200万円を返さなければいけなくなりました。
この心の痛みが社会に投影されると、「外の世界を甘く見ちゃダメだ」「世の中に騙されるなよ」「世間は何があるかわからないところだぞ」という観念になるのです。
傷ついた分だけ、傷つかないための「自分ルール」を作ります。観念をたどっていくと、そこにあなたの心の傷が眠っていることがあります。観念はあなたの癒すべき痛みを教えてくれることもあるのです。
さて、前回に引き続き、観念チェックの2回目はいかがでしたでしょうか?
いよいよ次回は「恋愛の観念」について探ってみたいと思います。
(続)
- 思い込み、こだわり、決めつけ、見えない心の鎖を外そう
- 観念はあなたの癒すべき心の傷を教えてくれる
- 親に愛されるために作った観念は、恋愛のルールになりやすい
- 「どうせ自分は〇〇だ」観念から自分を解き放つための実践編