あなたへの歓迎の証を見落とさずに気づいてほしいのです
こんばんは
神戸メンタルサービスの平です。
恋愛相談にはいろいろなものがありますが、なかには、話が結婚へとトントン拍子に進み、「いよいよ彼の実家に挨拶にうかがうことになったのですが、おかあさんになんとか気に入られる方法はありませんか?」という女性からの質問を受けることがあります。
この質問をいただくと、ちょっといじわるな質問を返します。
「気に入られる方法を僕に聞くということは、あっちのおかあさんはあなたのことが気に入っていないの?」。
すると、ほとんどの人は「いえ、べつにそんなことはないんですけど‥‥」とお答えになります。
こういう場面では、「なんとか、おかあさんに気に入られるようにしなくては」とか「失敗しないようにしなくては」と考えてしまうことが多いものです。
でも、あなたがそう思えば思うほど、あなたの意識は自分のほうばかりに向かってしまいます。
ヘアスタイルはどうだろうとか、洋服はちゃんとしているだろうかとか、靴が汚れていないだろうかとか、あなたの目は自分ばかりに向いています。
そして、一つでもヘマがあると、あなたは厳しく自分を責めてしまうのですが、それはまるで、彼のおかあさんから責められているかのように感じるのです。
だから、こういうとき、私はいつもこんなふうにアドバイスします。
「彼の実家で、あなたは必ず歓迎されるはずですよ。それを見つけて、そのおうちの人たちに伝えなさい」、と。
たとえば、あなたが自分のことばかりを見て、緊張していると、玄関を入って、彼のご両親に初めての挨拶するときも、自分のしゃべっている内容ばかりが気になってしまうでしょう。
すると、おとうさんやおかあさんがどんな表情で出迎えてくださったかとか、玄関がどうなっていたかとか、そういうところを見落としてしまうのです。
玄関はとてもきれいに掃除されていて、打ち水がされていたり、きれいな生け花が飾ってあったりするかもしれません。
その一つひとつが、あなたへの歓迎の証なのです。それを、見落とさずに、気づいてほしいのです。
そして、おかあさんがどんな思いで掃除をしたり、花を飾ったりされたのかを思いやってあげてほしいのです。
あなたがどれだけお行儀よく上品な作り笑いをするよりも、「おかあさん、きれいな生け花ですね。生けられるのに、お時間はかかりませんでしたか?」などと言ってあげたほうが、おかあさんはずっとうれしく感じるのです。
お茶とともに有名なロールケーキなんかが出てきたら、「おかあさん、このロールケーキ、買うのにものすごく時間がかかるんですよね。たいへんだったでしょ」と、こんなふうに見破ってあげてほしいのです。
そのすべてが、あなたが愛され、歓迎されている証なのですから。
彼の実家に挨拶をしにいくというと、まるで敵の本陣に乗り込むような気持ちになる人は少なくありません。
でも、ここで大事なのは、挨拶する相手は敵ではなく、自分の味方なのだということです。
これは彼の実家にかぎらず、すべてのことについていえることなのですが、日本人はとりわけ敏感に人の目を気にします。
心理学ではこれを“社会の目”というのですが、社会が味方ではなく敵だと感じてしまうことによって、緊張もするし、「敵に愛されるようなふるまいをしなければ」と考えてしまったりするのです。
それに対し、社会は敵ではなく、味方であるとあなたが思うことができたら、それだけで、あなたの表情からは緊張感も警戒心も消えます。
そして、あなたからは親密感があふれ、だれからもあたりまえのように愛されるわけです。
まるで、しっぽをふって駆け寄ってくる子犬のように、なぜか愛してあげたくなるわけです。
あなたが自分のまわりの人たちをどのような目で見るかで、あなた自身が人前にいるときの態度や表情が変わります。そのために大切なのは、自分はみんなから愛されるのにふさわしいと、あなた自身が思うことです。
そう思うことができた瞬間から、あなたはほんとうに愛されるようになるのです。
人から愛されるかどうかという問題は、あなたが人々になにをするかではなく、まわりの人々が自分を愛してくれるとあなたが思えるかどうかによって決まってくるわけです。
もしも、あなたが、彼の実家のご両親にこんなことを言えたなら、あなたはもっと愛されることになるでしょう。
「私は、彼に愛してもらっていると感じるたびに、彼もまたこんなふうにご両親から愛されてきたのだろうなと思っていました。だから、きょう、お二人にお会いするのをほんとうに楽しみにしていたんです」。
「自分は、愛されるにふさわしい」。
こう思うだけで、あなたの人生は変わってしまうのですよ。
では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!