人はなぜ怒るのか(1)〜怒りの正体〜

人はなぜ怒る?その怒りの正体とは?

人間には、喜怒哀楽という感情があります。実際はもっと複雑な感情があるでしょうが、分類するとなると喜怒哀楽と4つになります。その中で、一番取り扱いが厄介なのが「怒り」ではないかと思います。
一人でこっそり喜んだり、楽しんだり、泣いたりしてスッキリすることはできますが、一人で部屋に閉じこもって怒りくっても、なかなか解消しないのが怒りです。どのような時に人は怒るのか、怒りについての4回シリーズとなります。

私たちが感じる感情は多岐にわたります。

感情を4つに分類そうなると【喜怒哀楽】ということになりますよね。
その中で最も取り扱いが困難となるのが、怒りではないでしょうか。

喜べない、悲しめない、楽しめないという状況があっても、最悪な場合でも、一人っきりになればこっそり喜ぶこともできるし、泣きまくることもできる。
誰にも言わずにひっそりと楽しむことだってできます。

感情は、感じれば通り過ぎていくものですから、最悪な状況で一人ひっそりであったとしても、喜び、悲しみ、楽しめば、溜め込まずにすみます。
ですが、「怒り」だけは、ちょっと厄介なんですよね。

厄介だからこそ、怒りをコントロールしたくなる。
怒ると、人間関係が壊れてしまうことが多々ありますし、社会的にもあまり良い評価を受けられなくなりますしね。

怒りすぎて夜も眠れないでいると、翌朝の仕事に差し支えるし、怒るのはとてもエネルギーが必要になりますから、ものすごく疲れてしまいます。

大人であればあるほど、思考で「怒っても仕方ない」と考えますし、「怒っている自分が嫌だ」とも感じます。
なんとか怒らずにいられる自分になりたいと思うので、怒りをコントロールしたくなります。

ですが、怒りを抑え込んで理性的に振る舞おうとすればするほど、疲れてしまいます。

鳴り止まない目覚まし時計を、箱に押し込めるようなものですが、箱の中で目覚まし時計は鳴り続けている。
音は聞こえづらくなるけれど、鳴り止むわけではないのです。
怒りをコントロールしたいと思うのは、鳴り止まない目覚まし時計を入れる防音効果の高い箱を作りたいということなのかもしれません。
防音効果の高い箱を作ることができれば、鳴り止んでいなくても音は聞こえないですからね。

ただ、ここで問題が出てきます。
私たちは、喜怒哀楽という4つの音色がある目覚まし時計を持っていると想像してみてください。
怒りという音色が聞こえないように防音効果が高い箱に放り込んだら、喜も哀も楽の音色も聞こえなくなってしまいます。

怒りの音色が聞こえないように、目覚まし時計のスイッチを切ってしまうと、やはりその他の音色も聞こえなくなる。
無反応な目覚まし時計が出来上がってしまいます。

つまり、怒りを抑え込もうとすると、それ以外の感情にも鈍感になってしまい、怒りも感じないけれど、嬉しくも楽しくもなくなるという状態になってしまいます。

怒りも私たちが感じる大切な感情の一つです。
だから、怒りを嫌う必要はないのです。
問題なのは、怒りが大きくなりすぎて、周りや自分自身に当たり散らしてしまうことなのかもしれないですよね。

怒りの正体を知ることができれば、怒りが大きくなりすぎて、周りや自分に当たり散らすこともなくなってきます。
怒りはするけれど、生活に大きな影響が出なくなってくるのです。

人間ですから怒ることだってあります。

私たちが怒るのは、「愛してほしい」「わかってほしい」「助けてほしい」が言えない時だと言われています。
そして、これらが言えないのは、自分でもそのような気持ちがあるとわかっていないことが多いのです。
また、あまりに忙しかったり、我慢が多すぎて、いっぱいいっぱいになって余裕がないときもまた、「愛してほしい」「わかってほしい」「助けてほしい」が言えなくなるのです。

怒りの正体は、「愛してほしい」「わかってほしい」「助けてほしい」という気持ちなのです。
人間関係をより良くするには、愛することが大切ですが、それと同じくらい大切なのは、怒りの正体である「愛してほしい」「わかってほしい」「助けてほしい」を、伝えることなのです。

ただ大人である私たちは、「愛してほしい」「わかってほしい」「助けてほしい」などと自分が思っているとは、認めたくなかったりもします。
だからついつい、「私がこんなに腹が立つのは、あいつのせいだ」とか「もっと社会がこうであればこんな思いをしなくてもいいのに」と自分以外の誰かや何かのせいにしたくなってしまいます。

怒りの正体は、「愛してほしい」「わかってほしい」「助けてほしい」と自分自身が思っているのだと、受け入れることが、怒りとうまく付き合っていく第一歩なのかもしれません。

(続)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら
この記事を書いたカウンセラー

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