自己肯定感の高い人は「自己肯定感を上げねば」とは思いません
こんばんは
神戸メンタルサービスの平です。
昨今の流行りに“自己肯定感”というものがありますが、この自己肯定感を上げることにがんばってチャレンジしたという男性がカウンセリングを受けにおみえになりました。
そもそも自己肯定感の高い人は、「自己肯定感を上げねば」とは思いません。
つまり、「自己肯定感を上げねば」と思っている時点で、自己肯定感は低いといえますね。
彼はいろいろな本を読んでみたり、さまざまなチャレンジをしてみたりしたとのこと。
しかし、自分で自分のことを評価するのは難しいので、彼のことを昔からよく知る私に、自分の自己肯定感がどのぐらい上がったかをチェックしてもらいにやってきたということでした。
そこで、私はこんなときに使えるリトマス試験紙のような方法で彼の近況を確認してみることにしました。
「最近、男どうしのつきあいはどうなのよ?」
じつは、自己肯定感が高い人ほど同性の友だちが多いのです。
彼の場合も、男性の友だちといると劣等感を感じやすいので、そんな感情を感じさせられる男友だちと群れることはありませんでした。
一匹狼でいるのがラクでいいんですね。で、アフター5や休日もいつも一人で過ごしているわけです。
「そうですね、相も変わらず、単独行動が多いです」
「会社の同期とか、同じ部署の人たちと、ちょっと飲みにでもいったらどうなの?」
私の提案に、彼は激しく抵抗を示します。なにかの古傷が疼き、「どうせ、こんなおれと飲みにいったって、みんなつまらないだろう」という気持ちになるからです。
その痛みの下には、じつは不平不満も隠れています。「ぼくだって、みんなの中心にいたいと思っているけれど、いつもはしっこに追いやられ、だれも中心におこうとしてくれない」、という。
このような不平不満は、だれもが少なからずもっているものです。ただ、自己肯定感が高い人の場合は、その気持ちをおもしろおかしく表現し、みんなの人気者になったりします。
一方、これを上手に表現できない場合は、代わりに悪い態度をとり、場の空気を乱したりするわけです。
かつての彼は、典型的なこのタイプでした。が、彼の素晴らしいところは、自分のその部分を受け入れ、変化させようとチャレンジしているところなのです。
とはいっても、コンプレックスという感情にしがみついている彼は、なにかというと、素敵な人やなにかに秀でた人と自分を比べてしまいがち。で、そういう人にはなるべく関わらないようにしているというわけです。
私は彼に、できるだけそういう人たちと一緒に飲みにいったり、遊びにいったり、カラオケに行ったりするという宿題を出しました。
「どうして彼らは魅力的なのかを観察し、学ぶことは、100冊のマニュアルを読むより効果があるよ」
彼はこの宿題に取り組み、そして、「魅力的な人は、相手に話題をふったり、話を聞き出したりすることがとてもうまい」ということに気づきました。
それまで、「彼らは自分ばかりがおもしろいことを話している」というイメージをもっていましたが、そのタイプとはまったく違うということを発見したのです。
つまり、魅力的な人がしていることは、相手に対し、「この人は、どんな人なのだろう?」と関心をもち、そして、さまざまな質問をするということといえそうです。
彼はいつも、「自分に関心をもってもらいたい」とばかり思っていました。
しかし、どうやら、魅力的な人とは、自分のまわりの人に関心をもつ人といえそうです。
すると、その相手は、自分に興味や関心をもってくれる人に好感をもちます。
かつて、マザー・テレサは“愛情”の反対語として“無関心”を挙げました。
まさに、魅力的な人とは、まわりの人に対し、「なぜ、こんなことをするのだろう」、「なぜ、こういう人格の持ち主なのだろう」と耐えず関心をもっている人といえそうですよ。
では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!