急かすことは、百害あって一利なし?
こんばんは
神戸メンタルサービスの平です。
この日、おみえになったのは男性で、ご相談は奥さまのことでした。
奥さまは外出時、支度にものすごく時間がかかる人で、予定していた出発時刻に1時間遅れなら早いほう、たいがいは2時間程度の遅れになってしまうというのです。
で、この奥さまがなんとか予定通りに行動できるようにしたいというのが私へのご依頼だったわけです。
「どんなに言っても、どんなに頼んでも、いつもこうなんです。なんで、あんなに時間がかかるのか、理解ができません」
奥さまの出発が遅れるというのは、だいたいどの家でもあることです。
男性に比べ、女性はお化粧や髪のスタイリングに時間がかかりますし、お子さんがいる場合は、子どもの用意もぜんぶしてあげなければなりませんから、自分のことだけしていればいいご主人とはそもそも違うわけです。
ただし、その遅れが1時間にも2時間にもなってくると、ちょっと話がヘンですね。
そこで、私はご主人にこう言いました。
「奥さまを急かすことは、百害あって一利なしですよ」
みなさんにもご想像いただきたいのですが、仕事が忙しく、やらなければならないことがたくさんあるときに、横から「ソレソレソレ」と急かされるとパニックになると思いませんか?
そうなると、優先順位をつけることもできなくなって、いっそう効率が悪くなってしまう‥‥、そんな経験はみなさんにもあるのではないでしょうか。
ですから、イライラしても急かすというやり方はおすすめできないわけです。
が、この奥さまのように1時間も2時間も遅れるという場合は、ほかの面から見ていく必要もありそうです。
私はご主人にこんな質問をしてみました。
「あなたは出張などで家にいないことが多いですか?」
「ええ、出張は多いですね。出張していないときも、帰宅時間は遅めです」
「なるほど。奥さまは、家でゆっくりしている間だけ、あなたを家につなぎとめておくことができますね」
「は? どういうことですか?」
ご主人はヘンな顔で私に聞きました。
「まず、あなたが忙しすぎて家にいないことに、奥さまはだいぶ不満をもっていらっしゃるようです。
怒りの一形態に“受動攻撃性”というのがあります。声を荒らげたり、わかりやすい怒り方をすることはない代わりに、相手の言うことを聞かないなどの方法で怒りを表現するというものです。奥さまはこの状態にあるといえそうですね。
さらに、ご多忙なご主人である場合、自分がゆっくりと支度することで、その間はご主人を家にくくりつけるようにできる、というのもありそうです。
つまり、出かける準備が2時間も遅れるというのは、奥さまにとってはあなたへの「あてつけ」と、あなたと「一緒にいる時間を確保したい」という2つのことが同時に起こっているようですよ」
私がこう話すと、ご主人は非常に納得したようでした。
「これはじつは忙しいご主人をもつ女性によく見られることなんです。
また、一緒に出かけるのだとしても、奥さまの意向に添った外出ではなく、ご主人の都合による外出が続いたりすると、奥さまの準備の時間もどんどん長くなるということは多いようですね」
「なるほど。では、どうすればいいのでしょう?」
「そうですね。たとえば、奥さまのお好きなアーティストのコンサートなどに行かれるといいでしょうね。多少、準備が遅れることはあっても、間違っても長くなることはないでしょう」
そう、こんなときは、奥さまの好きなことに、ご主人がエスコートするようにおつきあいするということを何度もしてみることがいちばんの特効薬になるようなのです。
では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!