人生は後半戦にさしかかるほど、あなたの内的な美しさが人の心を捉えるようになる
こんばんは
神戸メンタルサービスの平です。
彼女は10代のころから、すれ違う人がふり返るぐらいかわいらしい女性でした。
異性には相当モテましたし、同性の友人にも「あなたみたいにかわいい顔で生まれたかったわー」とさんざん言われたものです。
しかしながら、彼女には、自分がかわいいとか美しいとかという自覚はまったくありません。
そう、人並みの私たちにとっては衝撃の事実なのですが、かわいい人、美しい人ほど、自分がそうだという自覚をもつことはありません。
なぜなら、子どものころからずっとこの同じ顔とつきあっているからです。
ところが、このタイプの人は、年齢とともにシワが増えたり、ほうれい線ができたりしてくると、きゅうに気になるようになることが多いのです。
お化粧でカバーできるうちはまだよいのですが、だんだんそれが難しくなってくると、人によっては人前に出ることが憂うつになってくる場合もあります。
「昔はあんなにきれいだったのにね」と人から言われているような気になるからです。出会う人々がみな、昔の自分を知っているというわけでもないのに‥‥。
30代の終わりを迎えていたこの彼女もそうでした。かつて、「かわいいね」と言われていたときはあまり響かなかったのに、いまは人の目が気になって仕方がないのです。
これは、若いころの自分と現在の自分を比較することで起こります。「自分はもう、なんの魅力もないただのおばさんに成り下がったんだ」というほど低く自分のことを見ているわけです。
しかしながら、よく言われることですが、人はその年齢とともに、「心でなにを感じてきたか」ということがその表情に表れるものです。
彼女は年齢を重ねた自分を卑下し、ただコンプレックスだけを感じていたので、最近はずっと眉間にシワが寄り、不機嫌そうな顔つきになっていました。
しかし、その彼女が笑顔を取り戻すきっかけがありました。趣味で始めたダンス教室です。
「もっと楽しそうに踊りなさい。つまらないの?」とインストラクターの叱咤激励に、最初はちょっと無理して笑顔になったりしていたのです。
しかし、「踊るって楽しい。自分を表現することはこんなに気持ちがいいことだったの!?」という気分が久しぶりに感じられるようになり、それとともに笑顔の時間が増えていったのです。
その後は、友人知人と会うたびに、ダンスのことを笑顔で話すように‥‥。“深刻な彼女”から“無邪気な彼女”に変わり、すっかり魅力的になっていたのです。
そして、それまでは近づきにくいオーラをまとって生きていた彼女が、“スキだらけで、話しかけやすい彼女”にも変身していました。
じつはあれだけ美人で評判だった彼女ですが、なかなか縁がなく、いまも独り身で過ごしていました。
が、無邪気さを取り戻し、近づきやすくなったことで、年上の人からはかわいがられ、年下の人からも気さくに話しかけられたりして、私生活が急に忙しくなってきたのです。
とくに年下の人々から、「先輩と一緒に飲みに行けるなんて、もう最高です!」、「以前はおそれ多くて口もきけなかったですよ」と言われることで、もう一度、自分の魅力を承認することができるようになったわけです。
若いころは、肉体的なものや、もって生まれたものがその人の美しさや素晴らしさとなることは多いものです。
その後は、「どんなことを経験し、どんなことを感じて生きてきたか」がその人の表情や佇まいに表れたり、自分の生き方への自信がその人の魅力として備わっていったりするといわれます。
年齢とともに、人が生まれもった肉体的な価値は衰えていき、いつかはだれもがシワだらけのおじいちゃんやおばあちゃんになります。
でも、その目にそなわった力強さややさしさ、深い愛をたたえたようなまなざしは、その人の後天的な美しさとして作られていくと言われているのです。
人生は後半戦にさしかかるほど、あなたの内的な美しさが人の心を捉えるようになるようですよ。
では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!