「ありがとう」と「ごめんなさい」で幸せになれる

大人になると言えなくなる二つの言葉。

小さな子供の頃は、素直に当たり前に言えていた「ありがとう」と「ごめんなさい」が大人になると言えなくなってしまいます。
何事も当たり前だと思ってしまうと、「ありがとう」と感謝できなくなってしまいます。
また、自分を責めすぎていると「ごめんなさい」と謝罪ができなくなってしまいます。
でもこの二つの言葉が言えると、人間関係がうまくいき幸せを感じられるのです。

今回、担当させていただく大門昌代です。どうぞ、よろしくお願いします。

「ありがとう」と「ごめんなさい」は、人間関係を円滑にする上で、大人になってもとても大切です。
子供の頃は、誰かに何かをしてもらったら「ありがとう」と言いましょうとか、悪いことをしちゃったら「ごめんなさい」と言いましょうと教えられたのではないでしょうか?

ところが、大人になるにつれ「ありがとう」と「ごめんなさい」を伝える機会が減ってくる。
それはもしかしたら、自分でできることが増えて、誰かに何かをしてもらうことが減ったからかもしれない。
イタズラをしなくなったからかもしれない。
でも、大人になっても私たちは、誰かに何かをしてもらうことだって、本当はたくさんあります。
大人になっても、失敗してしまったり、そんなつもりはないけれど、誰かを不快にさせてしまったりということもあります。

そんな時は、やはり「ありがとう」や「ごめんなさい」と伝えることが大切なのですが、大人になるとなぜできなくなってしまうのでしょうか?

例えば、お付き合いしている二人。
彼女が手料理を彼に振舞ってくれたとしましょう。
大好きな彼女が、自分のために食事を作ってくれたので、彼はとても嬉しい。
彼女が作ってくれたハンバーグを食べて、「ありがとう」と彼女に言います。

そんな二人が結婚して10年が経過した。
妻となった女性が、夫となった男性や子供たちのためにハンバーグを作った。
ハンバーグを食べた男性は、ありがとうを言わなくなる。

なぜでしょうか?

例えば、お付き合いして初デートのとき、彼は彼女を食事に誘いました。
彼のことが大好きな彼女は、食事に誘ってくれた彼に「ありがとう」と言います。

そんな二人が結婚して10年が経過した。
夫となった彼が、妻となった彼女に「今日は外で夕食を食べよう」と誘いました。
彼女は「ありがとう」を言わなくなる。

なぜでしょうか?

当たり前になってしまうと、私たちは「ありがとう」を言わなくなるのです。

私たちが「ありがとう」と言うとき、「嬉しい」「楽しい」「助かった」など幸せを感じています。
つまり、当たり前になって「ありがとう」を言わなくなると言うことは、幸せを感じなくなってしまうと言うことなのです。

「大人なんだから、いちいち喜んでられるかよ!」と思うかもしれませんが、大人だっていちいち喜んでいいんですよね。
喜べると言うことは、幸せを感じていると言うことですからね。
何事も当たり前にしてしまわないことで、いちいち喜べる人になれます。

そして「ごめんなさい」ですが、これが大人になるとなかなか言えない。
特に大人が子供に対して「ごめんなさい」と言うのに抵抗を持つかもしれませんね。
また、大人同士であっても、上司と部下など立場の上下関係がある場合、立場が上の人が、立場が下の人に対して、「ごめんなさい」と謝罪することに抵抗感を持ってしまう。

それは、自分の立場が下になるように感じたり、負けるように感じてしまうからなのかもしれません。
また、自分が間違っていたことを認めるような気がするので、謝れなかったりもしますよね。

でも、大人だって間違うことはありますし、ミスしちゃうことだってある。
意図しないことで、誰かに不快な思いをさせてしまうことだってあります。
そのことに気づいたら、本来なら「ごめんなさい」と謝罪し、その言動を改める努力が必要なのですが、これが言えない。

例え話です。

小学生の子供が、学校からもらったプリントを親に見せ忘れました。
そのプリントには、○月○日お弁当を持参するようにと書かれてあった。
○月○日の朝、登校前にそのプリントのことを思い出した子供が、親に慌ててお弁当が必要なことを伝えます。
「どうしてプリントを出さなかったの!」親は怒るかもしれません。
子供は「ごめんなさい」と謝ります。

それから1年が経過して、あの時と同じように学校から○月○日お弁当を持参するようにと書かれたプリントが渡されます。
子供は、親にすぐにプリントを見せました。
○月○日の朝、親はお弁当のことをすっかり忘れていました。
子供が「お弁当は?」と親に聞いてきました。
親は「ごめんなさい」が言えません。

なぜ「ごめんなさい」を親は言えないのでしょうか?

それは、自分のことを必要以上に責めすぎるからなのです。
大人なのに忘れちゃった自分、子供にしっかりしなさいと言っているにも関わらずミスをしてしまった自分を強く責めているのです。
それはどこかで、大人とは間違いやミスをしないものだと思い込んでいるからかもしれません。

大人だって間違うし、ミスをする。
そう思えていると、間違ったりミスをしたことに対して「ごめんなさい」と素直に言えます。
責めすぎていると言えなくなってしまうのです。

自分自身の間違いやミスを、許してもらえなかったり、ひどく怒られ続けるような経験をしてきた場合、必要以上に自分を責めてしまうことがあります。

また、誰かの間違いやミスを許せないでいると、自分の間違いやミスを認められなくなってしまいます。

大人だって間違うし、ミスをする。
間違いやミスは、同じことを繰り返さないように修正していくことが大切であって、自分を責めすぎるとことが重要ではないのです。

また、自分の間違いやミスを受け入れ、謝罪できる人は、他の誰かの間違いやミスにも寛容になれます。
だから人間関係がうまくいくのです。
許したり、許されたりすることで、やはり幸せを感じることができます。

幸せは、目に見えるものではなく感じるものです。
難しいことのように思うかもしれませんが、もしかしたら「ありがとう」と「ごめんなさい」を言えるだけで、幸せになれるのかもしれませんよ。

簡単ですけれど、参考になりましたら幸いです!
ありがとうございました。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛や結婚、浮気や離婚など男女関係、対人関係やビジネス関係、家族関係や子育て、子供の反抗期、子離れ、親離れ問題など幅広いジャンルを得意とし、お客様からの支持が厚い。 女性ならではの視点と優しさ、母としての厳しさと懐の深さのあるカウンセリングが好評である。PHP研究所より3冊出版。