私はある魔法を教えてあげました
こんばんは
神戸メンタルサービスの平です。
彼は43歳。実直な性格ですが、これといった趣味はなく、あまりおもしろいことも言えません。
一生懸命がんばるタイプではありますが、まわりの空気を読むということがなかなか苦手な男なのです。
そんな彼もパートナーを求め、30歳を越えたころからお見合いをしたり、結婚サイトに登録したりしてきました。
しかし、いざ女性を前にすると、緊張したり、赤面したりするために頼りなく思われるのでしょうか、うまくいったことがないのです。
そんな経験を何度もしていると、「どうせまた、今度もうまくいかないんだろう」と思うようになってきます。
が、自分がおもしろくない男だと思われるのはイヤなので、「こう見えて意外と、みんなからおもしろいとか、楽しいヤツだとか言われるんですよ。ハハハ」などと自分で言ってしまうんですね。
でも、どう見てもそうではないことはまわりからもわかってしまうので、なにを言ってもイタいだけで、彼はますますモテない男になっていくわけです。
こんな状況が続いたとき、よくあるのが、女性陣を逆恨みしたり、憎んだりするようになることです。
「おめえら、どこに目をつけてるんだ。こんなに真面目で誠実な男はそうそういないぞ。にもかかわらず、世間の女どもときたら、不倫やら、二股三股やら‥‥。許せん!」
ここまでくると、すべての女性は自分の敵であるかのように思っていますので、もはやモテないどころか、会社では変質者扱いされるような始末です。
この時点で、彼の世界の中には、「どうせ女性と出会っても、私が選ばれることはなく、“なんなのよ、このヘンな人?!”と思われるだけだ」という強い思い込みがあります。
そして、この思い込みがすべてを台無しにしていることに彼は気づいていません。
ここで、私は一つのことを思い出しました。うちの子どもが昔、スイミング教室に通っていたときのことです。
うちの子は練習のあと、アイスクリームを食べるのを楽しみにしていました。
ところが、一緒に行っていたお友だちは、おかあさんに買ってもらうことができないんですね。体が冷えているところにアイスクリームはよくない、という親心からです。
実際のところ、水泳は全身をハードに使う運動であり、体は熱くなるし、ノドも渇きます。だから、子どもたちは自然とアイスクリームが食べたくなるのです。
そのころ、私は子どもたちに、「おとうさんの仕事は、魔法学校の校長先生だよ」と教えておりました。
で、子どもから、「○○ちゃんがおかあさんにアイスクリームを買ってもらえる魔法はないの?」と聞かれたわけです。
さっそく、私はある魔法を教えてあげました。
「おかあさんがいるところでアイスクリームの自動販売機を見て、どれがいいか選んでみるように○○ちゃんに言ってごらん」
そんなことをしていると、当然、おかあさんは言いますよね。
「いつも言っているけど、アイスクリームは買いませんよ」
そうしたら、お友だちにこう言ってもらうのです。
「知ってる。でも、おかあさんが買っていいよと言ってくれたときに、どれを買ってもらうか考えてるの」
そんなことを言われると、ほとんどのおかあさんは「きょうだけよ」といって買ってあげてしまうわけです。
この魔法がどうして効いたか。
それは、「おかあさんが買ってくれるときがあったら」という前提条件をつけたからです。
このひとことによって、お友だちの誠実さ、素直さがおかあさんの心に響いたわけです。
このエピソードを思い出し、私は前述の女性不信の彼にこんなアドバイスをしてみました。
それは、まず、「もし、ぼくとつきあってくれる女性がいたら、一緒にこんなことをしてみたいな」、「もし、こんなぼくのお嫁さんになってくれてもいいという女性がいたら、こんなことをしてあげたいな」という考え方をするということ。
さらに、自分がおもしろい男だなどと虚勢を張るのではなくて、ありのままの自分を相手に伝えるということです。
「見ての通り、不器用な私ですから、浮気なんかぜったいしないし、できません。誠実さに関しては自信があります」というように。これなら、女性陣から見ても説得力がありますよね。
もちろんと言いますか、その後も彼の苦戦は続いています。しかし、少なくとも、以前のように、まわりから嫌悪される状態は脱したのです。
では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!