心が傷つくことで生じるコンプレックス
●劣ってもいないのにコンプレックスができることがある
コンプレックスは心理学で使っている意味あいとしては、劣等感や、劣等コンプレックスのこととイコールではありません。
しかしコンプレックスという言葉は、劣等感や、劣等コンプレックスと同じ意味として日常会話で使われています。
その為、この記事では、みなさんがおそらく普段日常で使っているなじみやすい表現として、劣等感、劣等コンプレックスある状態の意味でコンプレックスという言葉を使いたいと思います。
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人や何かと比べることにより自分は劣っていると思ってしまうことがあります。
それによりコンプレックスができることがあります。
例えば、
テストで平均点以下をとってしまうことで、
「みんなと比べて私は頭が悪いんだ」
と勉強ができないことがコンプレックスになってしまうという具合に。
この場合は平均点と比較して劣っていたとか勝っていたという事実があります。
(だからといって劣等感は持つ必要はありません)
しかし、何かと比べて劣っていたということもないのにコンプレックスを持ってしまうことがあります。
それは、否定的な言葉を投げかけれることで、心が傷つき、そしてコンプレックスになってしまうケースがあるのです。
●心が傷つくことにより頭が悪いという思いこみができた
Aさんは、頭が良くないということがコンプレックスでした。
Aさんは入試の難易度が高いと言われる大学の学部を出ていました。
そして取得が難しい資格を取ってお仕事に活かしていました。
学歴だけが頭の良い証明ではありませんが、頭が良い一つの目安にはなるでしょう。
難しい資格をとっているのも頭が良い一つの目安になるでしょう。
一般的に頭が良いと評価されそうな実績があるのにもかかわらず、Aさんは、頭が良くないと思っており、そのことがコンプレックスになっていました。
Aさんが、なぜ自分は頭が良くないと思っているのかをカウンセリングで探っていくとお父さんに言われた言葉が影響していることがわかりました。
Aさんが学生の頃、テストでお父さんが望むレベルの点数が取れてないと、お父さんはAさんを叱責しました
それが平均点より大きく上回る点でも、お父さんが望むレベルでなかった時は叱責されたのです。
「高いお金を出して良い塾に行かせていても、こんな点しかとれないのか」
「前と変わらない成績じゃないか、失望したわ」
などと叱責しました。
Aさんが頑張っても、お父さんが望むレベルはかなり高く、叱責されることが続きました。
そんなお父さんの言葉にAさんは傷つき、自分は頑張ってもお父さんの期待に答えられないダメな人間なんだと思うようになっていきました。
そして、頑張ってもお父さんの望むレベルに達しないのは頭が悪いからなんだと思うようになっていきました。
事実は平均より大きく上回っている成績をとっているのですが、お父さんの言葉に傷つくことにより、自分は頭が悪い人間なんだと思うようになっていったのです。
このお父さんとの関係の過去の出来事を話していると、Aさんの目から涙がこぼれてきました。
涙が出てくるというのは、まだ癒えていない思いがあるという記しなのです。
この心の傷が癒えずに残っていた為に、大人になった今もAさんは頭が良くないと思いに囚われコンプレックスになっていたのです。
Aさんはカウンセリングで癒えていない感情を涙に流して浄化していきました。
そして自分にお父さんの言葉はもう気にしなくていいということを言い聞かしていきました。
そうやって癒えていない思いを癒やしていくことで、コンプレックスが消えていきました。
●傷ついた心を癒やそう
これは一つの例ですが、何か比べて劣っていないにもかかわらず、否定的な言葉で心が傷つくことにより自分は不出来だとか、能力が低い、自分はダメな人間だ、自分は頭が悪いなどの思い込みが作られコンプレックスになってしまうことがあります。
もし、あなたが何かと比べて劣っているという事実がないのにもかかわらず、コンプレックスがあったとしたら、もしかしたら心が傷つく出来事があったのかもしれません。
もし思いあたることがあれば、その傷ついた思いを誰かに話して受け止めてもらってみるのをオススメしたいです。
誰かに話して傷ついた感情を外に流していくことで、心は癒えていきます。
そうやって心を癒やし回復させることで、コンプレックスが緩まり、無くせることがあります。
(完)
- 自分を大きく見せる優越コンプレックスタイプへの処方箋
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