忙しさの裏には「何もしない自分は愛されない」という思い込みが隠れている
「いつも忙しくて時間が足りないよ」が口癖になっている人、あなたの周りにいませんか?もしかしたらあなた自身が当てはまるかもしれませんね。
ふだんは忙しくしていても、必要な休養をとれていたり、休日を楽しむ趣味を持っていられれば、生き方にメリハリが出て良い仕事ができそうです。また家族やパートナーとの時間も豊かなものになりそうですよね。
しかし、そうではなく四六時中仕事に追われていたり、時間がなくてやりたいことができないくらい忙しくしている人もいます。こうなると本人的には休みたいのに休めず、体も心も疲弊していくばかりで本人も苦しいですし、周りで見ている人もしんどい気持ちにさせてしまうかもしれません。
また大切な人たちとの時間も少なくなっていくと、家族やパートナーとの関係がうまくいかずにギクシャクしたり、相手からお別れを告げられてしまうこともあるかもしれません。
こうしたお悩みをカウンセリングで伺う機会もあるのですが、こうした人は「何かを頑張っていなければ」「自分にはやらないといけないことがある」という考え方を持っていることが多いのです。
もし大切な人たちに対して、つい「忙しいから無理」という反応ばかりしてしまったり、心がやらなくてはならないことの方ばかり見ていて、相手のことを見てあげられないことが続いたとしたら、
おそらく相手からは「この人は真剣に向き合ってくれない」「私が大切だとは思ってくれないのかな?」そんな気持ちにさせてしまうかもしれません。
そんな状態だとしたら、どれだけ相手に愛情を持っていても、お金を使って何かを贈っても、残念ながらなかなかその想いは伝わらなくなってしまいます。
また同時に相手が贈ってくれる自分への愛情も感じにくくなってしまいます。
*
もし今、あなたが大切な人からの愛情を感じられない不安を抱えているとしたら、忙し過ぎることで、家族やパートナー以外の何かに気を取られているのかもしれません。
では、なぜ大切な人たちを差し置いてでも忙しく何かをしていないといけないと感じているのでしょうか?
こうした心理の根底にはこんな観念(思い込み)が隠れていることが多いのです。それは、
「何もしていない自分は愛されない」
この観念を強く抱えていると、人は他のことが考えられなくなるくらい何かに一生懸命になるか、何もしていない自分を責めることに一生懸命になってしまいます。
私たちは自立するプロセスで、色んなことを自分でできることに価値を感じます。すると「何かができる自分=愛される自分」なのだという観念を持つことがあります。
たしかに問題を自分で解決できる力、ものごとを適切に判断して処理できる能力などを持っていることで周りから高い評価を得ることはあります。
ただし身近な家族やパートナー、友人たちは「あなたが一緒にいてくれるだけでいい」と思ってくれていることだってあります。
とはいえ長い間「人に与えること」「何かができること」で愛される自分を実感してきた体験がある人には、「何もせず、ただ一緒にいる」という時間の中に愛情や優しさがあるとは実感しにいのも事実。
「本当に一緒にいるだけでいいの?」と疑いたくなって、「何もしていない自分が愛される」という現実を信じられず戸惑いを覚えても無理はありません。
「忙しい」とは心を亡くすと書きますが、家族やパートナーへの愛を持っているのに、心を亡くしてしまうことで大切な人とのつながりを感じられなくなってしまうとしたら、すごくもったいないことです。
*
ここまでの解説を分かりやすく書いてみます。
(日).心を亡くしたためにつながりや愛が感じられず不安になる。
(月).不安を感じたくないのでさらに頑張る。そしてさらに感じられなくなる。
(火).さらに不安が増す。さらに「何かしなくては」と頑張る
(水).㈰に戻って繰り返す・・・
もし今、あなたがこうした悪循環にハマっていて抜け出したいと思うなら、一度立ち止まることが必要です。
そして長年忘れてきた本来の自分でいられる感覚を取り戻して、目の前の大切な人が贈ってくれる愛情に気づく機会を作ってみることに取り組むことです。
そうすれば走り続けるしか選択肢が無かったところへ「走る」か「止まる」か、「与えるばかり」か「受け取ることもできる」か、という選択肢が手に入ります。
それは「走っていても止まっていても愛し続けてくれる人がいる」と気づける機会にもなるはずです。
頑張ることはある意味「成功法則」になっていたわけですが、今の生き方の先に大切な人との幸せな未来が見えないとしたら、「過去の成功法則」を手放すタイミングが来ています。
うまくいっていたやり方を手放すのは恐さも感じますが、ここは過去に亡くした心を取り戻す時が来ていると考えてみましょう。
あなたが本当に叶えたかった幸せとは何だったのか?もう一度思い出すプロセスが今だとしたら、しなくていいことを手放して、その分のエネルギーを「本当の幸せ」のために使えるあなたに変わるためのチャンスだということです。
(完)