パートナーシップの自立と依存

依存タイプの人の不満な顔が、自立のタイプの人の恐怖心につながってしまう

こんばんは

神戸メンタルサービスの平です。

恋愛心理学講座は、みなさんに男女関係の力学をお教えするというコンセプトで作っていますが、男女関係というのは、一番近い他人との関係性と言い換えることができます。

ですから、男女関係の法則や力学には、対人関係と共通する点や互いに応用できる点も多いのです。

パートナーシップというのは2人の関係性なので、必ずどちらか一方が関係の主導権を握る「自立」、もう一方が「依存」という位置関係に入ります。「自立」=ほれられた側、「依存」=ほれた側と言ってもいいかもしれません。

依存側は自立側の人に自分のいろいろな要求や欲求を満たしてもらいたいと願い、自立側はそれを満たしてあげることに喜びを感じます。

自立側のタイプの人は、依存側の人に与えていくことによって自分が今までの人生で獲得してきたものが何なのかを再確認することができるのです。

一方、依存側の人は、自分一人の力では獲得することが不可能だと思ったよものを自立の人から与えられることによって、長年自分を苦しめてきた無価値感から抜け出すことができるのです。

ロマンスの力学は、以上のようなことを土台に成り立っています。

社会的な対人関係における成長過程を見ていくと、私たちは、誰かに頼らなければならない子供時代=依存から、何でも自分でできたり、人に与えることができる大人=自立を目指して、成長のプロセスをたどっていきます。

自立していこうとすると、当然、自分の中の依存心や他者への欲求や要求を切り捨てていく必要に迫られます。

依存時代に傷ついたり、嫌な感情を感じた人は、「もう2度とあんな経験したくない」とどんどん自立を強化していくわけです。

自立的になっていけばいくほど、頼れる人だとか、責任感が強いとまわりから評価されることが多く、会社の中でも昇進したり、役職がついていったりします。

ところが、会社内で課長や部長という地位につくと、必ず部下がいることになります。

そして、その部下の依存心をどう満たしていくかということが、管理職の手腕となっていくわけです。

自立している人ほど、自分の感情や依存心を切り離してきているわけですから、自分の依存性を否定している度合いだけ、悪気はないのですが、自分の部下を否定するようになってしまいます。

ここで、自立タイプの人がより大きな成功を手にするためには、自分の成長のプロセスで切り離してきた「依存」をもう一度取り戻して統合していく必要が出てきます。

もし、この統合のプロセスがうまく完了できなければ、自分の依存性を否定している度合いだけ、自分を頼ってくる部下たちから無意識に逃げ出してしまうようになってしまうのです。

部下たちのことを依存的でうんざりだと感じてしまうと、そこから孤立してしまう傾向が強くなるのです。

パートナーシップでも同じことがいえます。

当初うまくいっていた関係も、自立のタイプの人がだんだんと、依存の人をうとましく感じるようになってくると、ついついデートの回数が減ってきたりします。

このとき、自立側の人は、依存していた頃の自分が何を感じ、どういう風に愛してもらいたかったかを思い出さない限り、依存的なパートナーをどう愛してあげたらいいのかわからなくなってしまいます。

そして、パートナーを上手に愛せない自分に失敗感を感じたり、パートナーに対して罪悪感を感じるようになり、さらには、自分に罪悪感を自分に感じさせるパートナー(依存)から、距離をとるようになります。

自立タイプの人は、自分の失敗をひどくせめてしまう傾向が強いので、失敗から何を学かを学ぶという楽観的な思考が働きにくいのです。

そして、失敗することによって成功が手に入るという法則を知らないために、失敗してしまうことに対してだただ恐怖を感じてしまっているのです。

依存タイプの人は自立の人に愛してもらい、依存心を満たしてもらうために、ついつい不満な顔をしてしまいます。

ところが、この依存タイプの人の不満な顔が、自立のタイプの人にとっては「自分は失敗しているのではないか」という恐怖心につながってしまうのです。

もちろん、上手に愛してあげることができれば、依存タイプの人は自立タイプの人をスーパーマンのように感じ、どんなことでも可能だと思ってしまうのですが、そう思う度合いだけ、ついつい欲求が強くなってしまうのです。

自立のタイプの人が、もう一度自分の感情を取り戻し、イキイキさを感じるために、依存のタイプの人から学ぶことがたくさんあります。

サービス業では、お客さまの依存心を満たすことができた度合いだけ、成功していきます。

超一流のホテルでは、お客さんのどんなわがままな依存心でも満たしてあげることができるということがホテルのステイタスになったり従業員のプライドになっています。

自立の人が、依存のパートナーをどう愛したらよいか、ということに興味を持ち、そしてそのミッションが成功したときにはじめて、自立の人の心の中に大きな喜びが芽生え、自立のタイプの人たちを生き返らせていくのです。

では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。