私は子育てで、できるかぎりこどもたちを「ハグ」抱きしめることを大切にしてきました。なぜなら、ハグには魔法のような力があると、私は思っているからです。それには理由があります。
■ハグの魔法の力
ハグの魔法の力を知ることになったのは、大人になった私自身のある体験からです。当時の私はいろんなことがうまくいかずに苦しんだ末、カウンセリング受けました。そのとき、お世話になったカウンセラーさんに
「ハグ」
をしてもらったのです。
たくさんの話を聞いてもらって、受け止めてくれたカウンセラーさんのぬくもりが、私の固く閉じた心にしみこんで、私は涙が止まらなかったのです。
〇育てなおし
「泣いていいんだよ。ずっと我慢してきたね」
そうカウンセラーさんは言ってくれて、ハグしてくれました。そして、私は胸の中で泣かせてもらいました。私、こういう安心感とつながりを、本当はずっと欲しくて、でも、諦めてきた。
でも、今、ある。そう思うと、そのあたたかさに、涙がとまりませんでした。しかも、声をあげて。私は、大人になってはじめて泣きました。
ずっと、両親に本当はしてもらいたかったことだったと思います。私はカウンセラーさんに、私の涙ごと抱きしめてもらいました。
それは本当に、私の「育て直し」をしてもらった時間でした。
■私の母としての実態
その後の私は、幸運にもこどもを授かりました。大切に育てようと思い、いっぱいハグして育ててきました。
そう書くと、「いいお母さんだったのかな?」と、思われるかもしれませんが、子育ては一筋縄ではいきません。
みなさまにお見せできるちょっとした?例の一つでいえばですが、私は、早起きの娘に
「お母さん、朝だよ」
と、起こしてもらっています。そこからアザラシンのようにのっそりと起きだす私。次は、なかなか起きない息子を、私は起こしにかかります。その息子の起こし方ですが、声かけても、ゆすっても起きないので、ベッドから引っこ抜く感じです。
そんな感じでとても豪快です。でも、
「おはよう」
と、
「いってらっしゃい」
のハグは欠かしませんでした。
〇怒っては、反省
24時間365日の育児。余裕を失っては、感情にこどもたちのことを怒ってしまうこともあります。その後、ふと振り返っては、毎回ものすごく反省するのです。
「あんな言い方、なかったな」
と。
そして、そのたびにこどもに謝ってきました。
そして、ごめんねのハグ。
■抱きしめさせてもらったのは、私
そのハグのとき、私こそが、抱きしめさせてもらってきたなと感じます。
こんなに愛おしい大切な存在なのに。ついつい自分に対して接するように、怒ってしまった。
こどものまだまだ小さい肩に、そして、赤ちゃんの頃から考えるとだいぶ大きくなったなと、「成長」もともに感じながら、私は申し訳ない気持ちを感じます。そんなこどもたちは、いろんなことがあっても、立ち上がり、前を向くのです。
私は、こどもたちの強さに、何度もはっとさせられてきました。
そんな私に、こどもから、わんわん泣きなら
「怒られて、本当にいやだった」
と、伝えてもらったこともあります。
「わかったよ、お母さん」
と、私のほうが、こどもになぐさめてもらったこともあります。
〇一緒に泣いたこともある
こどもたちをハグしながら、こどもたちと一緒に泣いたことも、あります。
「一緒に泣く」ということ。
それはまた、お互いの気持ちをわかってもらいながら、「1人じゃない」という感覚を感じながら、自分の感情を感じ、癒す、大事な時間でもありました。
一緒に寄り添ってもらって、感情を感じきって、泣いて笑って、ともに前に進む元気や力を、お互いに育みあったように感じています。そんな時間を過ごせるのもまた、ハグの力なのだと思っています。
■言葉にならない思いが、ぬくもりを通して伝わる
お子さんに、ハグ、してみませんか?お子さんだけではありません。せっかくですもん、パートナーにも、ハグしてみませんか?
体と心はつながっています。
体のふれあいで、言葉にならない思いもまた、ぬくもりを通して伝えあえると、思っています。
我が家でも、夫もこどもたちも、きっと、私にもっとああしてほしかった。こうして欲しかったが、いっぱいあることと思います。私自身も母として妻として、至らないところ、いくらでも思いつきます。
でも、私は私なりに、やりたいことを詰め込んだ夫婦・子育てを、させてもらっているなと、感じています。それはきっと、体をとおして、スキンシップやぬくもりを通して、夫にも、こどもたちに何らかの形で、伝わっているのではないかなと、思います。
〇ハグの安心感
こどもたちも、もう10代。そんなに簡単にはハグできる年齢でもなくなりました。それでもふと、こどもたちが私のそばに座ってくれるとき、ふと触れた時。今までのハグしてきたときの感覚がよみがえり、私のほうが安心するのです。
こどもたちにとっても、親が不安でいいことなんてありません。
安心感。これこそが、ハグの積み重ねによる、魔法のような力なのかもしれません。
■余裕のないときこそ、こどもとハグすることで
特に今まだ、お子さんが小さい親御さん。日々、いろいろなことがあると思います。大変なことも多いかと思います。余裕がないと、思われているかもしれません。でも、むしろ、余裕のないときこそ、こどもをハグして、抱きしめてみませんか。たった5秒でいいのです。
きっと、未来の不安に、過去の出来事にとらわれている親御さんのほうが、こどもを抱きしめることで、今に戻ってこられるのかもしれません。
そしてお子さんもまた、親御さんから触れてもらっているということで、親御さんからきっと
「愛されているんだ。僕は、私は、産まれてきてよかったんだ」
という感情や感覚といった言葉にならない思いもまた、ぬくもりを通して伝わり合うのではないでしょうか。
〇ハグの魔法の力は、大人にもきく
ハグには、力があります。体を抱きしめるだけではなく、心も抱きしめられたような、満たされるような感覚があります。それは、こどもだけではなく、大人もまた感じることのできる、魔法のような力を発揮してくれると、私は思っています。
我が家の10代のこどもたちに、今の私はできるだけ、こどもたちの手を放してあげる時期です。でも、本当にこどもたちにとって必要な時は、いつでもハグできる自分でいたいものです。なぜなら私も、もし、
「今、両親にハグしてもらえたら、どれだけ嬉しいだろう」
と、想像するからです。
みなさんも、よかったらお子さんやパートナーを、ハグして、抱きしめて、スキンシップしてみませんか?
思った以上の「ハグの魔法の力」を、感じられるのかもしれません。
みなさまのなにかのお役に立てたら、うれしいです。
来週は、小川のりこカウンセラーです。
どうぞお楽しみに。