今はもう高校2年生ですが、息子が幼い頃から今もずっと好きで置いてある雑誌があります。多くの子どもに人気のあるマンガ雑誌ですが、今買うことはありません。小学校の時にずっと買ってあげていて、それを今でも何冊か、捨てずに残してあるんですよね。
子どもって何も知らないところから、いろんな知識を得ていくわけだから、良いも悪いも全てが刺激であり学びであり、それを重ねていって、自分が選り好みしていって、個性になっていくんでしょうね。と思います。
息子はこのマンガ雑誌で多くのことを学んだような気がします。
今日はそういうお話です。
■マンガで学ぶたくさんの教え
H3・マンガの世界で息子が学んだこと
私が羨ましいと思うこと。それは息子が怒りをほとんど溜めないことと、人を許す力が私の何十倍もあるということです。
今は私も昔ほどマイナス感情を溜めることはありませんが、それでも結構ストレスに弱いと自分では思っています。
だけど、子どもってすごいですよね。
幼い子ほど、あまり怒りを溜めることなく、人の失敗や親の失敗でも、
「いいよ。」
って軽く言える子が多いような気がします。
私の息子も昔からそうでした。
私たち親にも友達にも。
そして高2になった今もです。
息子は幼少の頃はゲームよりとにかくマンガに食いつきました。そこでドはまりしたのが、『コロコロコミック』という雑誌の、“なんと!でんぢゃらすじーさん”というギャグマンガだったんですよね。
子ども好きそうなギャグマンガ。だから私がそれを読むことはなかったんですが、幼い息子が、どうしても読んで欲しいと勧めて来ました。
昔。主人公じーさんの奥さんが急病を患って、すごく仲が良かったのに急に構ってあげられなくなった友人がいました。
友人は、いきなり音信不通になったじーさんに、見捨てられた、嫌われたと誤解して、憎み続けて恨みを果たそうと、じーさんだけじゃなく、そのお孫さんにもある罠をしかけます。
初めは誰がこんなことをするのか分からなかったけど、途中であの時の友人だと気づきます。
自分のことに気づいたじーさんに、更に思い知らせようと、彼はじーさんとお孫さんを永久にある場所に閉じ込めようとするんだけど、じーさんが、実はずっとスマホを持っていて、証拠音声を残していました。だけどじーさんはそのスマホを友人の前で自ら壊してしまうんです。
そして、「すまなかった。お前をここまで傷つけたのは俺なんだな。」って頭を下げます。
その姿を見た友人は、じーさんの前で大笑いして、「ようやくわかったか! 俺がどれだけ長い間辛かったか…!」って…。その自分の言葉で彼は気づくんです。
本当に俺は謝らせたかったのかと。これで満足なのかと。
違う。俺はただ、お前と一緒にずっと遊びたかっただけなんだって。そしてじーさんの前でぽろぽろ泣き出すんです。
私がこの話を読んだ後、息子は言いました。
「俺、こんなじーさんになるねん。悪いなって思ったらごめんってすぐ言える人。で、反省してる人に、“いいよ”って言える人。」
…幼少の頃にじーさんになった時の話かい!
と、つっこみたい気持ちは抑えましたが、この話が載ってある雑誌を、高2になった今でも大切に置いてあるんですよね。他のマンガ雑誌は全て処分しているんですが、これは、捨てられないと。
こんな楽しい大人になり、じーちゃんになるのが理想だと今でも言います。
・今のマンガの世界
マンガというより、アニメでしょうか。
だけど、マンガやアニメという簡単な言葉で片づけられないくらいに、今のマンガの内容は、解釈も高難度で複雑な物語が本当に多いです。
それを難しいと言いながらでも、次々と解読していく今の子たちの能力は、本当に素晴らしいですね。
特殊能力を持った主人公という設定が多いですが、その主人公には信頼できる仲間が居て、でも時折はみ出してしまう人もいて、何度も仲間内でもトラブルになって。それでも結局は一緒に関わり続けて行く。
そんなマンガに刺激され、こういう人になりたい、こういう生き方をしたい。こういう信念を持ちたい。そうやって、多くの子どもたちが学んで行くのかもしれません。
■いろんな刺激が子どもを育む
・あらゆることが学びを生み出す
カウンセラーをしているとね。
多くの大人たちの子どもの頃の経験だったり、今の葛藤をお聴きします。
こんなことが出来なかった。
こういうことをしてもらえなかった。
もっとこういうふうに生きたかった。
大人にとって、子どもの生き方は気楽に見える場合がありますが、子どもは子どもでいろんな悩みをやはり抱えているんですよね。それをいちいち親に言わない言えないだけで。
そんな自分の生き方を、時に責め、時に悔しがり、時に誰かに怒りを感じる。
それは、大人でも子どもでも誰しもあるのかもしれません。
そして、そういう思いでいっぱいになると、なかなか自分のいい面は見えにくいのかもしれません。
だけど、それが出来なかったからこそ別の部分の才能が光ることはたくさんあって、望んだ生き方が出来なかったけど、だからこそ得た大切な出会いだってあります。
良いも悪いもいろんな経験が自分を育んで自分の今を作っている。
全て良いなんてこともないし、全てが悪いなんてこともありません。
いろんな経験全てが学びとなり、その人を育てて来た糧となっているのでしょうね。
自分の子どもも、多くの子どもたちも、そして親である私たちの子どもの頃もね。
・プロセスが自分を作っていく
私たちカウンセラーがよく使う、
『プロセスを信じる』
という言葉があります。
どんなことでも、どんな経験でも、生きて来た証の一つとして、ベストを尽くしたと受け止めていく。結果、何も間違ってない、ただ精一杯生きて来た今だと承認してあげる。
私はこの言葉を自分なりにそう捉えています。
今の子どもたちにも、今までの、そしてこれからのたくさんの経験から、自分に合う生き方を大きくなった時に選んで欲しいと思います。経験には何一つ無駄なことなんてないですからね。
ゲームばっかりしている我が息子です。
高2でも大学への危機感すらまだあまり持っていない息子です。
それでもまだいっぱい楽しいこともあるだろうし、だけど、傷つくこともたくさんあるかもしれません。
それも全て、彼のこれからの決して無駄にはならない経験です。
彼のプロセスを信じて、これからも、見守っていきたいですね。
このお話が、楽しいも辛いもいろんな経験をして、それでも前を向けるように、子どもと関わっていく、見守っていく親御さんの、何かのお役に立てれば幸いです。
次週は、高塚早苗カウンセラーです。
どうぞお楽しみに。