私が悪いと思う癖 〜虐待が作る私が悪いと発想する心理パターン〜

虐待が作る私が悪いと発想する心理パターン

彼氏が機嫌が悪かった際に『私が悪いからこの状況になったんだ』という発想をしやすい方がいらっしゃいます。本当は悪くない時にその発想することで不当な扱いを受けやすくなることもあります。虐待を受けた影響で私が悪いんだと発想をする心理パターンが作られるケースをご紹介します。

■恋愛で自分が悪いんだと思ってしまうBさん

B子さんは、恋愛のことで悩んでいました。
彼氏はと上手くいっておらず、どうやったら仲良くやっていけるんだろうと悩んでいました。

B子さん曰くは、B子さんが彼氏を不快な気持ちさせてしまうことが多く、このままでは彼氏に愛想を尽かされて見捨てられてしまうんじゃないかと不安を抱えていました。
そんな自分を変えたい!とカウンセリングにこられました。

「例えば、どんなことで彼氏を不快な気持ちにさせてしまうんでしょうか?」
と質問すると、あるエピソードを話してくれました。

映画を見にいく約束をしていた彼氏が待ち合わせ時間を間違い遅れてやってきたことがありました。
「 ごめん、待ち合わせ時間を勘違いしてた」と言う彼氏にB子さんは「このところ待ち合わせ時間を間違っていること多いから次は気を付けてね」とチクリと釘をさすようなことを言ったそうです。
すると彼氏は「 ごめんて言ってるのしつこいなぁ」とその日は彼は終始不機嫌だったそうです。
そして、B子さんは、その日一日は彼のご機嫌を伺いながらすごす形に・・・。

そのようなことが度々あるそうです。

B子さん曰くは、彼氏を不機嫌にさせてしまういらない一言を発っしてしまう自分が悪いんだと仰っていました。

私はある質問をしました。
「 待ち合わせ時間が間違うことが度々あると気を付けてねと言いたくなるのはわかる気がします。私的には待ち合わせに遅れた方が悪い態度をとって、待たされたほうが自分を責めてしまう形になってしまうのは、つらいお話だなぁと思いながら聞いていました。もしかして彼氏との関係だけではなく他の人間関係でも自分が悪いんだという発想をすることは多いんでしょうか?」
と質問しました。

すると、職場でも、友達との関係でも、自分が悪いんだという発想をすることが多いとのことを教えてくれました。

カウンセリングを進めていくと、基本的に自分が悪いという発想をすることが多いようで、その為、相手から不当な態度や扱いを受けても、それに対して『私はそんな不当な態度や扱いを受ける筋合いは無い』というような不当な扱いから身を守る発想が働かず、そして身を守る発想が働かないので相手に反論をすることもない展開が多いことが分かってきました。

その為、彼を含む不当な態度や扱いをする人に、B子さんにはこの不当の態度や扱いを取っても良いという誤った認識が状態化してしまっていることや、状況をコントロールする為の手段として使われてしまっているということもわかってきました。
彼の悪い態度もその一つでした。

この展開を変える為に“自分が悪い”という発想をしやすい心理パターン(心の癖)を変えていくことをテーマにカウンセリングをしていきました。

■この心理パターンがなぜできたのか?

カウンセリングをしていくと、この心理パターンはB子さんの子どもの頃に受けた虐待が関係していることが分かりました。

子ども家庭庁による児童虐待防止対策のページに虐待には、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待の4種類の虐待があげられています。

B子さんは心理的虐待を受けていました。

B子さんがお母さんの機嫌を損ねることがあるとお母さんはB子さんのことを無視をすることが度々あったそうです。
何日も口を聞いてくれないことも、ざらにあったそうです。

口を聞いてくれるようになった時に「自分が悪かったってわかってるの?」とお母さんに言われたこともあったとのこと。

子どもの頃は「お母さんが無視するのは私が悪いからなんだ」と思っていたそうです。

このような体験から“この状況になったのは私が悪いからなんだ”という発想(罪悪感を抱きやすい発想)をする心理パターンが作られていったことがわかりました。

■インナーチャイルドを癒やす

子どもの頃に作られた“この状況になったのは私が悪いからなんだ”と発想をする心理パターンが働いていた為大人になってからも、誰かが機嫌が悪いと『私のせいで機嫌を悪くしたんじゃないのかなぁ?』と考えたり、理不尽なことを言われて責められても『私が悪いから怒らせているんだ』と思ったり、基本的に自分が悪いからだと発想することが多くなっていたようです。

子ども時代に作られたマインド(心の働きや思考のパターンのこと)のことをインナーチャイルドという言い方をすることがあります。

カウンセリングでインナーチャイルドを癒やすべく、虐待体験での辛かった思いを言葉にしていき、言葉を通して辛かった感情を外に流して浄化をしていくことを何度もしていきました。
涙もたくさん流して辛かった思いを浄化していきました。

私が悪いんだと思いこんでいるインナーチャイルドを癒やす心理療法(インナーチャイルドワーク)もしていきました。
大人のB子さんの心の中にいる、”私が悪いんだと思いこんでいる子どもの頃のご自身(インナーチャイルド)”に会いにいくという瞑想をしていきました。
そのインナーチャイルドに「あなたが悪いわけじゃないよ」というメッセージを言ってあげることをしました。
そうすることにより、子どもの頃に作られた“この状況になったのは私が悪いからなんだ”というマインドの書き換えをしていくことを何度もしていきました。

虐待により傷ついた思いを癒やしていくことで、Bさんは徐々に自分が悪いんだという発想をすることが少なくなりました。

そして相手から不当な態度や扱いを受けた際に『私はそんな不当な態度や扱いを受ける筋合いは無い』と思えるようになっていき、そのことを意見できるようにもなっていきました。
彼もその言葉に反省し、悪い態度を改めるようになっていきました。

意見を言っても不当な態度や扱いを変えない人とは距離を置くようにしていきました。
以前は、子どもの頃のお母さんに無視される恐れが癒やされずに残っていた為に、その癒えてない恐れが、人に見捨てられる恐れという形ででるようになっていました。その為、今までは不当な扱いを受けていても見捨てられないようにしがみついていたのですが、お母さんに無視される恐れを癒やしたので、自分を大切にしない人とは距離を置けるようになった変化でした。

そうしていくことで、徐々にB子さんを取り巻く人間関係は変化していき、B子さんの周りはB子さんを大切に扱う人だけになっていきました。

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虐待により自分が悪いと思う心理パターンが身に付いてしまうケースがあります。

この記事を見て『あっ!私もそうかも!!』と思われた方がいらっしゃいましたら、日常生活で私が悪いんだと思った際には一度立ち止まって、『私は過去の影響で私が悪いと発想しやすいだけで私が悪いわけじゃないのかも?』と考えなおしてみるといいかもしれませんね。

そして、あなたの心の中に、まだ傷ついているインナーチャイルドがいたら、インナーチャイルドを癒やすべく、辛かった思いを信頼できる誰かに話してみられるといいかもしれません。
話をして感情を外に流すことで心は徐々に癒えていきますから。

あなたが私が悪いんだと発想することが無くなっていき日常生活がより楽になっていくよう祈っています。

(続)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら
  1. 子どもに優しくできない〜虐待を受けていた影響からの解放〜
  2. 私が悪いと思う癖〜虐待が作る私が悪いと発想する心理パターン〜
  3. 怒りの声を聞くとダメージを受ける〜面前DVの影響からの脱出〜
  4. 自分の気持ちがわからない〜虐待により感情を閉じ込めた影響〜
この記事を書いたカウンセラー

About Author

若年層から熟年層まで、幅広い層に支持されている、人気カウンセラー。 家族関係、恋愛、結婚、離婚、職場関係の問題などの対人関係の分野に高い支持を得る。 東京・名古屋・大阪の各地でカウンセリングや心理学ワークショップを開催。また、カウンセラー育成のトレーナーもしている。