恋愛問題の裏側にある感情

恋愛には「恥ずかしい」という基準が存在する

こんばんは

神戸メンタルサービスの平です。

恋愛相談において、相変わらず多いご質問が、ケンカに関することです。

ケンカに関しては、いろんな形でお話をさせていただくことができるのですが、今日はひとつの具体例を通してケンカのパターンをみていきたいと思います。

あなたは女性で、彼とのおつきあいが始まって2ヵ月くらいたっていると思ってください。

今日、あなたは彼のおうちに遊びに行くことになっています。

彼はそうじや洗濯がとても苦手で、いつも困っているという話をあなたはいつも彼から聞いていました。

食事もいつもコンビニ弁当やカップラーメンばかりで、ろくなものを食べていないことを知っていました。

そこで、あなたは、今日こそは愛する彼のために、そうじや洗濯をしてあげたり、おいしい料理を食べさせてあげよう、と気合十分で彼のおうちに行ったと思ってください。

ところが、彼の方は、あなたが今日家に来てくれて、手料理を作ってくれるという認識しかなく、あなたがそうじや洗濯までしようとしていることなどまったく知りません。

彼は、あなたがやってくるということで、いつもどおりの汚い部屋をがんばって大掃除したようです。

「まずはそうじかしら」とはりきって彼の部屋に入ったあなたは、ちょっと肩すかしをくったような気分になりました。

ところが、何気なく押入れを開けてみると、そこには洗濯物がいっぱい詰め込まれていました。この洗濯物は、昨日まで部屋に散らかっていたのでしょう。

あなたを迎えるにあたり、彼が昨日の夜にとりあえず部屋中に散乱していた洗濯物を押入れに放り込んで片付けたという状況のようです。

十二分に気合を入れてきたあなたは、ようやくすることが見つかったので、彼にこう言いました。

あなた:「あっいいもの見つけた!だめじゃないの!こんなに洗濯物を溜め込んでたら。私が全部洗濯してあげるわ」

彼:「いいよ」

あなた:「よくないよ!下着なんか黄ばんじゃってるじゃないの!いいから私に任せて」

彼:「いいってば、もうやめてくれよ!」

彼の言葉を無視して洗濯をはじめようとするあなたに、彼は洗濯物の入っている押入れを閉めてあなたをさえぎるように言いました。

彼:「やめてくれって言ってるだろう」彼に突き飛ばされたあなたは、ややムキになって

あなた:「何するのよ。貸しなさいよ」

彼:「もう、いいから帰れよ。バカ!」

あなた:「何で・・・(泣)」

そして、あなたは彼に追い出されてしまい、途方にくれます。

このケンカについて、女の子側のあなたの心理は、こんな感じです。

「洗濯物を溜め込んでいることはよいことなのか?悪いことなのか?」

「もちろん悪いことである」

「溜め込まれた洗濯物を洗濯してあげたい私はよい人なのか?悪い人なのか?」

「よい人である」

「洗濯物を溜め込むという悪いことをしている彼が、洗濯物を洗おうというよい行いをしようとしている私を突き飛ばした。

そして、よいことをしようとした私が、悪いことをした彼に怒られた。とても理不尽である。何で私が怒られなきゃいけないの!!」となってしまうわけです。

しかしながら、読者のみなさんはもうおわかりかもしれませんが、彼は、「よい・悪い」「正しい・間違い」というのを基準にしていたわけではなく、ただ、恥ずかしかったのです。

自分の溜め込んだ洗濯物の山を愛する彼女に知られたくなかったし、見られたくなかったのです。

だらしない自分は嫌われてしまう、という気持ちもあったかもしれませんが、ただ恥ずかしかったのです。

そしてなんとかそれを隠そうと、つまり嫌われたくない一心で、こいう言動をしてしまったのです。

もちろんあなたも、好感度を上げようとがんばったのですが、2人の考え方の基準が違っていたため、ケンカになってしまったのです。

ここで一番、女性がはまってしまうワナは、「私は、彼に愛されるために正しいことをしたにもかかわらず、現実には彼に嫌われてしまった」と思ってしまうことなのです。

彼を愛するがゆえによかれと思ってしたことが、このように一つでも否定されたり、うまくいかなくなってしまうと、自分が考えることが今後、またこのようにうまくいかなくなってしまったらどうしよう、と自分の考え方にすっかり自信をなくしてしまったりするのです。

あなたが彼の部屋に行って同じようなことをしたとしても、2人のつきあいが6ヵ月くらい経っていて、より親密になっている状況ならば、彼は大喜びであなたのしてくれることに大感激し、あなたの好感度がうなぎのぼりにあがったかもしれません。

まだ、2人の関係がしっくりとしていない恋愛初期段階だからこそこういった問題は起きるのです。

はじめてのキスや、はじめて彼がセックスを求めたときに、2人の関係が十分に成熟していないために、女性側がそれを拒絶する、というのもよくあることですが、これも洗濯物のケンカのパターンの応用編です。

この場合は、女性が男性を拒絶したのではなく、まだ2人の関係が成熟していなかったため、彼女が恥ずかしかっただけなのです。

恋愛には、「よいことと悪いこと」以外に「恥ずかしい」という基準が存在することを知っておいてください。

では、来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。