職場内や取引先と何か物事を進めていく際に、どこかで意図がずれていたことに気づいて慌てたことなどありませんか?
大きなビジネスの話でなくても、人とやりとりをしていてこちらの思っていることと相手が思っていることが違っていたなんてことは、誰もが経験したことがあるでしょう。
ちょっとした行き違いや思い違い。
笑い話ですんでしまうようなことならいいのですが、大事にいたることもあるかもしれないのです。
〇行き違いや思い違いが起きる要因は?
仕事では、誰かが誰かに何かを伝える・依頼をするということからやりとりが始まります。
そこでコミュニケーション不足が起きると行き違いや思い違いが発生して、ミスやトラブルにつながることになりかねません。
行き違いが起きる要因としては、
伝える側(話し手): 上手く整理して説明ができていない。相手へ伝えることの情報不足・言葉足らずなどが考えられます。
伝えられた側(聞き手):説明されたことへの理解不足や早合点。疑問点への確認ミスということもあるかもしれません。
〇なぜそうなるのか?
相手にできるだけ簡潔にわかりやすく伝えようとし過ぎて、情報不足になってしまうことがありますし、話し手側に「すべて言わなくてもわかるだろう」とか、「これくらいは知っているだろう」という感覚や思い込みがあることでそうなってしまうこともあります。
また、仕事の場ではその分野や社内など用語も使用することも多いですが、もし相手と共通認識を持たない用語などだと、相手が正しくと理解できていない状態だったり、情報そのものがどこかで間違って伝わったりということが起きることも考えられます。
さらに話し手に届くまで複数の人が間にいれば、伝言ゲームのように伝わる途中でズレや誤解が生じてしまうこともあるかもしれません。
話し手が誰かからの指示で動いている場合には、誤認識や自分の思い込み(解釈)によって相手に正しく情報を伝えることができないこともあるかもしれません。
同じように聞き手も自分の解釈で話や指示を聞くと、後から両者の間で「え?どうしてそうなった?」ということが起きる可能性があるわけです。
〇人と話す/聞くときの心の奥
人は「自分が見たいように見ている」、「自分が聞きたいように聞いている」と言われます。
私たちはみなそれぞれに思い込みというものを持っていて、それは今までの経験や環境で培われた自分の価値観など、いつしか自然に思い込んでしまったり刷り込まれたりしたものです。
思い込みはその人にとっては「それが当たり前」のことですから、その思い込みに気づいていないこともあります。
価値観のような大きなものもあれば、単語ひとつの持つ言葉のイメージやニュアンスなど多岐にわたります。
私たちはそれぞれに思うことを持っているので、物事を客観的に見ようとしても話を聞こうとしても、実は主観的に物事や相手を判断してしまうことが多いようです。
たとえば、少し昔の日本なら「結婚はするべきもの」「ひとつの会社で働き続けるのが良いこと」というようなものもあれば、「上司や取引先の依頼に出来ないとは言えない」と思う人がいるかもしれません。
「転職」と言う言葉にステップアップするというイメージを持つ人もいれば、長く続かない人というイメージを持つ人もいるかもしれません。
このように人それぞれで違う思いがあるのですが、その思い込みがいいとか悪いとかではありません。
ただ、その事柄を自分がどう思っているのか相手がどう捉えているのかが同じではないかもしれないということを知っておく必要があるのです。
〇行き違い・思い違いをふせぐために
・自分と相手の違い(ズレ)を知る
話し手が聞き手に何かを伝えようとする時、自分にとっての当たり前やそれが普通と思っていること、思い込みがあることを気にかけながら話す必要があります。
たとえば、「この5枚の書類を3部コピーお願いします」となった時、人によっては、クリップでとめて3セットとして渡す人もいれば、単にそのままコピーしたものを渡す人がいるかもしれません。
話し手が前者を当たり前だと思っていれば、そうでない形でコピーがもどってくればががっかりするわけです。
単純な話ですが、こういった話し手/聞き手の感覚や考え方のちょっとしたズレが、いつか大きな行き違いや思い違いに繋がるかもしれません。
自分の思ったことと相手の対応が少し違っていた時は、話し手側はもう一度具体的に説明したり、相手の真意を確認します。
お互いが考え方を熟知していたり、共通認識をしっかり持っていればスムーズにいくことはあるかもしれませんが、自分本位の言葉ではなく、相手がわかる言葉を使って伝えていくことを心がけると正確に伝わりやすくなります。
「言わなくてもわかるだろう」「こういうものだよね」という発想は出来るだけ手放せるといいですね。
・確認を怠らない
疑問点や分からないことは、相手に質問したり確認する必要があります。
そうは言っても、訊くタイミングを逸したりすることもあるでしょうし、相手に訊く勇気が持てない時もあります。
人によっては相手に訊くことは失礼なことと思っていたり、相手から怒られる・馬鹿にされると思っていることがあるかもしれません。
自分がわかっていないことを知られるのをイヤだという人もいるかもしれません。
そうすると、訊くことを躊躇してしまうことがあります。
ただ、そこで有耶無耶にしてしまって後から問題が生じたときには、さらに自分が困ることになってしまいます。
相手によっては、質問や発言がしやすいこともあれば、そうでない場合もあると思います。
相手に怒られる怖さがあれば、ききたくても訊けないなんてこともありますよね。
けれども、わからないことが良くないことと思う必要はありませんし、わかっていない自分にダメ出しする必要もありません。
しっかり仕事をこなしたいから、相手の希望に沿う形で仕事を仕上げたいと思うからこそ質問も出てくるのだと思います。
一生懸命に頑張ってる自分を認めてみてもいいのではないでしょうか。
そして、訊くことや都度確認をすることは、相手の考え方を知ることにもなります。
そして、自分にない発想を得ることにもなるのだと思います。
***
行き違いや思い込みを減らすためには、自分の思い込みに気づくことです。
そうすると、話しての場合は相手へ上手く伝えることも出来ますし、訊き手側になった時は自分の早合点も減らしていくことができます。
お互いがよりわかりやすく信頼できるコミュニケーションをとり、行き違いを減らすためのちょっとしたヒントになれば幸いです。
お読みいただきありがとうございました。