なぜだかワケもなく涙が出てくるとき

なぜだかワケもなく涙が出てくることはありませんか?
もしかしたらそれ、ワケもなく自然に涙が流れるのは、心がバランスを取ろうとしている反応かもしれません。

今日は、平凡な日常の中で起こっている出来ごとを、心理的なものの見方をしながらお伝えしたいと思います。

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母には仲の良い友人がおりました。
昔はその母の友人のお宅に、私と年の近いお子さんもいたこともあり、私も何度か遊びに行ったことがあります。家族ぐるみの良いお付き合いをさせてもらっていました。

ところが数年前、母の友人は体調を崩し入院してしまいます。
そしてその頃から母は、何度も友人が入院している病院へと足を運んでいました。
しかしある日、母の友人は、母の気持ちとは裏腹に、ご家族やお孫さん達に見守られ、帰らぬ人となってしまいます。
母にとって、とてもショックな出来事だったと思うのです。

その夜、母から「〇日に、友人のお葬式に行ってくる」と連絡が入りました。
そしてその当日「今から、行ってくる」とまた電話。

更に、またまた母からの電話が鳴り、今度は「お葬式に行ってきた」と報告です。
「すごく辛いんだろうな」そう感じつつも、「さっき聞いたよ。もう知っている」とも内心思います。

ところが少し驚いたことは、母が「まったく涙が出なかったのよ~」と、妙に明るい声で話していたこと。
普段は涙もろい母ですから「さぞかし落ち込んでいるだろう」そう思っていただけにとても意外でした。(その当時は分かりませんでした。)

少し話はズレますが、
そこから、1年くらい経って・・・

私が実家へ帰っていたときのことです。
その日は、父と母と私の3人で夕ご飯の材料を買いに、スーパーに行くことになりました。
母の案で「今日は天気もいいし、せっかくだから車には乗らずに、散歩がてら山の方を歩いて買い物に行こう」ということになったんです。
もともと私は歩くことが好きですし、日ごろから糖尿病の母の運動不足も気になっていましたので、丁度いいと思いました。

その日は日差しもポカポカで清々しいお天気。
少し早めに3人で家を出てスーパーに向かいます。

その道すがら、母が「あそこの○さんの家はこの間ね・・・。あの青い屋根の○さんの息子さんはね・・・」と、ご近所情報を教えてくれます。
まぁ、そんな情報をどこから仕入れてくるのか分かりませんが、あれこれ知っているのにはビックリです。
田舎だからなのかもしれませんね(苦笑)

そんなこんなで、軽い傾斜の山道を3人でゆっくり歩きます。
空気もキレイですごく心地いい。
途中、道の脇からは ちょろちょろと湧水も流れています。
耳を澄ますと、その湧水の音や遠くの方で鳴いているセミや鳥の声。
その周辺だけは静かにときが流れ、穏やかな空気が漂っているかのようでした。

すると、母が突然「なぜか分からないけど、さっきから涙が出て止まらないの。強い風が目に入ったわけでもないのになんだろう?変だわ」と言いながら、少し動揺している様子。

まるで心霊現象にでもあったと言わんばかりに、不思議そうな顔で止まらぬ涙をぬぐっていました。

でも、今の私ならわかります。
人はあまりにもショックで悲しいときには、自分の気持ちを受け止めきれず、石のように感情が固まっていて泣けないのです。
母は友人のお葬式で泣かなかったのではなく、泣けなかったのでしょう。
人って安心したときに、ようやく泣くことができるといいます。

……………

○ワケもなく涙が出てしまうとき

一般的に、人は安心できる環境で自然と泣くことができるといいます。
涙を流すと精神的にもリラックスできたりします。
涙が流れるのは、心がバランスを取ろうとして、自分の心を守るような反応だったりするのです。

多くの場合、ワケもなく不意に涙が出てしまう感情は、昔からのあなたの気持ちで、過去に傷ついて見ないでいたネガティブな気持ちなどが影響していることがあります。
そのときには、あまりにも辛くて感じたくなかった、悲しい、寂しい、しんどいなどの気持ちです。
※涙が出ること自体は何も悪いことじゃありません。

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本当はあのとき、母は図らずも亡くなった友人のことを思い出していたのかもしれません。
こんな風に、話をしながら山道を歩いたことがあったのかもしれませんね。

母の涙は、解放感や安心感に包まれたことで溢れ出たのでしょう。(無意識)

もちろんこのときに溢れ出した涙が、具体的には「過去の何の出来事の涙なのか?」とはハッキリと分かるものでもありませんが。
けれどそこには、日ごろから気持ちを我慢していたり、感情を抑えていて、知らず知らずのうちに苦しい気持ちや辛い気持ちが行き場を失い、心の中には溜まっていたようです。

最近、あなたも、なぜだかワケもなく涙が出てくることはありませんか?

もしかしたら、自分では気づいていない間に、ずいぶんと頑張り過ぎてきた(いる)のかもしれません。
そんなとき、これまで一生懸命頑張ってきた自分に「よく頑張ってきたね。ありがとう。」と、やさしく抱きしめてあげるときなのかしれませんね。

あなたは、泣きたいときにちゃんと泣いていますか?

何か少しでも参考になれば幸いです。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

「本当の自分」を取り戻すサポートを得意とする、アダルトチルドレン経験者。一人ひとりの心にそっと寄り添い、自己価値を見出す。安心感あふれる雰囲気で、恋愛、仕事、人間関係の相談に応える。心の成長を育むカウンセリングには定評あり、ボランティア活動から得たファンも多く、信頼も厚い。