依存的なパートナーを選んでしまう心理 〜自立の立場を手放さないのはなぜ?〜

隠れた依存心が依存的なパートナーを選んでいる

なぜか手のかかるパートナーと出会ってしまう恋愛パターンがあると、自分は常に与える側になってしまい、いずれ不満が限界を迎えて相手との関係が悪化することがあります。依存的な相手を選びたくないのに選んでしまう理由。そこには過去に抑圧した自らの依存心の影響があるようです。

今回の担当させていただく近藤あきとしです。どうぞよろしくお願いいたします。

「なんだかいつも甘えたがりの彼とばかり出会っている気がする・・・」

「つきあう彼女は僕に要求してくるばかりで、だんだん重く感じるんだよなー」

恋愛の場面でこんな気持ちになったこと、思い当たる人はいないでしょうか?

甘えん坊だったり、要求が多かったり、何かと面倒くさいと感じてしまう。あるいは「なんで私が与えるばかりなの?」と不満が溜まってきて関係が悪くなってしまう。

皆さんが、そんなちょっと手のかかるパートナーに良く出会っているとしたら、無意識的な恋愛パターンになっているのかもしれません。

依存的なパートナーとつきあっていると、多くの場合、心理的なバランスによってもう一方の人は自立的になっていきます。

すると、自立側から依存側を見た時に感じるのが「こんなめんどくさい人に比べたら、私の方がしっかりしてるわ」という気持ち。

でも、自立的な生き方をしている人の全員が、依存的なパートナーを選ぶわけではないですよね。では、依存的なパートナーを選んでしまう理由とはいったい何なのでしょう?

そこには「これだけあなたのお世話をしてあげたんだから、次は私のして欲しいことを満たしてくれるよね?」という心理があるからだと考えられます。

じつは手のかかるパートナーの面倒をみようとする裏には、その後は「自分の依存を満たして欲しい」という期待を隠し持っている場合が多いのです。

では、次になぜそんな心理になるのかを見ていきましょう。

依存を隠し持つ心理のルーツは子供時代に遡ることができます。

私たちは子供の頃は誰かに依存しなければ何もできませんでした。赤ちゃんの頃はすべてを親に委ねることで生きてこれたわけです。

ただ大きくなるにつれて、甘えたい気持ちなどの欲求がだんだん通らなくなってきます。

昨日まで満たしてもらっていた欲求が、「今日から自分でしなさい」と言われるようになります。多くはしつけが始まる時期ですね。

するとここで、私たちの自立の一歩が始まるのです。

「じゃあもう誰もあてにしませんよ!」

「全部わたしがやるから、もういいです!」

欲求を満たしてもらえなかった体験が心の痛みになり、もう二度と傷つかないために自立の道を歩き始めるのです。(もちろん親には親の思いがあるので、これは子供の視点からの感情です)

重要なのは甘えたい気持ちが無くなったのではなく、甘えようとして傷ついたので、もう依存は出さないように抑圧しただけというところです。

となると自立的な人ほど、心の奥には過去に満たしてもらいたかった甘えたい気持ち(依存心)が、そのまましまい込まれていると見ることができます。

つまり、過去の依存心を抑圧している分だけ、今のパートナーをお世話することによって、心の奥に隠している自らの欲求を「もう一度満たして欲しい」と期待している気持ちがあるのです。

依存的なパートナーにイライラしてしまったり、手のかかるパートナーとばかり出会ってしまう恋愛パターンを改善したいと考えているなら、あなたの心の奥にしまい込んだ「依存心」を見つめ直してみる必要があります。

その為に、まずはあなたが子供時代に甘えたかった両親に対して、言えていなかった「ありがとう」「ごめんなさい」「助けてください」の言葉がなかったか、思い返してみてください。

できるだけ具体的な状況、エピソード、当時の会話なども思い出せるといいですね。

もし今、嫌な感情が出てきたとしたら、あなたは両親との関係性についてとても自分を責めているはずです。

なぜなら、私たちは本当は伝えたかった気持ちを伝えられていない時に「罪悪感」を抱えるからです。

嫌な感情になるのは、自分が依存(子供)時代の罪悪感、そして両親に不平不満を抱えていたことが思い出されるからなのです。

すると、罪悪感や自分を責める気持ちを感じたくはない分だけ、できるだけ依存の立場になることを避けたくなります。誰の助けも借りず、なんでも自分で解決できて、周りの誰かのお世話もできる自立側に立とうとするんです。

ですがその姿勢は、自分の依存心も罪悪感も気づかないフリをしているだけです。

そのままではどれだけ誰かを助けても、パートナーのお世話をしても、依存的な人と出会うパターンは変わらないのです。

あなたがパートナーから言われたい言葉は何でしょうか?

「ありがとう」という感謝かもしれませんし、「ごめんなさい」「助けてください」かもしれません。あるいは「愛してます」かもしれないですね。

あなたが言われたい言葉、この言葉を今度は過去にお世話してくれた両親に素直に伝えられるくらい、関係性を良くしてことであなたの中の罪悪感が癒されていきます。

依存的なパートナーとの恋愛から抜け出すには、あなたの「罪悪感」を手放すこと。これが最も大切なポイントです。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

超自立男性との恋愛・コミュニケーションに関わるお悩み・慢性的な生きづらさの解消などを得意とする。 理論的な“心理分析”と、感覚を使った“心理セラピー”を活用する多面的なサポートが好評。 問題の裏に隠れた「真実の物語」を読み解き「自分の本質を生きる」ことを目指すカウンセリングを提供している。