■喜ぶ
「こどもの自己肯定感を育むのに『褒めることが大事』と聞くけれども、褒めることが苦手」
と、悩んでいる親御さん、いらっしゃることと思います。お子さんの幸せを願い、試行錯誤されているのだと思います。お子さん思いの素敵な親御さんだなと思います。
実は褒めることが苦手でも「こどもと喜ぶだけ」で、こどもの自己肯定感を育むことができるのです。
・無理に褒めなくてもいい
「今日かけっこで、一番だった!」
と、こどもが言ってきたとき
「やった~!」
と、親はこどもと一緒に喜ぶだけでいいのです。
「すごいじゃない」「さすが!」
といった褒め言葉。もし自然に出てくるのであれば、ぜひ伝えてあげてほしいなと思います。でも
「褒めるのが苦手」
と、思うときは無理に褒めなくてもいいのです。
「かけっこ、一番だったね!」
と、親は「喜ぶ」だけでいいのです。
■こどもにとって、一番欲しいもの
こどもにとって一番欲しいものは親の「笑顔」であり、「喜び」です。親が一緒に喜んでくれたとき、こどもは
「自分の一番欲しいものをもらえた」
と、思うものです。そこには「受け取る喜び」があります。
・受け取る喜び、与える喜び
同時に
「大好きなパパやママに、笑顔や喜びを、『自分が与えること』ができた」
という与える喜びを、こどもは感じています。
親が喜ぶということは、こどもに「受け取る喜びと、与える喜び」を同時に与えることができます。それはこどもの自己肯定感を育んでくれます。
■褒める・褒められるということ
とはいえ
「育児書には『褒めましょう』と、書いてある」
そんなお声も聞こえてきます。
たしかに子育てにおいても、褒めることはこどもの自己肯定感を高めてくれます。私たち大人も、褒められると嬉しいと思うことがあると思います。
でも、人によっては
「褒められるのも苦手」
というお声も伺います。
・褒める・褒められるのが苦手なのは、なぜ
私たちが「褒める・褒められるのが苦手」なのは、大きく2つ理由があるのだと思います。
1、「日本では『褒める・褒められる』経験をすることが圧倒的に少ない」
経験の少なさから
「どうしたらいいのかわからない」
という思いが出てくることがあります。
2、「褒める・褒められる」ときに、「コントロールまたはなんらかの意図」を感じる
親から
「テストの点数がいいときだけ、褒めてもらえた」
という経験をした場合。
こどもも喜びから
「もっと頑張ろう」
と、思うことがあります。
でも、人によっては
「親はテストの点数しか認めてくれない」
という思いを感じることがあります。褒める・褒められることに、コントロールされているという感覚や意図を感じて、苦手意識を持つことがあります。
■怒りや思いがあるのかも
褒めるのが苦手だという親自身が
「親からあまり褒めてもらえなかった」
もしくは
「親から褒められても、コントロールや意図を感じてプレッシャーだった」
と、感じている場合があります。
その思いがあると、こどもに
「褒めよう」
と思っても、自然に褒めることができなくなります。ご自身の長年の思いや、怒りや疑いも、同時に感じるからです。
■子育てが気づかせてくれること
私もこどもを褒めるのが苦手でした。私が
「勉強のことだけ褒めるのではなく、もっと私のことを見てもらいたかった」
と、親を責めていたのです。子育てをしてみて、私はやっと気づいたのです。
・葛藤しからこそ、受け取れたこと
私も葛藤してみて、受け取れたことがあります。それは私の親も同じだったのかもしれないということです。親世代は、私たちの世代よりも褒められる経験が少なかったと思います。
親からしてみたら、私がテストでよい点数を取ったという出来事は
「褒めやすかった」
だけ、なのかもしれません。
「親も精一杯だったのかも」
自分が親になって葛藤したからこそ、私も親の思いを受け取れたのだと思います。それは、私の過去の心の傷も癒してくれました。
・癒しが起きるとき
これを読んでくださっているあなたにも、なにか褒める・褒められることに関する思いを感じているかもしれません。その思い、ぜひ、優しく丁寧に感じてあげてほしいなと思います。
なぜなら、自分が感情を感じきるとき、そして、誰かに受け止めてもらったとき、癒しが起きるといわれているからです。痛みが強い場合は特に、一人で抱えず、誰かに受け止めてもらってあげてほしいなと思います。
■喜び合おう
私自身も親の思いをやっと受け取れたのですが、こどもを褒めることにはまだプレッシャーがありました。あるとき
「子育ては褒めなくていい。一緒に喜ぶだけでいい」
という言葉を、私は聞きました。
その時
「こどもと喜ぶのは、自然とできる。楽しい」
と、私は肩の荷がおりて、解放され、自由になった感覚を感じました。
・こどもの持つ、共感能力は大人が思っている以上に大きい
こどもの視点に立ってみたとき、
「こどもを褒めることが苦手だ」
と、親が自分を責めていたら。
「自分のせいで、親が苦しんでいる」
と、誤解し、こどもも自分を責めてしまうかもしれません。
「ただ、親子で喜び合うだけでいい」
と、親が安心している姿を見たら、こどもも安心していられるのかもしれません。こどもの持つ「共感能力」は、私たち大人が思う以上に大きいものです。
■こどもと自分の自己肯定感を育む
親がこどもと一緒に喜び合うという経験は、こどもに
「自分は産まれてきてよかったのだ」
という最強の自己肯定感を育んでくれます。
その姿を見た親もまた
「我が子と一緒に喜べる自分自身もまた、一生懸命生きてきた」
という自己肯定感を、ともに育む経験になるのだと思います。だからこそ、子どもと一緒に喜んでみませんか?
みなさまの子育てのお役に立てましたら、うれしいです。
来週は、小川のりこカウンセラーです。
どうぞお楽しみに。