親密な関係から遠ざかろうとするのは「二度と傷つきたくない」から
私たちは人生で経験する様々な出来事で、様々な心の痛みを感じながら生きています。
ある時は家族との不仲や友だちとの仲違いなどの人間関係で傷つき、ある時は仕事上での失敗や上司や部下との衝突で傷つくこともあります。
パートナーシップでは愛する人から傷つけられた。あるいは愛する人を傷つけてしまったことで、心に大きな痛みを抱えている人もいます。
特に親密な愛を感じていた相手に対する痛みがいつまでも心に残っていると、その後のパートナーシップにおいてネガティブな感情を強く抱えてしまう場合があります。
「二度とあんなつらい思いはしたくない」「もう傷つきたくない」そんな思いが強まっていくことで、つらい気持ちになりそうな場面や、傷つきそうな状況から距離をとるようになり、結果的に自らを恋愛から遠ざけていってしまうのです。
また意識的にはそう思っていなくても、無意識的に親密になりにくいパートナーを選んでいるために、幸せな恋愛が手に入らないパターンに陥ってしまうケースもあります。
今回は心の痛みの影響による「うまくいかない恋愛パターン」の一つ、「同じパートナーと何度も別れてやり直す」心理を解説していきます
■過去の心の痛みから親密さを避けてしまう
同じパートナーと別れてはその度に復縁するものの、毎回同じ理由で別れている。そんな恋愛を繰り返している人がいるとします。
色々あって別れてしまったけれど、そのパートナーともう一度やり直す。という選択をすること自体は何の問題もありません。
ただ、やり直した後で以前と同じ問題で悩んでまた別れる人と、その問題を乗り越えて以前よりも幸せになっている人と、2つのタイプに別れてしまうのですが、それには理由があります。
前者になってしまう人は、別れた後の寂しさや孤独に耐えられなくて、心の隙間を埋めることを最優先にしてしまうのです。つきあい直して、寂しさと孤独がとりあえず満たされると、今まであった問題に再び直面するのでまた同じ結果になりやすいのです。
なんとなく「また同じことが起こるんじゃないかな〜?」と予想しつつ、復縁してしまった経験がある人もいるかもしれませんね。
心のどこかで「愛されたい」と望みながらも、「愛されることを怖がっている」からこそ起こってしまう問題です。
愛し愛される幸せな恋愛がしたい。でも相手との心の距離が近づいてきて親密な関係になりそうになると、過去の心の痛みが思い出されてきます。
だとすると同じパートナーと別れては復縁する関係というのはある意味都合がいいんですね。
なぜなら同じことの繰り返しで関係が進展しないパートナーを使って、これ以上親密にならなくて済む(傷つかない)関係が手に入っているからです。
■自分は愛されない存在という思い込み
心の痛みをもたらす体験は人により様々です。
ある女性は、子供時代に父親が海外赴任へ旅立つ日に、見送りに行った空港で寂しさのあまり泣き叫んでしまいました。父親との別れの痛みから「私の好きな男性はいつも遠くにいってしまう」という恐れを抱えるようになったのです。
すると恋愛でパートナーとの距離感が近くなってくると「でもいつか離れてしまうに決まってる」という不安が出てきてしまうため、浮気を繰り返す彼や、仕事が忙しくなかなか会えない彼ばかり選ぶようになりました。
別の女性は、初恋の相手がじつは他に本命の彼女がいて、二股をかけられていたことにショックを受けて大きく傷ついた経験がありました。
その後の恋愛では、いつも「きっと彼は浮気してるんだわ」と疑ってしまいケンカばかりが続いていました。
こうした過去の痛みの大きさの分だけ、自己嫌悪が強くなり「自分は愛されるに値しない存在」だと思い込んでしまう。つらかった経験に苦しんだ分だけ、罪悪感を感じて「こんな自分だからダメなんだ」と自分を責めてしまう。
すると、どうしても恋愛に恐れや不安を感じてしまい、親密な関係にならないような行動を選び続けてしまうのです。
■もう一度自分の思いを大切に扱うことから
幸せな恋愛を望んでいるにも関わらず、愛したい相手とうまく関われないとしたら、自己嫌悪や罪悪感を手放して、自分自身を許し受け入れる自己愛を育む意識が大切になります。
自分の感情に向き合い整理することで、過去の体験から生じた「傷つくことへの恐れ」を解放し癒していくアプローチも有効です。
それはあなたが自分をどのように扱っていても、あなたには愛される価値があることを受け入れていくプロセスになります。
どんな自分にもOKを出せるくらいの自己愛をもてたら、私たちはそんな自分に相応しいパートナーを選ぶようになります。
今のパートナーに執着せず手放すこともできますし、ひょっとしたら今のパートナーに変化があらわれて愛し愛される関係に成長する可能性もあります。
傷ついた体験はあなたが誰かを愛そうとした証、より深くつながろうとした思いの裏返しだと言えないでしょうか。
ここで今一度、自分自身の気持ちを大切に扱うことから、あなたが本当に欲しかった幸せな恋愛への道のりを歩き始めてみましょう。
(完)