禁止のレベルを低くするという考え方
●心理的な禁止
同じ出来事でも怒りという反応になる人もいれば、怒りという反応にならない人もいます。
その違いはなんでしょうか?
その違いとして心理的に何かを禁止していることが要因になっているケースがあります。
(注:禁止以外の心理が要因になっているケースもあります)
では、心理的に何かを禁止しているというのはどういうことなのか?
例えば、禁酒の場合の禁止の意味あいはお酒を断つ、つまり完全にお酒を飲んではいけないという意味になります。
今回ご紹介する心理的に何かを禁止しているの意味あいは、禁酒のように完全になにかを禁止するという意味ではなく、何かに制限をかけている、何かにブレーキがかかっているという意味あいでとっていただければと思います。
●禁止があると怒りが発生しやすい
例えば、
するべき内容があるのだが、それをすることに自信を持てないことがあったとします。
その際に、他の人に何とかしてもらおうという思惑の行動を取った人がいたとします。
その行動に対して「いいよ、いいよ代わりにやってあげるよ」と腹もたてずに何とかしてあげる人もいれば、「簡単に人に何とかしてもらおうと思うなよ。もっと自分でやろうと頑張ってみろよ」と腹がたつ気持ちが湧いてくる人もいます。
同じ出来事なのに、腹を立てない人もいれば、腹が立つ気持ちになる人(怒りの感情が発生する人)もいるわけです。
このようなケースで腹を立てる人にインタビューをしていくと、その人は『人に負担をかけずにできるだけ自分でなんとかするべきだ』という考えを持たれていたりすることがわかることがあります。
『人に負担をかけずに』の部分は負担をかけることを禁止しているという成分が含まれていますし、『できるだけ自分でなんとかするべきだ』の部分は人を頼るということを禁止しているという成分が含まれています。
人は自分が禁止していることを、している人がいると怒りという感情が発生しやすいのです。
このケースの場合は、人に負担をかけるというのと、頼るという自分が禁止をしている行動を取ったことに対して腹が立つ(怒りという感情)が発生したのですね。
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このケースの人の『人に負担をかけずにできるだけ自分でなんとかするべきだ』という考えは悪い考えではありませんよね?
この考えをもっていることで社会で上手くいくシーンも多々あると思います。
ただ怒りという感情が発生する場合は、ご本人の心としては心地良い状態ではないとは言えます。
心に負荷(ストレス)がかかっている状態です。
では、どうしたらいいのでしょう?
●禁止のレベルを低くする考えに変える
人は自分が禁止していることを、している人がいると怒りという感情が発生しやすいと前述しました。
逆を言うと、何かを禁止していない状態、もしくは何かの禁止のレベルが低い状態ほど、怒りの感情は発生しにくいと言えます。
だとしたら禁止していることを無くすか、禁止のレベルを低くしてあげればいいのです!
先ほどのケースの『人に負担をかけずにできるだけ自分でなんとかするべきだ』という考えを『人に負担をかけずにできるだけ自分でなんとかしようと思うけど、時と場合によっては人に頼ることがあっても良い』とか『余裕がある時は自分でなんかするとして、困った時はもっと人を頼っていいんだ』などの禁止のレベルが低くなるような考えに変えていくのです。(もちろん禁止を無くす考えでも良いですよ)
そうすると他人が誰かに負担をかけているシーンや、誰かに頼るシーンをみても腹が立たない(怒りが発生しない)、もしくは腹はたつはたつけど前よりは腹が立たない(怒りのレベルが低下)に変わることがあります。
●あなたは何を禁止していますか?
あなたには心理的に何か禁止しているものはありますか?
・気をつかわないことを禁止している
・自分の気持ちを優先することを禁止している
・投げだすことを禁止している
・さぼることを禁止している
・頼ることを禁止している
・プライベート優先を禁止している
などなど、
何らかの心理的に禁止がかかっているものがないか見つけてみてはいかがでしょう?
もし、その考えは悪いものではないけれど、禁止しているものがあるせいで怒りが発生しやすくなってしまい、あなたの心が心地良い状態ではなくなるようなことがあれば、禁止のレベルを低くする考えに変えてみてもいいかもしれませんね。
(続)
- 怒りの解消方法〜怒りを作る本当の感情を見つけて癒やそう〜
- 禁止のレベルを低くする考えに変えると腹が立つシーンを減らせる
- 怒りよるトラブルを減らそう〜トラブルを減らす3つの言葉〜
- とっても怒るのは、もしかしたら完了していない痛みがあるからかも