恋愛の幸せは被害者意識の向こう側にある
恋愛や結婚にまつわるご相談をいただくとき
「パートナーとトラブルになりとても傷ついた」
といったお声をいただくことがあります。
確かに愛し合いたいと願うパートナーとの関係で傷つくとしたら、それはとても辛いことです。
ただ、「私は被害者だ」というスタンスを貫くと、更に辛い現実と向き合うことになることも多いようです。
そこで今回は恋愛と被害者意識にまつわる講座をお届けします。
◯被害者意識とは
「被害者意識」とは
自分は害をこうむった側である、自分は相手から同情や償いを受けて当然である
といった感覚などを指す言葉です。
ただし、被害者意識を持っている人が常に「私は被害者なんだから」といった意識を持っているとは限らないんですよね。
例えば「どうして愛してくれないの?」「私は愛して欲しいだけなのに」といった恋愛の中で登場しやすい気持ちも、時として悪意なき被害者意識を示している場合があります。
もちろん、好きな人に愛してほしいと願うことが悪いわけではないのです。
ただ、「私は愛される側であって、相手が愛するべき」と考えている場合、自分が愛されなかったときに「被害者意識」を持ちやすくなる、と言えるんですね。
なお、この被害者意識は、実際に何かしらの出来事の被害者になることと同じ意味ではありません。
被害を受けても被害者意識を持つかどうかは、人それぞれ違うものですからね。
・加害者意識とは
この被害者意識と対になる言葉が「加害者意識」です。
「加害者意識」とは痛烈な「他害・加害から生じるの罪の意識を伴う意識」を指します。
例えば、
「罪を犯した」「取り返しのつかないことをした」といったわかりやすい場合もあれば
「自分は大切な人を傷つけた、裏切った」
「自分なりに頑張ってきたけれど誰の役にも立たないと感じる」
「愛されてはいけないような気がする」といった
「大切な人を傷つけたり、守れなかった」といった思いとともに感じることもあります。
どこか自分に失望したり、自分の存在自体を疑い続けてしまう理由になることもあります。
◯なぜ被害者意識を強めると幸せを実感しづらくなるのか
さて、恋愛や結婚生活において、被害者意識・加害者意識のどちらかを強く抱えていると、なかなか幸せを実感できないという場合が多いです。
なぜ被害者意識を手放す方が幸せになりやすいのか、について考えてみると
「被害者意識」を強めることで愛されたり、自分が尊重されているという実感が得にくくなること
「被害者意識」を強めることは、相手を愛さない態度を強めること
この点において被害者意識は「自分の幸せのため」に手放す方がいいと考えられるんです。
例えば、被害者意識が「自分は相手から同情や償いを受けて当然である」という意識ならば
実際に相手から愛されたり、謝罪を受けたり、丁寧に接してもらっても
それは「相手が私に向けた同情や償い」と認識されることが多いでしょう。
相手からの何らかの好意が向けられたとしても、それを好意としてキャッチしづらくなるんですね。
結局、被害者意識が強い分だけ、愛されても受け取れない、という状態になりやすいのです。
よって、被害者意識は手放してその先の進む方が幸せを実感しやすくなる、というわけです。
◯被害者意識を手放そうとすると感じる加害者意識こそ手強いもの
ただ、実際に「被害者意識」を手放す意味を理解し、実行しようとしても、被害者意識を手放せないこともあります。
その理由の一つを考えるなら、被害者意識を手放そうとすると加害者意識を感じることが多いから、となるんです。
そもそも被害者意識とは
「自分自身が受けた被害分だけの補償を受けたい」というものではなく
「自分は相手から同情や償いを受けて当然である」というある意味漠然とした意識なんです。
この被害者意識を持ちつづけけいる間、実は意識できないところで「自分が相手を罰している、加害している」という側面があるのです。
また、恋愛であれば「愛している人を批判しつづけている」ことは、ある意味「私が相手を愛さない状態を続けている」とほぼイコールなんですね。
だから、被害者意識を手放そうとしたり、こちらから相手に歩み寄ろうとした途端、急に相手に申し訳なくなったり、相手に許してもらえない、もう愛してもらえない、といった気持ちになりやすいのです。
また、そのような気持ちを抱えていると苦しいので、また被害者意識を持つ自分に戻ってしまう場合も結構あると思いますよ。
◯被害者意識を手放すために目的を設定しよう
このような被害者意識を手放すためには、何よりも「被害者意識を手放す目的」が必要になります。
その目的とはズバリ「幸せ」です。
自分の幸せ、相手の幸せ、二人の幸せ・・・。
それ自体を自分自身の目的としてきちんと設定することです。
この目的がキチンを設定されている分だけ
「被害者意識を強めても、加害者意識から自分を罰しても、どちらも幸せになれるわけではない」
と理解できるようになります。
だから、被害者意識を手放し、自分や相手を許すということの意味が腑に落ちやすくなり、自分や他人を必要以上に罰することも少なくなります。
逆に、自分の中で目的が明確になっていないと
「今、相手を謝らせたい」
「どうやったら相手に許してもらえるのか」
といった、いわば場当たり的な意識が強くなって目的を見失ってしまうことも多いようです。
もし幸せなパートナーシップを目指すなら、あなた自身の目的を明確にすることから始めてみてもいいかもしれませんね。
(完)