遠慮しすぎは相手のためを思ってのことでも、時にその人を苦しめるという視点を持つ
カウンセリングの中でよくご相談を受けるテーマのひとつ「パートナーに遠慮しすぎてしまう」。
遠慮深い方は、気遣いのできる優しい方が多いのですが、遠慮は使い方を誤ると、逆に大切なパートナーを苦しめてしまう場合も出てきます。
例えば、こんなお話はカウンセリングのご相談の中でよく伺う話です。
最近、彼が忙しくてLINEやメールを送っても返事がなかなか返ってこない。
そのことに苦しんでいるけれど、自分から連絡を取ることが、彼の負担になっていると感じて連絡することを遠慮してしまう。
自分のことを嫌いになったのではないか、他に好きな人ができたのではないか、と後悔や自分の性格の良くないところを考えすぎて、全部自分が悪いのだと責めてしまう。
こうした場合の解決策のひとつは
「今の彼の状況や、彼がどんな気持ちになっているのかを聞いて確かめる」
ということです。
彼に電話などをして聞くことができたら、実は本当に忙しいことが理由で連絡が減っていて自分への思いは変わってないとか。
直接会って欲しいと伝えて、実際に会ってみたら彼がとても嬉しそうだったとか。
心配していたことが自分の思い込みだった、誤解だったことがわかった。
こんな場合もよくあります。
しかしながら、遠慮深い方は、こんな風に相手に気持ちを聞いたり会いたいと言ったりすることができません。
この時の遠慮の原因の一つは、
「連絡することで、気持ちを聞いたり、会いたいということで、相手に嫌われるのではないか」
というものだったりします。
こうした気持ちは遠慮深い方でなくとも感じるものです。
まずは、誰でも持つ不安や自分を責める気持ちなんだと知って、自分がこうした気持ちになることを否定せずに受け入れことをやってみてください。
そしてもう一つの気持ちが
「連絡することで相手に負担をかけたくない」
ということ。
これは、遠慮深い方が持っている優しさ、なんですね。
自分だけの都合で遠慮しているのではなく、相手のためを思う優しさがあるからやっているのかもしれない。
そんな風に自分の良さに気づくことがとても大切です。
自分の遠慮について、こうしたアプローチから整理をしてみてください。
◇遠慮しすぎがパートナーを苦しめているとしたら?
遠慮深い方は、時に、遠慮しすぎてしまう傾向があります。
遠慮しすぎが大きくなっていくと、この苦しみはどんどん大きく、また広がっていきます。
彼への連絡が負担になっているのでは?彼が私を嫌いになったのでは?と不安になるのは無理もないことです。
確かに可能性として、こうした場合もあるでしょうが、もし彼があなたのことを負担に思っていなくて、嫌いどころか好きでいたとしたら、逆に彼を苦しめることになってしまうという視点も持ってあげてほしいのです。
彼があなたのことを好きだったとしたら、あなたがこんな風に感じていることを知ったら辛い気持ちになりますよね。
そんな風に好きな人を苦しめてしまって申し訳ないことをした、と感じる人もいるでしょう。
遠慮には気を遣えるという良い点もありますが、遠慮しすぎてしまうと、自分が我慢しすぎたり、犠牲をしすぎたりすることになり、その様子を見ている相手にとっては苦しみとなり、この時こそ相手の負担になってしまう場合もあるのです。
自分が遠慮しすぎて相手を苦しめているのではないか。
この視点を持つがとても大切になってきます。
◇遠慮しすぎをやめるために自分のがんばりを承認しよう
遠慮しすぎてしまうあなたは、とてもがんばり屋さんで、とても自分に厳しい人です。
私は、遠慮しすぎのがんばり屋さんタイプの方には、
「あなたは彼のために、それだけでなく、仕事で、人間関係で、あらゆるところでがんばっている素晴らしい方ですね。」
とお伝えしています。
すると、必ずといっていいほど言われる言葉が
「そんなことありません。私の周りにはもっとがんばっている人がいます。」
というもの。
この言葉が、あなたががんばり屋さんで自分に厳しい証拠になります。
こうした方は、多くの場合、我慢強くて、弱音を吐かずに、一人でがんばっている方です。
あなたの周りにこんなタイプの人、周りに気を遣ってがんばっている人がいないか考えてみてください。
あなたはきっとその人のことを「本当によくがんばってる人だな」と応援しているはずです。
でも、自分のことは自分ではわからないもの。
「私は自分に厳しすぎるのかもしれない。だから自分のがんばりに気づけてないのかもしれない」
そんな風に思ってみてください。
自分のがんばりよりも、職場の仲間のがんばりを見てあげられる、彼のがんばりに比べたら私なんてと彼を思いやれる。
それほど、持っている愛情と優しさが大きいことに気づいてあげてください。
遠慮しすぎをやめて、彼を幸せにしてあげる方法は、こうした自分の価値を見誤っていることに気づき、認めて褒めてあげること。
あなたの価値は、まず、あなたが認めてあげてください。
そのことで、あなたの大切な人が、周りの人があなたの価値を見てくれていることに気づいていけます。
この気づきが、遠慮しすぎを減らして、自分の気持ちを素直に伝えられる力になっていきます。
(完)