自分が与えることの価値が信じられない 〜心の交流が価値を感じるきっかけとなる〜

自分が与えることの価値が信じられない・・・

「なかなかいい人と出会えない」というご相談者さんの中には、自分が与えることの価値が信じられないとお感じの方がいます。今回はそんな自分自身の愛情に自身が持てない感覚がもたらす恋愛への影響について解説します。

自分が与えることの価値が信じられないという悩み

さて、「なかなかいい人と出会えない」というお悩みを伺うと

どこかで「自分が与えることの価値が信じられない」という部分から生じているケースがあります。

要は、自分の愛情や存在の価値をちょっと見失ってしまっていたり、どこかで自分で自分のことを残念に思っているケースです。

これ、文字にするとサラッと流れてしまいますが、実際このような状態になると本当にくるし異思いを抱えがちです。

好きな人がいても、そばにいたいと思う人がいても、相手のためになにかしてあげたいと思っても

その手が止まる、といいますか、その気持ちに蓋をして我慢するしかないわけです。

少し想像するだけで苦しいですよね。

だから、いいと思える人がいても近づかないし、そもそも自分がいいと思える人を見ない(意識しない)ように、心が動いていることも少なくないんです。

逆に、いいと思える人を意識すると心理的な面でリスクを感じたり、いわば危機状態になるわけですから、そんな状況にならないために自分の心を守るなんてことも起こり得ることなんです。

ただ、意識としては「いい人と出会いたい」という願望を感じているので、「いい人と出会えない」と思うことになる場合もありますね。

自分が与えることの価値が信じられなくなる理由を考える

さて、「自分が与えることの価値が信じられなくなる理由」について少し考えてみます。

・人との心の交流の少なさ

一つは「誰かと愛し合えなかった・わかり会えなかった経験(過去)」だと考えられます。

例えば、親や家族とそりがあわなかった、友達とソリが合わずなかなか親友と呼べるひとができなかった、いじめなどつらい目にあった、といった経験。

そんな経験は「自分と誰かとの心の交流ができない」という状態を示すんですね。

この状態は確かに基本的自尊感情(第1回目の記事でご紹介しております)が高まらない要因として考えることができます。

・実際に自分を表現したり、人に与える経験があったかどうか

そもそも自分の持つ愛情の価値は、自分だけで自覚できるようなものではない、という側面があります。

僕たちは「これだけ頑張ったんだから大丈夫」と受験勉強のような感覚で、自分に自信をつけようとしたり、人を愛そうとすることがあります。

もちろん頑張ったという部分は決して無駄ではなく、自分の価値として受け入れてほしいのですよ。

が、いわゆる愛する自信とは「経験」を意味していることが多いんです。

どれぐらい人と関わったか、気持ちを交わしあったか、相手のことを思い行動したか、人がこちらに向ける好意に反応できたか・・・

そういった経験が「うん、大丈夫」という自信に変わることのほうが多いのですね。

例えば、パートナーのためにお料理をするとして、完璧に器具を揃え、完璧なレシピを手にしていたとしても、実際に作ったお料理がどのようなものかを確認するには、実際に料理するしかない、と思いませんか?

この考え方は自分自身の愛情に価値がないと感じる感覚に対しても同じようなことがいえるんです。

自分が与えることの価値を実感するために取り組めること

さて、ここからは「自分が与えることの価値を実感するために取り組めること」についてお伝えします。

自分の愛情の価値を実感するために、「実際に恋愛をしてみる」という方法も確かにあります。

好きな人と心を通わせ、自分から愛情を与え、相手の愛情を感謝して受け取る。

そんな経験は、愛されること、愛することの自信を高めてくれることでしょう。

が、そのハードルが高いから悩んでいる、と思われる方も少なくないのかもしれません。

そんなときには、「仲間や信頼できる人と関わってみる」「友人や家族と気持ちを通わせてみる」という経験がオススメです。

ときにはカウンセラーに相談する、話を聞いてもらうという選択もあり、ですよ。

でもそれが怖いと感じる分だけ、ついつい自分一人でこの問題に取り組もうとしてしまうようなんですね。

あえて逆説的に考えてみる、という視点

また、もし自分が与えることの価値が感じられないなら、あえて逆説的にこの事実を捉えてみてもいいかもしれません。

つまり「私が自分から与えられることの価値をないことにしたくなる理由があるとしたら」と考えて見る感じです。

すると、例えば

「あぁ、私は愛する自信がないというよりも、ちゃんと愛したいと思っていたから、なかなか一歩踏み出せずにいたのかもしれないな」と。

「失敗したくないから人と気持ちを交わさないような防衛的な態度を取っていたな」

というふうに自分を許しやすくなる気づきを得ることも可能になるんですね。

(続)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら
  1. 本当に好きな人だからこそ近づけない心理 〜自尊感情を高める視点から〜
  2. 両親より好きになれる人を作らないという心理 〜オトナになることで幸せが選べる〜
  3. 自分が与えることの価値が信じられない 〜心の交流が価値を感じるきっかけとなる〜
  4. 押しまくる恋愛ばかりでうまくいかない ~自分だけでなく相手の気持ちに着目しよう~
この記事を書いたカウンセラー

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年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。