自分を隠すことのコスパを考えてみる 〜自分のことを受け入れる〜

自分のことを受け入れる、ということ

自分の受け入れられていない面があると、それを隠そうとします。甘えん坊な面がある自分は良くないと思うとそれを隠し、甘えん坊と思われないよう人前でふるまうことがあります。その隠す行為にはある問題が生まれることがあります。この記事がその問題について考えるきっかけになればと思います。

●自分のことを受け入れる

今回から4回続けて、自分のことを受け入れるをキーワードに心の記事をご紹介したいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

1回目は、自分の一面を隠すことにエネルギーをかけていませんか?というお話です。
自分の一面を隠そうとする心理と、自分のことを受け入れるということは実は関係しているのです。

人は問題があることに気づかないと、それを変えていこうとする意欲も芽生えにくいものです。

ですので、今回の記事が自分のことを隠すことについての問題点と、ご自身の現状(隠すことにエネルギーをかけていないか?)に気づくきっかけづくり、そして自分を受け入れていく方向への意欲作りという形でお役に立てればと思います。

●自分のことを受け入れられていない要素

皆さんには自分のことを良く思っていないところ(要素)ってありますか?

もしかしたら「気が弱い自分ってダメだなぁ」等と思っていらっしゃる人はいるかもしれませんね。

もしかしたら「自分のおっちょこちょいなところが好きじゃないなぁ」と思っている人などもいらっしゃるかもしれません。

もしかしたら「その時のノリに任せて歯に衣着せず言いたいことを言って、時々人に嫌な思いをさせている時がある。思慮深くなく言葉を発してしまうところがダメだなぁ」と思う人などもいるかもしれません。

人は完璧ではありません。
私的には、人は完璧ではないので至らないところがあってもいいと思うのです。
あなたも他人に対して、そう思うことはないのですか?

他人に対しては人は完璧ではないので至らないところがあってもいいと思えても、自分自身に対しては、そういうところは良くないと思ってしまう・・・というお話はカウンセリングをしているとお聞きすることがあります。

そのお気持ちも私なりですがわかる気がします。
ありますよね〜、そういうこと。

また、劣っているわけでも、至らないわけでもない要素なのに、自分で自分のことを良ろしく思えないという内容のお話をお聞きすることがあります。

例えば、”しっかりしている”という要素!
一般的には劣っていると評価されるような要素でも、至らないと評価される要素ではないですよね?

だけど、ご本人的には『しっかりしすぎていて可愛げに欠けるところが自分の良くないところだ』と思ってしまうようなお話をお聞きすることがあります。

このように、劣っているわけでも、至らないわけでもない部分のところを自分では良ろしく思えていないというケースもあります。

これらの自分のことを良く思っていないというのは、違う言い方をすると自分のことを受け入れられていない状態という言い方もできます。

●良くないところだ思うと隠そうとする

ここが自分の良くないところだと思うと皆さんはどうしますか?

「ここが私の良くないところなの、知って、知って、皆さん知って」
と、世界に言いふらしたい気持ちが湧き上がるでしょうか?

そうはならないですよね?

自分の良くないと思ってる要素は、基本的に隠したいという心の動きが働きがちです。

例えば、身体的なコンプレックス(良くないと思っている部分)なんかがあると隠したくなります。
その為、寄せて、あげて、塗って、かぶって等の隠す為のアイテムは世で売れていますね。

身体的なコンプレックスだけではなく、精神的な部分に関しても良くないと思っているものは隠そうとしがちです。

●悪いものは隠さなければ・・・という心理

自分の良くないと思ってる要素は、基本的に隠したいという心の動きが働きがちなことについて、もうちょっと説明していきますね。

仮にの話です。
あなたが会社員をしていて超ハードスケジュールであるとします。

朝早くから出社し、終電で帰ってくる生活が半年ほど続いているとします。
くたくたで帰るので、ご飯を作る気力もなく晩ご飯はコンビニ弁当ですまして後は倒れ込むように寝てしまう生活。

疲れているので朝もギリギリまで寝て、慌てて出社の為に家をでる日々。その為、ゴミの日に出し忘れたゴミも溜まっている。
机の上には、コンビニの弁当の残骸が入ったナイロン袋と、空のペットボトルが散乱している始末。

夜中に帰ってくる生活の為、掃除機もかけられず、埃っぽいお部屋。

そんな状況の際に、インターフォーンがなるのです。
インターフォーンの声は、あなたが好きな人。
デートはしたけど、まだお付き合いまでいっていない関係。

「ある用事の帰りに君の家の前を通ることになったんだけど、こないだのデートの時に車に忘れ物をしていたんで、もしお家にいたら渡せるんじゃないかと思って。連絡も入れずに急にきてごめんね」
とのこと。

そんなシチュエーションだったら、あなたならどうします?

この質問をワークショップや講座を開催したさいに聞くことがあるですが、こんなお返事をくれます。
↓↓↓
「家のドアを少しだけであけて忘れ物受け取って、よかったら近くのカフェでお茶しない?って言います。決して家にはあげないし、ドアの隙間からも見せないです。そこは死守します」

というお返事(笑)

その理由は良くない状態のお部屋を見られたくないからですよね。

●内面的なものも隠す

このように基本的に悪いものは見られたくないという心の動きをします。

その心の動きは、お部屋の話だけではなく、内面的なものにも作用します。

例えば、甘えん坊な自分は良くないんだと思いがあるは、それを隠そうとすることがあるかもしれません。
それが強目の人は、隠すのも、「ばれたらばれたでしょうがないよね」という軽い感じじゃなく絶対ばれたくないと思い、隠すのにエネルギーをかけます。

この隠す行為自体は悪いことではありません。

が、問題が生じることはあります。

そうやって隠すことにエネルギーをかけて、得られるものって何なのでしょうか?
それは「良かった、ばれてなくて」とくらいが関の山だったりします。

隠す行為自体は悪いことではないのですが、隠す行為に問題点があるとしたら、隠すためにつぎ込むエネルギー(時間、労力、努力、熱量、心理的ストレスなどなど)の割に、得られているものが少なかった時です。

その時は、コスパが悪いエネルギーの使い方をしていると言えるでしょう。

あなたは隠すことにどれくらいエネルギーをかけていますか?
そしてエネルギーをかけるに見合うものは得られていますか?

もし『あれ?エネルギーをかけているいるわりには得ているものが少ないぞ!』という時は、(受け入れられていないから隠そうとするわけなので)自分を受け入れていく意欲を持つことに同じ量のエネルギーをかけてみるほうがコスパは良いかもしれません。

先ほどの例だと、甘えん坊の面を隠すことにエネルギーを費やすのを辞めて「甘えん坊の面があってもいいんだ」と思っていくことにエネルギーを費やしていくわけです。

人はそこに問題があると気づかないと、それを変えていこうとする意欲も芽生えにくいものです。

ですので、まずは『あれ?エネルギーをかけているいるわりには得ているものが少ないぞ!』ということに気づくことは、自分のことを受け入れていくことに意欲を持つ為の大切なポイントになるのではないかと思います。

(続)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら
  1. 自分を隠すことのコスパを考えてみる〜自分のことを受け入れる〜
  2. 自分をさらけ出すことで恋愛が上手く行く?!
  3. 自分の不出来なところを受け入れらると対人関係が上手くいく
  4. 自分を受け入れることで自己肯定感をあげる
この記事を書いたカウンセラー

About Author

若年層から熟年層まで、幅広い層に支持されている、人気カウンセラー。 家族関係、恋愛、結婚、離婚、職場関係の問題などの対人関係の分野に高い支持を得る。 東京・名古屋・大阪の各地でカウンセリングや心理学ワークショップを開催。また、カウンセラー育成のトレーナーもしている。