どうか、勇気をもって、その恥ずかしさを越えてください
こんばんは
神戸メンタルサービスの平です。
恋愛に関して、「自分から好きだと思えるような人がなかなかいない」とか「おつきあいできる気がしない」というご相談を昔からよく受けます。
このような質問をされる方は、恥ずかしがり屋さんで、控え目で、おとなしいタイプの女性であることが多いようです。
このタイプの人の特色としては、男女関係以外のことについても、「好きなことがわからない」とか「自分がなにに向いているのかわからない」とおっしゃることが多いことがあげられます。
好き・嫌いとは、本来、感情の問題なのですが、こうした人たちは、心から湧き上がるような「好き」という感覚を忘れているようです。
もしかしたら、好き・嫌いについて頭で考えすぎて、「好きにならなきゃいけない」という思い込みが強くなってしまっているのかもしれませんね。
昔、うちの子どもたちを連れて、海水浴に行ったことがありました。すると、子どもたちは海よりも砂浜に興味を示し、ずっと砂遊びをしていたのです。
泳ぎが苦手な私は、これ幸いと、浜辺で一緒にたわむれていたのですが、そこに子連れのおかあさんがやってきて、その子にこう言いました。
「見て、見てー! 海よー! 広いわねー。プールと違うわねー。きょうは好きなだけ遊んでいいのよ」
しかしながら、うちの子どもたちと同い年ぐらいのその子は、こちらの砂遊びのほうに興味があるようなのです。
そして、うちの子どもたちにつられるように砂遊びを楽しみはじめました。
ところが、おかあさんはどうしても海で遊ばせたかったらしく、むりやり子どもの手を引いて海辺まで連れていき、水遊びを始めたのです。
「海、楽しいねー。海、広いねー。わーいわーい!」 そうして二人は水のかけっこをしていたのですが、子どもは「おかあさんの期待に応えねば」と思ったようで、私たちの砂遊びを横目で見ながらもバンザイをして、「わーい、わーい。海だ、海だ」とむりやり喜んでいたのです。
「好き」、「楽しい」、「おもしろい」といった感情は、人に強要されるものではなく、自分の心の底から湧き上がってくるもので、自然のままに表現するものです。
それを、「楽しまねば」とか「好きにならねば」と思ってしまった瞬間に、それはすでに楽しいものではなくなってしまうのです。
そして、「楽しまねば」、「好きにならねば」と思った経験があると、自分の「好き」を表現することは、なにか相手に迷惑をかけてしまうような、人に自分の好きを強要しているような気分になり、「好きなものがない」とか「好きな人がいない」となってしまうこともあるのです。
このタイプの人には、「嫌い」とか「No」がはっきり言えないという場合も多いようです。
基本的にとてもやさしくて、気を使うタイプの人が多く、「嫌い」や「No」をはっきりと言うことで、相手を傷つけてしまうのではないかと気にしているようです。
しかし、好き・嫌い、Yes・Noをはっきり言うことができなければ、人は、あなたがなにが好きで、なにがしたい人なのかを知ることができず、あなたのことを扱いにくい人と感じることになります。
心理学で「警戒仮説」と呼ぶのですが、わかりやすい人ほど、人はその人に好感をもつようです。
そこで、こういうタイプの人におすすめしているのが、どんなに些細なことでもいいので、好きなものを口に出して言う練習をすることです。
たとえば、お友だちと「きょう、なに食べる?」という話になったとき、いつも、だれかの決めたお店に着いていくだけだったあなたも、「パスタが食べたい」などと言ってほしいのです。
たったこれだけのことなのですが、これまではとても悪いことをしているような気分になり、つい下を向いて口を閉ざしてしまっていたのではないでしょうか?
ほかにも、タレントのだれが好きであるとか、好きなミュージシャンはだれであるとか、ケーキが食べたいとか、小さなことでいいのです。
そんなふうに、好きなものを人前で言う練習をすることが、とても大事なのです。
もちろん、全部が全部、言えなくてもOKです。10個のうち2つか3つでも言うことができたなら、それでいいのです。練習を通し、あなたが「好き」と言うことができたときに、とてもいい感覚が湧くことを心に覚えさせたいのです。
これまでは、「言わなきゃ」と思った瞬間に、「とても恥ずかしい」という感覚が出てきて、その恥ずかしさがあなたの口から言葉を奪ってきました。
でも、どうか、勇気をもって、その恥ずかしさを越えてください。
好きなものを声に出して言うことができたとき、とてもスッキリとした感覚が出てくるはずです。
そして、それを何度も何度も繰り返すうちに、あなたの人生はどんどん好きなものに囲まれていくのです。
来週の恋愛心理学もお楽しみに!!