反抗期のこどもが気づかせてくれた、母の愛

わが家のこどもは反抗期を迎えました。
最初、私はこどもの反抗期がとても嬉しかったのです。
「やっといい子から、自分を出せたのだな」

■ランニング中に気付いたこと

そう思えたのも束の間。
こどもも今までいい子にしていた分が噴き出したのでしょう。
「成長の過程」だということも、頭では私もわかっています。
でも、こどもの愛しにくい態度にまんまとひっかかる私。
親子げんかに発展する日々を送っていました。

「あぁもう、イライラする」
私の趣味は体を動かすことです。
親子げんかしたときは特に、ランニングしに行きます。
怒りが原動力になるので、スピードがあがります。

ランニングハイもあったのでしょうか。
27年前、反抗期まっさかりの私は、イタリア旅行に母と行ったことを思い出しました。

「あぁ、私、なんで母とイタリア旅行に行けたのか、わかった」
靄がかかっていた記憶が晴れていき、気づいたことがありました。

■私の反抗期 ~お母さんみたいに、なれない

当時の私は、我が子なんて目じゃないほど、手におえない反抗期を迎えました。

私の両親は離婚しています。
母は女手一つで育ててくれました。
とんでもない反抗期の、愛しにくい態度をとり続ける私のことで、母はどれだけたった一人で悩んだことでしょう。

両親が離婚するまでの母は、夫婦問題に悩み続け、細い体でよく貧血を起こし、よく泣いていました。
私は母が大好きだったので、幼いながらに、
「母を助けたい、母とずっと一緒にいたい」
と思っていました。

その後、両親は離婚。母の苦労は山のようにあったと思います。
でも、私からみたらあっと言う間に、母の仕事は軌道に乗り、母には素敵な恋人もできまたようにみえていました。

だから私は
「昔のように私は役に立てない。私こそが母の足をひっぱっている。私はお母さんみたいに、なれない」

私は母と一緒に闇にいたのに、母は光り輝き、私は闇に置き去りにされたような気持ちでいたのです。

■愛を伝えるために

荒れた私に、当時の母は、
「イタリアで一週間、こどもと二人で過ごそう。愛を拒み続けるこどもに、愛を伝えるために」
その覚悟が、母にはあったのだと思います。

イタリアは真っ青な空が印象的でした。
そして、たくさんの芸術、絵画、彫刻、音楽に触れました。
教会の荘厳さは、圧倒的です。
美味しいピッツァの衝撃、コーヒーの高い香り、ジェラートの冷たさ、今でも忘れられません。
石畳の続く道をコツコツと歩く振動。
日本とは違う景色があるということも知りました。
世界は広く、美しいのだと知りました。

母ももう、闇にいない。
私ももう
「闇に置き去りにされた」
なんて、母に恨みをもう持たなくてもいいのかもしない。
だって、母は私の事、置き去りになんかしていなかったのです。
母を悪者にしたのは、私。
母はどんな私も大事にして、愛してくれました。
私もまた、母にとって喜びの存在であり、愛の存在だったのです。
「母の愛」を、私はイタリア旅行で受け取ったのかもしれません。
帰国後、私は少しずつ落ち着きと取り戻し、受験勉強に励みだしたのでした。

■どんなあなたも、愛している

さて、今は二児の母でもある私。
出産後、私は余裕を失い、夫やママ友との人間関係でも日々振り回されていました。
問題がいつも山積みで、
「いろんなことが、どうやってもうまくいかない」
と、真っ暗闇な気持ちで日々で過ごしていました。
産まれてきてくれたこどもは、母である私を助けたくて、どれだけ私の闇と一緒に過ごしてくれたことでしょう。
こどもと過ごす公園の時間だけが、私の救いでもありました。

でも私は、こどもが学童期に上がると同時に、私は大好きなカウンセリングの勉強に戻りました。
そこから私はびっくりするぐらい元気になっていきました。
その私の姿に、あれだけ私を助けてきたこどもは
「お母さんの闇に一緒にいて、助けてきたのに、置き去りにされたまま。どうしたらいいのかわからない。私は、お母さんみたいに、なれない」
かつての私と同じように、感じたのかもしれません。

だとしたら私は、反抗期のこどもの前で
「あなたの愛しにくい態度のせいで、私は上手にこどもを愛せない」
なんて、自分を責めるふりして、こどもを責めている場合ではありません。

「どんなあなたも愛している」
母のように、私もこどもに伝える番が、今こそきています。

さすがにイタリアには行けませんが、こどもと二人で近く旅行に行く予定です。
私はとっても楽しみで、今からワクワクしています。
きっと、イタリア旅行前の母も、とっても楽しみだったのだろうなぁ。

反抗期のこどもが、「母の愛」を、気づかせてくれたのでした。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛・夫婦・子育て・人間関係など、生きづらさや悩みを抱えたかたに、穏やかに、寄り添うことを大切にしている。「話すことのすべてを大切に聴いてもらえる安心感」がある。あらゆる人のなかにある豊かな才能・魅力に光をあて、生きる力を一緒に育む。共感力の高いカウンセラーである。