「疲れを感じることができるか」と言われると妙な感じがするかもしれませんし、そんな当たり前のことはできるに決まっていると思われるかもしれませんね。
ただ、余裕がない時や無理を重ねている時など、知らず知らずのうちに、この疲れを自覚できなくなっていることも多いのです。
例えば
「最近、仕事に集中できてない」
「人より仕事が遅い気がする」
「以前のように頑張れなくなって・・・」
というようなお話をお聞きしていると、その後
「私はダメだからもっと頑張らないといけないのに」
「頑張ろうと思っているのに、頑張れないんです」
と自分を責める言葉が続くことがとても多いのです。
そこで、
「疲れていませんか?」
「何か、最近ストレスを感じるようなことはありませんでしたか?」
とお聞きすると、そこで初めて
「そういえば」
とご自身の疲れやストレスに気がつかれることも多いのです。
私たちは、心身の調子が悪い時は、考え方や感じ方がネガティブになり、そのネガティブは「自分が悪い」という方向に進みがちです。
時には「自分は悪い・ダメだ」という思いが周りに投影されて、そんな自分を周りの人が攻撃しているように感じたり、何か自分にはよくないことが起こるのではないかという不安に陥いってしまうこともあります。
例えば、ある方は、すごく調子が悪い時に契約書の内容をみたら、自分をに不利な攻撃的な内容にみえて不安になって悩んでいたけれど、色々と落ち着いてきたころに見直してみると、普通の内容だったとお話ししてくださったことがあります。
それぐらい、私たちの心身の調子というのは、私たちの思考や、周りの世界がどう見えるのかに影響してくるのです。
だからこそ、からだや心の調子を知る事、そして調子が悪いと感じたらできるだけ回復につとめるいうことがとても大切なのです。
ただ、自分のことは自分が一番わかっているようで、実は一番わかりにくいというところがあります。
大きな分かりやすい出来事があれば別ですが、日々の小さな不調が積み重なっていることも多いからです。
また、頑張り屋さんの人ほど、「これぐらいは大丈夫」「もっと頑張らないと」と、自分の調子を無視して、無理をしがちです。
そういう方の場合には、最初に書いたような
「最近、仕事に集中できてない」
「人より仕事が遅い気がする」
「以前のように頑張れなくなって・・・」
という時に、自分の頑張りが足りないと自分を責めてしまうことが多いのです。
だからこそ、常日頃から、自分の心身の調子を意識することが大切なのです。
心身の調子の中でも、特に大切なのが「疲れ」です。
もちろん、達成感のある心地よい疲労感もありますが、「疲れ」は身体だけでなく心の健康を保つための最初の、一番分かりやすいバロメーターになるものです。
ですので、一日終わったら、
「今日はどうだった?」
「疲れた?」
と自分で今日の疲れ度合いをチェックしてみませんか?
「まあまあ」だったらいいですし、もし、「すごく疲れた」と自分で自覚することができれば、できるだけ休息をとることや、自分の負担を減らしてもらうように相談するなど、何らかの対策をとることもできます。
また、もし、それが心理的な疲れなら、ストレスを発散したり、リフレッシュするための時間をとることや、適切な人に相談するなどの対策をとることもできます。
中には「疲れ」を認めたくないという方もいらっしゃるかもしれませんし、よく分からないという方もいらっしゃるかもしれません。
でも、疲れは私たちの心身の調子を教えてくれる、大切なサインですし、私たちの状態は日々変化するものです。
できるだけ日々の自分の調子、疲れ度合いを意識してみませんか?