カウンセリングの現場で伺う恋愛や結婚、ご夫婦のご相談はたくさんありますが、特に30代の「これからの幸せ」に向き合っておられる女性の皆さんや、今まで一生懸命、彼のため、家庭のために頑張って来られた方の「なぜかパートナーシップがうまく行かなくなる」というご相談をたくさんいただくんですね。
みなさん「頑張って相手を愛するために自分を磨こう」「自分の気持ちは自分で整理しよう」「もっと魅力的に輝こう」ととても努力されていらっしゃいます。それはとても素晴らしいことですね!が、どうしてもパートナーシップの中では普段とは違い「感情的になりやすくなったり」「ちゃんと愛されているのか確認したくなる」ような気持ちに苛まれたり、「今度こそは頑張ろう」と思うだけ自分の気持ちを我慢して、恋愛が辛くなったり、パートナーとの関係性を悪化させてしまうというお話も伺います。
そこで今回は4回に分けて、頑張り屋さんのためのパートナーシップ成功に向けた心理学講座をお届けします。
普段社会にいて自立していれば「何が正しくて、何が間違っているか」という判断を迫られることはたくさんありますね。
特に「自分のことは自分で」という思いを持つことは当たり前のように正しいと感じますね。なので、どこか「依存心」が苦手だったり、いいイメージをお持ちじゃない方もいらっしゃるかもしれません。
・頑張ること:それはいいこと、正しいこと、オトナの常識。
・甘えること:それは悪いこと、稚拙、人に迷惑なこと。
カウンセリングを日々させていただいていると、そんな感覚をお持ちの方と たくさん向きあわせていただくんです。 もちろん僕もそういった考え方はある意味納得できますし、 そこに良し悪し云々という思いを持っているわけじゃありません。
例えば、私達が社会に出たときの事を想像してみると。
子供だった私たちがオトナとして生きていく時に、今までのように、いつも人に依存して、自分で問題を解決しようともしない。他人の作為に期待ばかりして、他人のチカラを当てにして生きるとなれば、それはそれでまたいろいろな問題を引き起こしますよね。自分の力で物事を成し遂げることができなくなってしまいます。
ただ、この考え方を心のど真ん中において、恋愛や夫婦などのパートナーシップと向き合うと、時にギクシャクしたり、お互いの関係に距離ができたり、どこか勝ち負けのついた関係になってしまったり。そんな状況も生まれるようです。
僕自身、カウンセリングやセミナーでいつもお話させていただいていることの一つにこんなものがあります。
「パートナーシップはどこか『お互いに迷惑をかけあうようなもの』とも考えていい」
そもそもパートナーシップはお互いに受け入れあい、愛しあうものだとも考えられますよね。
それは相手の長所だけでなく、短所や欠点をも受け入れあい、愛しあうもの。
「あなたの強さは相手の弱さ、あなたの弱さは相手の強さ」
私達の学ぶ心理学にはこんな言葉があるぐらいですからね。
この言葉を僕なりに言い換えれば「あなたの才能や強さは、相手の欠点や弱さを愛するためにあり、相手の才能や強さは、あなたの欠点や弱さを愛するためにある」となると思います。
しかしどこか、普段から自立している方、頑張り屋さんほど、人に依存してはいけないという思いが強いので、相手次第のパートナーシップを嫌い、いつも「いい自分・素敵な自分」でありつづけようと努力されるのかもしれません。
素敵な自分でいること自体は、とても素敵なことですよね。やっぱりパートナーのことは上手に愛したいし、好きな人だからこそ相手にがっかりされたくないし。
ただ、いつも頑張っているその感覚のまま、パートナーシップを築こうとしたときにネックになるのが
「依存的な自分の欠点や弱さ」をさらけ出せない、ということ。
つまり、「依存的な自分はダメなのではないか?」と感じていることなんですよね。
そんな私を見せたら、相手に迷惑になるのではないか?相手は嫌うのではないか?
そんな怖れがある度合いだけ、自分の弱さや至らなさはいつも隠して、相手にバレないようにする。自分の強みだけでパートナーと向き合う。
すると、パートナーの前で素の自分でいられなくなり、我慢が募ってしまう。時には言いたいことも言えない、したいこともできない。人によっては、相手の望むような彼氏彼女になる、相手に合わせて尽くす方もいます。
「この私の思い(我慢)が、いつか相手に伝わって欲しい、相手に私の気持ちを汲み取って欲しい」
そんな願いを重ねながら毎日頑張っていらっしゃる方もいれば、「もうパートナーに何を期待しても無駄よ」と諦めに変わってしまっている方もいます。
どこか「自分はダメにならないように」と頑張り続けているパートナーシップって、どうでしょう?少し大変ではないでしょうか?
このように普段、一生懸命頑張っていらっしゃる方の中には、甘えること(依存心)=「悪いこと、いけないこと、嫌われること」、つまり「罪悪感」を感じていらっしゃる方が少なくないようです。
「どこか私は間違っているのではないか?」
そんな依存に対する罪悪感がある度合いだけ、その方の意識ではもちろん、時には意識なくココロの内面では、何故か「依存心を感じる私はダメ」という感覚を持つことがあるんです。
それが内面で変化し「依存心を感じてしまう私がダメ」といった自己嫌悪・自己否定のレベルにまで達することがあり、そうなるとどうしてもパートナーシップはちょっと斜め坂、人によっては直登レベルの困難さ、限界を感じてしまう方が現れるのです。
どこか悪意なく「依存を嫌う」があまり、「依存心を持っている自分」まで嫌ってしまえば、お互いに依存心を持ち寄る要素のあるパートナーシップでは、自己嫌悪や自己否定感を強く感じざるを得なくなることがあるからですね。
それゆえに、頑張っても何故かパートナーシップがうまく前に進まない、何故か別れてしまう関係ばかりになってしまう、といったことも起こりえるのです。