コロナ離婚とコロナ・ベビー

だから、私は黙ってがまんすることを選んだ。それが私の愛です。

こんばんは

神戸メンタルサービスの平です。

感染防止のための外出自粛時に、コロナ離婚という言葉をたびたび耳にする機会がありました。

一方では、コロナ・ベビーというおめでたい話題もしばしば聞きましたが、さて、両者の違いはいったいどこにあったのでしょうか?

コロナ以前は、いずれのカップルも多忙な日常を送っており、夫婦でありながら、心の中のソーシャル・ディスタンスをとって過ごしてきたということが想像できます。

ところが、コロナ禍によって、ステイ・ホームをすることになり、おたがいにがっつりと向き合わなければならなくなったわけです。

すると、「主人がいつも家にいて、なんだかうれしい」という人がいる一方、「私の生活スペースに、いつもいやなヤツがいる」という人もたくさん出てくるわけです。

後者の中には、もう、ご主人をゴキブリ扱いするぐらいの奥様もいたりして、離婚に至るようなケースもあるようなのです。

人は“パーソナル・スペース”と呼ばれる自分だけの領域を心の中にもっています。

そのエリアでは、あなたが王様・女王様であり、あなたがすべてのことをコントロールしています。

心の中だけでなく、自宅のリビングルームなどの実際の空間でも、一人でいるときは気を使わず、好きなことができますよね。

仮にゴキブリが潜んでいたとしても、冷蔵庫の裏などあなたの目に見えない場所にいるのだとしたら、あなたをわずらわすことはありません。

が、いったん、そのゴキブリがあなたの目の届くところをウロウロとしはじめたとしたら、きゅうに不快な存在になりますよね。

これと同じようなことが、コロナ離婚を選んだ夫婦には起こったといえそうです。

こうした夫婦では、以前から相手のいやなところをがまんすることにより、関係性を保ってきたというケースが多いようです。

コロナ前の一緒にいる時間が短い間は、がまんする回数も、忍耐の量も少なくすみ、そのいやな部分も大きな問題になることはありませんでした。

が、自粛生活が長引くと、「私のスペースに、毎日、ヤツがいる!」という状況になっていきます。

それはもう、大きなストレスであり、その気持ちをごまかすことができなくなったなら、もう、別れるしか手がなくなったりするのです。

つまり、長年にわたって問題解決を図らず、ごまかしごまかし過ごしてきた二人の上に、その長年のごまかしのツケが一挙に降ってきたような状況です。たまったものではありません。

これを機に、離婚という形をとるのも一つの結論です。

しかし、これを機に、長年、二人が抱えてきた問題の抜本的な解決を図ることができたというご夫婦も中にはいるのです。

先日、とあるバラエティ番組を観ていたら、7年間、口を聞いていないという夫婦が出てきました。

本音をたずねられ、「私なんて、主人に愛されていない」と言う奥さま。その思い込みはかなり深いようでした。

一方、番組ではご主人にもインタビューしていたのですが、彼はこう答えたのです。

「私がなにか言うたびに刃向かってくるから、いつもケンカになってしまう。だから、私は黙ってがまんすることを選んだ。それが私の愛です」

これを知った奥さまは、号泣されました。

同じようなことが、コロナ自粛で逃げ場を失った夫婦にもあてはまるかもしれないのです。追いつめられるようにしてたがいに向き合い、問題が解決することもあるのです。

一方、コロナ・ベビーのほうは、二人が「いつも一緒にいたい」と思っていたあのころの感覚を思い出したときなどにやってくるようです。

近年は、旅行のときぐらいしか二人で長く一緒にいなかった‥‥、そんな夫婦も、一緒にいる時間がながくなることで、ロマンスが再燃することが多いようですよ。

 

来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

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神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。