ゲームをやめなさい!と言っても全然言うことを聞かない

「子どもがゲームばかりしている」
「ゲームをやめなさい!と言っても全然言うことを聞かない!」

今春、我が家のふたりの息子が大学を卒業しましたが、子育てを振り返ってみると、特に中学生の頃は、この言葉をよく耳にしてきました。
もちろん我が家も例外ではなく、度々頭を抱えるような思いをしました。そんな息子たちに、ちょっとですけど怒りまくって、ちょっとですけど、雷を落としまくってきた私です。あるときは、ゴミ袋にゲームをボコスカ突っ込んで、「勉強やらないなら、ゲーム捨てるからね!」と脅したこともありました。ちょっとですよ。(本当に「ちょっと」だったかはご想像にお任せいたします)

その当時の私は、ゲームばかりやっている息子たちに対して「このまま勉強をやらなくなるのではないか」→「勉強が遅れて、受験に失敗して、挫折してしまうのではないか」→「挫折した息子は、将来路頭に迷うのではないか」と、ひとつの不安から芋づる式のように次から次へと不安が生まれ、焦ったこともたくさんありました。

最近、私の身の回りで、お子さんのゲームについて悩んでいるお友達も多く、私自身もこのことについてあらためて考える機会が増えました。心理学を学び、子育ても一段落した私でも難しい問題だなと感じます。また、各ご家庭で事情や状況も違うと思いますが、少しでもお役に立てたら幸いです。

 

オンラインゲームは「意志の強さ」ではやめられない?

私が子どもの頃のゲームと言えば、ゲームウォッチやファミコンでした。初めてスーパーマリオをやったときは面白すぎて感動しました。ただ、あの頃のゲームは同時に2人しかプレイできなかったり、一家に一台のリビングのテレビを占領して遊ぶのでプレイ時間も限られていました。
さて、現代のゲームはと言うと、インターネットを経由して、不特定多数の人間が参加して行う「オンラインゲーム」が多くなっています。オンラインなので24時間いつでも世界中の人と繋がりプレイ出来るというものなのです。

最近「昼夜逆転してゲームにのめり込んでしまう」というお話をよく耳にするので、25歳と23歳の息子たちにオンラインゲームについて聞いたことがあります。

私「ねえ、オンラインゲームをやめられない子たちが多いみたいんだけど、なんでだかわかる?」
長男「あれはね、やばいよね。俺も受験が終わってからハマったからいいけど、受験前だとしたら大学に入れなかったかもしれない」
次男「俺はそこまでハマったことはないけど、やると脳汁(のうじる)が出る感じはする!」
私「のうじるって何?」
次男「ドーパミン(快楽物質)のことだよ」

我が家の息子たちも、口を揃えて「ハマったらやばい」というオンラインゲームですが、私なりに心の観点から原因と対策を見立てていこうと思います。

 

ゲームにのめり込むのは何かの「意思表示」かもしれない

ゲームにのめり込んでいるとき、ゲーム自体が面白いということももちろんありますが、心の観点から見てみると、子どもが表現できない感情を抱えている可能性があるのかな?と思いました。
例えば、うちの息子が幼稚園に入りたての頃、登園のために幼稚園バスに乗り込むときに「行きたくない」「おうちに帰る」と何回か泣くことがありました。赤ちゃんの頃なんて「お腹空いた」「おむつが気持ち悪い」「暑い」「寒い」を、遠慮なく泣いて教えてくれましたよね。

小さい頃は、「嫌だ」「やりたくない」「○○が欲しい」など、泣いたりわめいたりしながら意思表示ができていました。でも、いつの頃からか、簡単には泣けないし、誰にも言えずひとりで抱えることも増えたと思います。

何か不安や不満、孤独感を感じたときに「嫌だ」と言えない代わりに、「寂しい」と泣けない代わりに、そして、「どうせ誰もわかってくれない」という怒りを感じなくて済むようにゲームをしている可能性も考えられるなと思いました。
先ほどの息子たちとの会話に出てきた「脳汁(ドーパミン)」は、快楽物質と言われていて高揚感を感じさせてくれるのですが、この高揚感が心の穴、寂しさや虚しさ、怒りの【痛み止め】のような働きをしているのかもしれません。

 

表に出せない「意思表示」があるとしたら何だろう?と興味を持ってみる

息子たちがゲームにハマっていた小学生の高学年から中学生の頃、私は、息子たちのことを「男子ってゲーム好きだよね」くらいに受け止めていましたが、単に「ゲーム好き」と捉えていると根本的な問題解決を遅らせてしまうこともあるかもしれません。
私のように鬼の形相で、雷落としたり、ゲームをごみ袋に入れたりして脅迫するやり方も、最初こそ効果はありましたが、持続性は感じられませんでした。それどころか、関係悪化に伴い、ますますゲームにのめり込むという悪循環を招くこともあるかもしれません。

子どもたちがゲームにのめり込む度合いだけ、隠れている意思や感情があるのかもしれないと興味を持って見て、関わっていくことが大切かもしれません。この子は何を言えないでいるのだろう?と。それを「知りたい」「理解したい」「受け止めたい」という親の愛を感じてもらうことが大切かもしれません。

このようなコラムを読んでくださっている親御さんは、お子さんの抱えている問題について、一生懸命に向き合おうとされている方だと思います。あなたのそのお子さんへの想いや愛情が、もしもお子さんに伝わっていないとしたら、もったいないなと思ってしまいます。

また、お子さん自身も何か問題を抱えているときは、自己嫌悪を感じていたりします。自分で自分を嫌っている分、「こんな自分は誰からも愛されるわけがない!親でさえも!」と愛を疑う目を光らせていたりします。ですので、できるだけわかりやすい愛情表現を意識してみてもいいかもしれません。
お子さんが素直に受け取ってくれないこともあるかもしれませんが「親の愛をみくびってもらっちゃ困る!」と腕まくりして、誤解を解いてあげたいですね!(何だか鼻息ふんふん荒くなってしまった私ですが、そんな私も、かつて親の愛を疑いまくっていたのは内緒です)

あなたの愛情が、あなたのお子さんに伝わりますように。私も心から応援しております。

 

最後に

思春期のお子さんをお持ちの親御さんというのは、人それぞれの悩みや葛藤を抱えていたりします。今回の原因や対策がしっくりと来ない方もいらっしゃるかもしれません。具体的なお話は、個別でカウンセリングをご利用ください。

最後までお読みくださりありがとうございました。

来週は、池尾千里カウンセラーがお送りします。どうぞお楽しみにしてくださいね!

 

[子育て応援]赤ちゃんの頃から、思春期の子、そしてそんな子どもたちに関わる親とのお話を6名の個性豊かな女性カウンセラーが、毎週金曜日にお届けしています。
この記事を書いたカウンセラー

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孤独感の中で生き続け、離婚や再婚、うつを乗り越えた経験から、パートナーシップや自分自身の問題を多く扱う。圧倒的な受容力と繊細な感性を活かし、言葉に出来ない感覚や感情にフォーカスすることが得意。問題に隠れた愛や魅力を見つけ、クライアントが安心して自己実現できるようサポートをしている。