愛されたように、愛してみる
こんばんは
神戸メンタルサービスの平です。
少子化時代に生まれた昨今の20代は、とくにかわいがられたり、愛されたりして育った世代だといわれています。
なにをしても両親や祖父母から承認されてきたので、自己肯定感も高い人が多いようです。
ただ、いつも自分中心に世界が回っていて、まわりの人になんでも面倒を見てもらい、多少の無理なら聞いてもらってきたことから、どうしても自分を特別な存在のように感じてしまうのがこの世代です。
そのための欠点もやはりあるようで、悪い言葉でいえば、わがままになる傾向が強い人が多いようです。
つまり、「人が自分を愛してくれるのは当たり前」、「人が自分に奉仕してくれるのは普通のこと」と思い込んでいるわけです。
この考え方は、親子関係などでは通っていたのですが、こと男女関係ではそうはいきません。
たとえば、あなたが大好きになった人が、あなたのことを愛してくれればよかったのですが、彼には彼の好みがあり、あなたのほうには向いてくれないこともあります。
おつきあいをするようになったけれど、両親や祖父母のような特別扱いを彼はまったくしてくれないということもあります。
また、子ども時代に多くの愛を与えられた子どもたちには、自分がうれしかったことを人にも与えてあげることができるという長所もあります。
「自分が愛されたように、だれかを愛することができる」ということなのですが、自分が相手にしているのと同じぐらい、相手が十分に自分のことを愛してくれていないと、「なんで、こんな当たり前のことができないの?」という不満をもったりしがちです。
もうずいぶん前のことですが、あるお嬢様からご相談を受けたことがあります。
彼女は一人娘で、家族からそれはかわいがられて育ちました。
一方、彼女がおつきあいしていた彼は、東北出身で、6人きょうだいの5番目。
子だくさんで親は忙しいので、なんでも自分でやらなくてはいけないし、洋服や日用品の多くは兄姉のお下がりという環境で育ってきました。
そんな彼なので、彼女といても、自分のことはなんでも一人でしてしまいます。
だから、「彼になにもしてあげられない」というのが彼女の悩みでした。また、彼からは「それぐらい、自分でやれよ」と、なにかにつけ言われるのもストレスになっていました。
「最初は、なんでもできるので、強くてたくましい人だと思っていたんですけど‥‥」
彼のことがだんだん自立的というより孤立的な人間に見えてきて、「私にも興味がないのかも‥‥」と思うようにもなり、もめることが多くなったようなのです。
子ども時代の二人が感じていた感情は、天と地ほど違うものでした。
彼女はなにか困ったことでもあると、「だれに頼もうかな」ということをすぐに考えました。
一方の彼は、「できないことはあきらめる」というパターンで自分を守ってきたわけです。期待しなければ、実現しなくても傷つかずにすみますからね。
彼女から見ると、彼の子ども時代は「かわいそうだし、ありえない」となるのですが、彼は「べつに‥‥」というかんじでまったく問題意識をもっていません。
そんな彼に、彼女は「自分がまわりの人にしてもらってきたこと」を与えるということをはじめたのです。
当初、彼は「いいよ、そんなこと」と言い、相変わらず、なんでも一人でこなそうとしました。
しかし、彼女が根気よくつづけていったところ、彼は次第に彼女を頼るようになり、二人の関係はよいほうへと大きく変化していったそうなのです。
心理学の法則に、「愛されたように、愛してみる」というものがあります。彼女はまさにそれを実践してくれたのです。
来週の恋愛心理学もお楽しみに!!