私の若い頃というのは、スマホもネットもない時代です。
誰もがこころを学べる環境というのではありませんでした。
その頃の私は、人のこころというものに無頓着で、
「いろんな人と関わると勉強になる。」
「誰かの経験を知ることは、自分の学びになる。」
などと誰かがいう言葉を聞いても何の感銘も受けず、むしろ、
「なんだそれ。」
などと、無関心な状態でした。
そしていつも思っていたんです。
「私はこんなに悪口を言わないのに、どうして誰も彼も人の悪口ばかりなんだろう。」
「私はこんなに考えて行動しているのに、どうして考えなしに行動する人ばかりなんだろう。」
「私は言葉を選んで話すのに、どうしてみんなそのものズバッと話すんだろう。」
自分はいい人になろうと努力する。
だけど周りは悪い人ばかりで努力なんかしていない。
表面的にはそんな認識で生きていて、なのに全く自分は幸せを感じられず、そんな悪い人たちばかりが幸せになっていく。楽しそうに毎日を生きている。
世の中は不公平で、私だけがいつも損をしてて、私だけが何しても上手く行かない。
こんなにこんなに真面目に必死に生きているのにどうしてよ!!
そんな怒りをこころの中で抱えたまま、人を信じず他人と関わらず、親きょうだいにも近寄ることなく生きていたんですね。
そしてその生き方を変えられず、違う自分をその場その場で作り上げ、なんとか結婚したけれど、それも上手く行かずに結局離婚。
だけどその離婚がカウンセリングを学ぶきっかけとなりました。
これからどうやって生きてこう。
そんなことを考えていた毎日で、たまたま入った本屋さんで手にしたのが人のこころに関する本です。
自分が抱えている苦しみや辛さについても、「なんで!? どうして!?」ということ以外考えられなくて、全ては周りのせいにばかりしていた私が初めて“人のこころ”というものの入り口に触れたんです。
その本には“カウンセリング”という言葉も何度も出てきて、かなり夢中になって長い時間本屋に居座っていたと思います。
離婚をしたのが30代。
その頃はまだカウンセリングというのは海外ドラマや映画で時々セリフに出て来るくらいの認識で、よく知りませんでしたが、その本で、初めて人のこころを扱うものだと知ったんです。
人のこころを知れば、自分が変わるきっかけになる。
自分のこころを知れば世界は変わる。
そんな言葉があちこちに書かれていて、初めてこころというものに興味を持ちました。
なら、自分のこころはどうなっているのか、自分は何をどう感じているのか。
今までそんなことすら考えずに生きていたことに初めて気づいたんです。
あの頃は自分で何かを探して見つけるということが今よりもずっと難しくもあり、ややこしくもあり、膨大なエネルギーと時間がかかっていた時代です。
でも今やどんな情報もすぐに検索して見つけられる、私世代の人にとっては本当に便利になった時代です。
だから多くの方はカウンセリングという言葉はある程度知っていて、また自分が困ったり悩んだりしたときは、自ら情報を拾い出し、自ら学んである程度の知識を知っている方は多いようです。
皆さんとても頭の回転も速く、学ぶ意力もあるし、私ほど愚かな生き方をしている人はあまりいないのではないかと思うほどです。
それでも人の悩みはそれぞれで、そんな皆さんのこころについてお聴きするカウンセリングの場では、皆さんご自身のことをたくさん話して下さいます。
そしていっぱい感謝もして下さいます。
だけどね。
私は皆さんより先に生きていた、もしくは皆さんより先に知識を得て、なぜああいう愚かなことをしていたかを知り、二度とそうならないためにたくさん学んで来た。
皆さんより少し先にそれをしていただけなんですよね。
だから、誰しもこころを学べば今の自分よりもずっと楽な生き方を知ることが出来ると私は思います。
こころを知ることで、自分の中の誤解、間違って捉えていたことも理解出来、果ては自分のこころを癒してくれるんですよね。
すると今までよりも平和な見方が出来るんです。
私自分のこころの中も、当時相当殺伐としていましたが、今それは笑いのネタにしかなりません。
それほどまでに平和になるものなんです。
そんな私が一人でも多くの人にお伝えしたい、こころの学びのススメというのは、
自分のこころを学ぶ。
異性のこころを学ぶ。
親の、きょうだいの、友だちの、好きな人のこころを学ぶ。
それは、自分や自分の近しい人の感情を学ぶこと。
そして、多くの方とつながりを感じていくこということなんですね。
それは、あなたの人生を今よりもずっと素晴らしい世界に導くと思います。
まず一番は自分のこころの中。
自分の本当の気持ち、隠すことのない自分のその時その時の感情を知ってみませんでしょうか。
嘘偽りない本当の自分を知って、そのまま受け止めてあげることから初めて欲しいと思います。
この私のコラムが皆さんのこころに少しでも届きましたら嬉しく思います。