誰かに業務を引き継いだり、部下や後輩に仕事を教える時、相手が理解が早く、飲み込みがよいと教える側としてはやりやすいですよね。
ただ、同じことを教えても相手によっては理解度や仕事を覚えるペースも千差万別です。
仕事をしっかり理解してもらうために、着実に身につけてもらうために、教える側もいろいろ考えながら丁寧に教えていたとしても、時には何度教えても理解しない、何度言ってもわからない相手に出くわすこともあります。
何度も同じことを質問されても、何度同じミスをしても、その度に「まだ始めたばかりだから仕方がないか・・」と思い、その人が1人で仕事ができるように優しく繰り返し教えようとします。
けれども、1か月、2か月、3か月経ってもその人が覚えない、ミスを繰り返すとなると、ついには堪忍袋の緒が切れて、「何度いったらわかるの!!」と言いたくもなってしまいます。
ただ、そう怒鳴りたいところでも、昨今の社会ではそれを言うとパワハラと言われることもあり得るので、心の中にその言葉をしまいこんで、気持ちはイライラが充満していたり、「はあ〜、またか。」とため息をつくのが日常になっているかもしれません。
教える側のあなたが優しい人だったりすると、相手にイライラして怒りを感じているそんな自分にまたイライラしてしまい、さらに気分が悪くなってしまいます。
怒らないように、怒らないように必死に自分を抑えていても、相手はあなたを怒らす方向へ持っていくんですよね。
教える側のあなたにとっては、本当に大変でしんどいことだと思います。
けれども、残念なことにあなたが何を言っても、どれだけ言っても、私たちは相手を自分の思うように変えることはできません。
相手によってこちらが大変な目にあっていても、自分が意識や見方・捉え方を変えていくことにチャレンジするしかないのです。
では、どうすればよいのでしょうか。
大切なことは、あなたが相手の言動に振り回されず、あなた自身の気持ちをしっかりわかっておくことだと私は考えます。
あなたが「何度言ったらわかるの!」と言いたくなった時、実はこんなことを胸の内で思っていないでしょうか。
「何度教えれば覚えてくれるの?」
「どうしてそれが出来ないの!!」
「さっきはキツイ言い方になっちゃったかな。もっと優しく教えてあげないと・・・」
「私の教え方が悪いのかしら・・・」
「どんな教え方をしてるんだと私が怒られるかも・・」
私たちは心の中で相手に厳しい言葉をかけてしまうのですが、すぐにそんなことを思う自分に対して嫌な気持ちが湧いてきます。
そして、私が悪いのかしらと自分自身を責めはじめます。
人に優しくしたい、人を悪く言いたくない、良い人でありたいと思うほど、怒りというイヤな気持ちを持ちたくないと思うようです。
その葛藤が私たちを苦しくさせ、さらにイライラを大きくします。
「何度言ったらわかるの!」と言いたい気持ちはあってもいいのです。
湧いてくる気持ちを止めることはできません。
その気持ちに対して、「そんなこと思っちゃダメ」と否定するから余計に苦しくなるのです。
だから、今、私はこう思っているんだなと、自分の気持ちをしっかり認めて受けとめると少し気持ちがラクになります。
また、怒りは感情の蓋と言われるように、本当に感じていることを隠すため怒りが現れます。
何度言っても覚えない、ミスをする相手に対して、「私の教え方が悪い?」「すぐにイラっとする私ってダメね」と自分へのダメ出しや「どうしてわかってくれないの」「どうすればいいの」と無力感や失望などを感じているのかもしれません。
怒りの下にある本心を見つけられると、肩の力も抜け、少し気持ちがホッとします。
こうして、相手へのイライラも自分自身へのイライラも少し減らすことができたなら、自分自身に余裕がうまれ、相手への対応の仕方を考える余裕もでてきます。
人はピリピリしている人の近くでは緊張もしますし、近づきがたいものです。
感情は共鳴することを考えれば、あなたのイライラが減った度合いだけ、ピリピリ感も減るはずですし、あなたに対する相手の緊張感も減るのではないでしょうか。
私たちは何度も同じミスをする、何度言っても分からない人を教えていると、いつの間にか「どうせまたミスするのよね」というようにだんだんとそう決めつけて相手をみるようになりがちです。
でも、あなたのイライラ度合いが減っていくと、相手の出来るところを見よう、見つけようという発想にもなると思いませんか。
イライラ・ピリピリがなければ心に落ち着きがでてくるので、先入観なしに相手の言い分を聞いたりすることもやりやすくなります。
あなた自身が少しでも気分よく穏やかにいられることが、現状やその場の雰囲気を変化させるきっかけになると思ってみてくださいね。
「変えられるのは自分だけ」を合言葉に私もさらにチャレンジしていこうと思います。
お読みいただきありがとうございました。