全体性という考え方の中で見てみることが効果的
こんばんは
神戸メンタルサービスの平です。
私どもの会社が生まれた1990年代の前半、日本ではまだカウンセリングは普及していませんでした。
そして、私たちカウンセラーのいちばんのライバルは、占い師であったり、黒魔術師であったり、幸福のペンダントであったりしたわけです。
そういうものにズッポリとハマッているお客様から、われわれカウンセラーはこんなご注文をいただいたものでした。
「まるで魔法をかけたかのように、彼が必ずふり向いてくれるようにするには、どうすればいいですか?」
そして、そうした人々の多くに見られたのが、「あなたのためには、なんでもするわ」、「あなたに愛してもらえるなら、どんなことでもするわ」というパターンだったのです。
で、「どうしたら、彼が帰ってきますか? 彼が帰ってくるなら、どんなことでもします」とわれわれカウンセラーにおっしゃったりするわけですが‥‥。
彼が帰ってくるなら、どんなことでもしてくれる人にかぎって、彼が帰ってこない日には、われわれが夜逃げをしなければならない自体になることは明白です。
それで、私たちはこうした人々に、なんとか“自立”という考え方を学んでいただこうという努力をするわけです。
自立?
そうです。彼女たちがしているのは依存の恋愛。そして、彼に依存しているかぎり、自分の幸不幸はすべて彼次第となります。
この依存の考え方をする人たちの中にとにかく多いのが、「自分にはなんの価値も魅力もない」と思い込んでおられる場合です。
その思い込みを手放し、一人ひとりが本来もっている価値や魅力をいかに表現するか。それをサポートするのがカウンセリングの目的になるわけです。
前述のような恋愛パターンをもっているみなさんは、全員、「いかに自分を隠すか」が大事なことだと思っています。
自分のことをぜんぶ見せよう、自分を全部わかってもらおうなどということはできません。
万が一にも、ぜんぶ知られ、ぜんぶ見られてしまったら、「私は嫌われてしまう」と思っています。だからこそ、隠す努力で忙しいわけです。
「自分を知られると、嫌われる」という信念をもっていると、自分を表現することは難しくなり、相手にどう合わせていくかが人生における大事なこととなります。
しかしながら、この恋愛パターンをもっている人は、だれかに(ほとんどの場合は彼なのですが)迎合しますが、ある一部の人(ほとんどの場合は親なのですが)に対してはものすごく反逆的な態度をとります。
心理学で“補償行為”と呼ぶのですが、だれかにとってものすごく悪い子である度合いだけ、別のだれかにとってはものすごくよい子になり、人生のバランスを取ろうと人は思うようなのです。
すると、不思議なもので、ご両親は彼女にとってとてもよい人たちなのに、彼女はそのご両親にはひどく反逆的な態度をとります。
そして、ご両親が彼女に示してくれているような献身的な愛を彼女は彼に示すわけですが、彼は彼女が両親にとっているような横柄な態度を彼女に対してとります。
また、恋愛がうまくいかないことを彼女たちは両親のせいにし、毒づくのですが、一方、彼からは毒づかれるという、自分が親にしているのと同じような目に遭ったりします。
そのようにして収支バランスが合うという変なことが起こったりするわけです。
ここは一つ、全体性という考え方の中で見てみることが効果的です。
もしも、あなたがものすごく手のかかるパートナーをもっているとしたら、あなたのことを無条件に愛してくれる人に対し(ほとんどの場合、両親ですが)、あなたが「彼にしてもらいたい」と思っていることのすべてをしてあげるのです。
すると、すごく不思議なもので、すべての収支バランスが理想的な形に整っていったりするようなのです。
来週の恋愛心理学もお楽しみに!!