不安の正体と不安とうまくつきあっていくための3つの方法
不安になりやすいタイプの人は、「きっと失敗する」「きっと失恋する」「きっと傷つく」「きっと嫌われる」などとネガティブな想像をしやすいでしょう。「今はまだ何も起きていない」のに、不安のせいで、まるで今嫌な出来事が起きているように感じるとしたら、心が苦しいでしょうし、チャレンジしにくくなるでしょう。
今回は、不安とのつきあい方について理解を深めていきましょう。
●不安の正体
人は過去に対して後悔し、未来に対して不安になります。過去にうまくいかなかった出来事や気持ちを、未来にも「きっと起こる」と映し出すのが、主な不安の正体です。
過去に大きな失敗やひどく傷ついた経験などがあると、「また傷つかないように」と心は警戒し、不安を使って自分を守ろうとします。また、自分自身が経験していなくても、ネガティブな情報を使って、「きっと悪いことが起こる」と考える場合もあります。
残念ながら、過去に起きた事実は変えることができません。けれども、過去の捉え方と過去に対して感じる気持ちは、今からでも変えることができます。カウンセリングなどを活用して、過去の出来事に対して自分が持っている解釈を更新したり、誰にも受けとめてもらえなかった気持ちの受容を体験したり、未処理のままだった感情を安全な人に話すことでケアしたりすると、未来に映し出すものも変わってくるでしょう。
●不安が現実化する確率
ある研究調査によると、不安に思ったことが現実になったのは13%ほどで、不安の87%は実際に起きなかったそうです。そして、現実になった13%のうち、8割は対処できるものだったそうです。つまり、解決しにくい不安なことが現実に起こる確率は約2.6%ほど、不安の97%は現実化しないようです。
●不安の推移を観察・記録する
不安の対処で大切なのは、「実際に起こらなかった」結果を確認することです。多くの人は、「不安になった」ことを記憶していて、「また同じような不安がある」と認識します。いつも「不安がある」ことに意識が向いていて、「不安に思った結果がどうだったか」にはあまり興味がなかったりします。
一定期間、不安になった状況、不安になった時にどう考えたのか、不安の強さ度合い(0点〜100点)を書き出してみましょう。不安を言語化・数値化するだけでも、不安を小さくすると言われています。そして、その不安が1週間後・1ヶ月後にどういう結果になったかを記録してみましょう。「起きなかった」「対処できた」と何度も繰り返し確認できれば、不安な気持ちが出てきたとしても、「実際には起こらないから大丈夫」「なんとかなる」と思いやすくなるでしょう。
●漠然とした不安を明確化する
不安の特徴は、漠然としていることです。何が不安なのかがぼんやりとしているため、具体的な対処方法が探しにくいのです。まずは、不安の要素を細かく分解してみましょう。そして、対処するための具体的な行動を見つけ、実践していきましょう。
例えば、漠然と「将来が不安」だったとします。この将来の不安は、健康の不安、経済的な不安、孤独の不安など、様々な要素に分解できるでしょう。仮に、健康が不安だった場合、さらに分解していきます。健康の不安からは、病気になる不安、動けなくなる不安など、より明確な不安要素が見えてくるでしょう。
明確な課題が見つかれば、不安要素の解消に今できる行動を具体的に考えましょう。例えば、病気を防ぐには、毎日1品発酵食品を食べるとか、1週間の飲酒量を設定して調整するとか。できるだけ具体的な行動を目標にして、今できる行動を積み重ねていきましょう。
ちなみに、たくさんの課題が見つかる場合は、「しなければならないこと」が多すぎて無理と思うかもしれません。全部を完璧にしようと思わないでくださいね。まずはひとつの行動からです。今の行動に集中している間は、未来の不安から距離をおくことができるでしょう。
●安心感に興味を持つ
生物的には不安が必要なので、すべての不安がなくなることはありません。過剰な不安に振り回されずに日常生活を過ごすために、不安とのうまいつきあい方を見つけていくことが大切になります。
心が不安に支配されそうな時ほど、必要なのは安心感です。しかし、つい「不安がある」「不安をなんとかしなければ」と不安に興味を向けてしまいがちです。意識して、安心感に興味を持ってみましょう。
あなたはどんなモノ・どんなコトに安心を感じやすいでしょうか。また、あなたを信じてくれる人、あなたを認めてくれる人、あなたを応援してくれる人、あなたを受けとめてくれる人、あなたを大切に思ってくれる人は誰でしょうか。あなたに向けられた善意に気がつけると、あたたかな安心を感じられるでしょう。
意志の力を使って、不安よりも安心を、心配よりも信頼を、深刻さよりも真剣さを、大切にしていただければと思います。
(完)