心理学において「リーダーシップ」とは、何か問題にぶつかったときに欲しいものは自らが進んで差し出す、率先して行うことを言います。
今回は先輩、後輩の関係から、「リーダーシップ」についてのお話を進めていきたいと思います。
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【守られる側になりやすい新人時代】
4月の新年度を迎えて仕事が変わった方や、部署異動となって新しい業務についた方もおられるかもしれませんね。
最初の一ヶ月目は「がんばろう!」と熱の入っていた仕事も、3ヶ月目となるこの時期は色々と疲れが出始めてきて、ストレスを感じてきている頃かもしれません。
例えば、新しい職場に就いた頃、新人教育で一緒に働くことになった先輩がいたとします。
何もわからない私に、とても親切に気にかけてくれた先輩。
わからないことがあると、丁寧に教えてもらえて、いつでも頼りになる。
仕事にはある程度決められた内容があるものですよね。
いわゆる標準化(マニュアル化)された仕事内容を一通り教えおわって、先輩からも「そろそろ一人で頑張ってみようか」となるとおもいます。
「わからないことがあったら何でも聞いてね」
そう言ってくれるほど親切でいい人だと思ったのに、今では私のことはほったらかし、期待ばかりかけられて仕事は増えている気がする。
質問しても以前のような優しさはなく、冷たくて言葉はきつくなる・・・
そんなに早く仕事は覚えられないよ、もっと親切に教えてくれてもいいじゃない。
まだまだわからないことだらけなのだから、もっと優しくしてよ、そんなに期待をかけないでよ。
そのような思いがいっぱいになることもあるでしょう。
出てくるのはため息と文句ばかりで、先日まで親切でいい人だなって思っていた先輩に憎しみまで出てくるかもしれませんね。
このとき、あなたの心は、「先輩ならもっと私を気にかけて助けるべきだ」という、守られるべき立場になっているのかもしれません。
【先輩の立場で考えてみる】
何か葛藤があるとき、相手の立場になって物事を考えることでモヤモヤが和らぐことがあります。
教えていただいた先輩は何年もいるベテランの方かもしれませんし、昨年入社してきたばかりの方かもしれませんが、あなたを教育する傍ら、自分の仕事もこなしていかなければならいとしたら。
頭ではまだまだ細かいところを教えなくてはと思いながらも、自らの仕事に追われてしまうこともあるでしょう。
また、その細かいと思う部分はお互いにギャップもあります。
例えば、コピー用紙は使い切った人が補給する、というルールがあるとします。
新米のあなたには、どの紙をどれくらいまでセットしていいのかわからないこともあるかもしれませんが、慣れている人にとっては、「そんな当たり前のことで呼ばないで」と言ってしまうこともあるかもしれません。
それでも、わからないから聞いただけなのに!という思いは出るでしょうし、このようなことが何度も続けば、先輩に声をかけづらくなりますよね。
つい生意気な悪い態度をとってしまうこともあるかもしれません。
【自ら関心を持って関わる、というリーダーシップをとる】
ここで、「リーダーシップ」の視点を取り入れてはいかがでしょうか。
目上の人に対して私達はつい、何かを期待してやってもらう、守ってもらう側に回りがちですが、
仕事の立場上では先輩と後輩という立場でも、後輩であるあなたから先輩に関心を持って、率先して困っていることを助けていくというリーダーシップをとることもできます。
先輩は、仕事で困ってることはないだろうか、何か手伝えることはないだろうか。
と、私達の方から先輩を助けていっても良いのですね。
学生時代でも、前職においても、先輩という立場に息苦しさやしんどさを感じたことはないでしょうか。
背負う物が大きくて心がいっぱいいっぱいになってしまった経験はないでしょうか。
そんなとき、もっと助けて欲しいな、誰でもいいから手助けが欲しいな、と思ったことはないでしょうか。
その誰かを、今のあなたがしてもいいのですよね。
でも、このリーダーシップには抵抗感がつきもの。
過去に自分が先輩だった時、「後輩に手伝ってもらうなんて・・・」という抵抗があった度合いだけ、いまのあなたには、「後輩の私が手伝うなんておこがましい」という気持ちが表れたり、
今の先輩に憎さを持ったり悪態をついた度合いだけ、何で私が助けなきゃいけないのだと思ったり、こんな悪態ついた私が受け入れられるはずはないと感じます。
また、勇気をだして先輩に声をかけても、「今日はいいよ」とか「今はあなた自身のことに集中しなさい」などと言われるかもしれません。
でも、もしかしたら、「ありがとう、助かるよ」と受け入れてもらえるかもしれません。
声をかけてみなければわからないのですが、もし先輩に対して感じるモヤモヤに苦しかったり、最初の頃よりギクシャクしちゃったなぁ、と感じていたら、ぜひあなたから関わりのリーダーシップ。
「先輩、何か私にお手伝いできることはありますか?」と声をかけてみてくださいね。