パートナーシップでの「自立を超える」方法 〜アテにできない自分を超える〜

「自立を超える」方法は「アテにできない自分を超える」こと

今回取り上げた連載講座、パートナーシップの問題は概ね自立の問題を扱いました。「自立」とは、「いかに傷つかないように、失敗しないように生きるか」という態度のことを指します。心理的に意識的に「誰にも頼らず生きている状態」という意味です。私達が自立的な態度を示すことでパートナーシップの問題が発生することがあるわけですね。

パートナーシップに「自立」がもたらす問題

今回取り上げた連載講座、パートナーシップの問題は概ね自立の問題を扱いました。

「自立」とは、「いかに傷つかないように、失敗しないように生きるか」という態度のことを指します。

心理的に意識的に「誰にも頼らず生きている状態」という意味です。

例えば、心から自分以外何かを信じない、頼らないことで

期待を裏切られて失望しない
信頼を裏切られることで傷つかない
一人でいることで人との関わりでつらい思いをしない
結婚しなければ離婚の危機もない
誰の指図も受けなくてすむ

そう感じるわけです。

これら全て自分が失敗しない、傷つかない方法なのですね。

だから「自立している人」ほど、この自立にしがみつき、絶対に手放さない態度を取ります。

この状態を「自立を強める」といいます。自立を緩めると傷つきそうで怖いのです。

だから、好きな人に好きとか、委ねるとか、素直にできず、命令口調になったり、マウントを取るようなことをします。

この自立が究極まで強まり、一人で生きていけるけれども、誰とも心の交流がない、全く孤立したような状態を「超自立」と呼ぶこともあります。

この「超自立」になると、自分の価値観に合うもの以外のものは一切受け付けない状態になります。

さすがに超自立まで行くとわかりやすいですが、しかし私達が自立的な態度を示すことでパートナーシップの問題が発生することがあるわけですね。

「自立」がもたらす問題の多くは「自分をアテにできない」

恋愛初期のロマンス溢れる関係とは違い、自立がもたらすパートナーシップの関係性の多くは、関われない、愛し合えない状態です。

これを言い換えるなら「相手をアテにできない」となるのですが、実際は「自分のことをアテにできない」という問題が隠れているのです。

と、この話をすると「え?私は私の事をよく理解しているし、自分でなんでもできちゃうんですけど」なんて反応が返ってくるんですよね。

そういう意味での「自分をアテにできない」ではないのです。

なにか自分で行うことや、自分が生きていくことについてアテにできないと言いたいわけじゃないんです。

そうではなく、「パートナーとの関係で愛し合うこと」に関して「自分のことをアテにできない」と感じているのです。

実は、今回のシリーズでとりあげた「権威との葛藤」「競争」「エディプス・コンプレックス」がもたらす問題、その多くは

「大切な人との関わり合いの中で生じる、自分自身が愛されるにふさわしいと思えない問題」とも言いかえられます。

権威との葛藤であれば、権威(パワー)を受け入れられない自分を愛してくれる人はいるのだろうか?

競争であれば、相手に間違いだと言われるのが嫌だから、こんなに正しさばかりぶつけてしまう。

エディプス・コンプレックスであれば、罪悪感や無価値感の影響で「セカンドポジション」が心地よい。

これらは真に、自分自身の愛される価値を信じきれないときに起こるのです。

つまり、自立の問題は、自分から愛することよりも、自分自身が愛されることに対する疑いから生じている、とも言えるのですね。

自立を超えて愛し合う関係へ

自立を超えて愛し合う関係を、僕たちが学ぶ心理学では「相互依存の関係」と呼びます。

この相互依存に至るには、いくつかの自立超えのプロセスが待っていると言えるんです。

まずは、一人で頑張らないこと。相互依存は「相互に依存」する関係なので、一人で入ることは難しいのです。

その次が、相手の愛を信頼して委ねること。

特にパートナーシップでは自分が愛するように、相手も自分を愛するのだ、という部分に意識を向けて、相手の愛を受け取ることが求められます。

この相手の愛を受け取るということは、関わる、一人で生きること辞めるということを意味するという意味で、自立超えなのです。

が、長く自立的な態度を示してきた人にとっては、これがなかなか難しいと感じることもあるようです。

最初に書きましたけれど、自立とは「いかに傷つかないか」という態度のことですからね。

もしかしてパートナーに委ねて傷つくんじゃないか、もう愛されなくなるのではないか、といった不安があると、相手の愛を信頼できず、しかし信頼できないとは言えないので(信頼しているけれど受け取ることが怖いので)相手に更に与えたり、相手の愛にケチを付けてこちらの愛の価値を高めようとしたり、まぁいろんなことが起こるのです。

でももし、愛し合う二人が「本当にたどり着きたい関係」を見つめることができるなら、次のステップに進むことができます。

それこそ「愛し合い、信じ合い、支え合う」こと。

そこを目標にして共に歩むことがそれこそがパートナーシップがもたらす大きな幸せを感じることに繋がります。

(完)

心理学講座4回シリーズ/同シリーズ記事はこちら
  1. パートナーシップの問題と権威との葛藤
  2. パートナーシップの問題と競争の心理
  3. パートナシップの問題とエディプスコンプレックス
  4. パートナーシップでの「自立を超える」方法 〜アテにできない自分を超える〜
この記事を書いたカウンセラー

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年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。