自分の才能を幼少のころから見ていた人たちには、そのすごさがわからずにいることも・・・
こんばんは
神戸メンタルサービスの平です。
小学生のころから彼女はおしゃれが大好きな少女でした。
おかあさんの家庭雑誌やおねえさんのファッション誌が家にやってくると食い入るように見て、そして、中学生にもなると、お小遣いのすべてをかわいい服に注ぎ込むようになっていました。
ただ、彼女の気に入る服はちょっと変わっていて、民族衣装などの個性的なスタイルでした。
母親が中学生の娘に着させたいと思う清楚でかわいらしい服とはまったく違うので、おかあさんからは「お願いだから、そんな恥ずかしい格好はやめて」と泣いて頼まれる始末‥‥。
住んでいたのが保守的な地方都市だったこともあり、まわりの人からも“ちょっと変わった不思議な娘”と見られていました。
ですから、彼女にとって好きな服を着るということは、「親が悲しむこと」、「みんなから変な目で見られること」がセットになっていたのです。
その後、彼女は高校を卒業し、大学に進学しましたが、地方の国立大学だったので、それまでより多少は自由になったとはいえ、彼女はまだ浮いているような状態でした。
しかし、就職して東京に引っ越した途端、彼女を取り巻くそんな状況が一変したのです。
彼女が入社したのは金融関係のおカタい会社で、女性社員は制服で仕事をします。
「ということは、通勤時の私服はなにを着てもいいだろう」と思った彼女は、親の目の届かない東京で、より好きなファッションを楽しみはじめました。
すると、その私服が同僚たちの間で大評判になったわけです。
「なんと、おしゃれな!」
「もしかして、第一志望はアパレルだったんじゃない?」
おカタい会社ゆえ、オンとオフの切り替えが彼女ならではの素敵な魅力にまわりの人の目には映ったのです。
それにいちばんびっくりしたのは彼女でした。なにしろ、自分の好きな服を着たことで、ほめられたり、評価されたりしたことなど、これまでは一度もなかったのですから。
もっと言うなら、彼女は「自分は人に認められない」、「自分は人から評価されない」という思い込みをもっていました。
そんな彼女ですから、まわりに受け入れられるということは、うれしくもあり、恥ずかしくもある体験になったわけです。
西洋のことわざに、「預言者郷里に容れられず」というものがあります。
神の啓示を受けたような人も、幼少のころから見ていた人たちには、そのすごさがわからず、それほど高く評価されないというものですが、ちょっと似ているかもしれませんね。
その後、より自由になった彼女は、洋服のみならず、ライフスタイルや生活空間にも自分のオリジナルなセンスを存分に取り入れていくようになりました。
そして、現在のご主人になる男性と知り合います。
彼は理系の大学を出た、大手電機メーカーの研究職。仕事には熱心ですが、人生の楽しみについてはあまり考えたことがない人でした。
そんな彼に彼女が「もうちょっとおしゃれをすれば、あなたはもっとカッコよくなる」と言ったのが二人がつきあうようになったきっかけです。
そして、彼のファッションのコーディネートを手伝ったり、心豊かになれるような場所やお店、おいしいレストランに案内したりしたんですね。
その彼女のセンスによろこばされたり、驚かされたりした彼は、「この人と結婚したら、一生、楽しい日々が過ごせそうだな」と感じて猛アプローチをし、二人はゴールインするに至ったわけです。
お子さんも生まれ、幸せな毎日の中で、「自分には妻のような感性はないので、ライフ・プロデュースはすべて任せている」とおっしゃるご主人。
唯一の気がかりは、ご主人の実家に里帰りするときのお子さんの洋服が、少々カゲキであることとのことです。
来週の恋愛心理学もお楽しみに!!