自分オリジナルではない自己嫌悪があるのかもしれない
「もし自己嫌悪することに目的があるのだとしたら?」とあえて問いかけることで見えてくるものがあるのです。
◆自己嫌悪する目的:みんなとの繋がりを感じるため
繋がりを感じるために自己嫌悪する。信じ難いかもしれませんが「みんなと一緒だよ」と繋がりを感じたいがために、わざわざ自分を嫌うことがあるようです。
「自分とみんなが違う」ということを日本人はとくに怖がります。悪い方向に違うのではなく、良い方向に違うことも怖がるのです。「出る杭は打たれる」ということわざがあるように、自分だけ輝いたら攻撃されるに違いないと思うからです。すると、わざわざ自己嫌悪してまで「あなたと私は一緒だよ」と言いたくなる。
日本は謙遜文化なので「私、自分のことが大好きなの」などと言おうものなら、「あの人は相当自分に自信があるようだ」と言われかねないのです。日本人の多くは、自分が素晴らしいものだと見られることを避けるために、自己嫌悪を使うようなところがあります。
「あなたって恵まれているわね。美人だしスタイルもいいし、モテるでしょ?」なんて言われようものなら、「いえいえ、とんでもないです。こう見えて太っているし、痩せて見える洋服を探すのに必死なんですよ」なんて言いますし。
「あなたは幸せそうでいいですね。ご主人は稼ぎが良くてお金持ちだしね」なんて言われようものなら、「いえいえ、外からはそう見えるかもしれませんが、じつは大変なんですよ。みなさんが思うほどラクじゃないんですよ」なんて言ったりします。
自分の素晴らしいところや恵まれているところをわざわざ嫌ってまで、誰かとの繋がりを求めたいようなところも私たちにはあるのです。
◇みんなとの繋がりを感じたくて自己嫌悪する人へのアドバイス
自己嫌悪はときに嫉妬や攻撃を避けるための防衛として使われます。しかし、あなたはみんなとの繋がりを感じたい人なのですから、本来であれば「おかげさまで」という言葉が似合う人なのです。
おかげさまでと言うことができれば、相手の言葉を嫉妬ではなく、褒め言葉として受け取ることができますので、いい気分で繋がることができるでしょう。
◆自己嫌悪する目的:家族との繋がりを感じるため
まわりの人だけでなく、家族との繋がりを感じるために自己嫌悪することもあります。あなたの家族に自分をひどく嫌う人がいて、あなたもそれを真似て自分を嫌うようになったケースです。
とくに両親の自己嫌悪がひどかったような場合、子供は親をコピーして育つようなところがあります。たとえば、お母さんがいつも自分自身にダメ出しをしていた。すると、それを見て育つ子供は、「自分を悪く言うことは当たり前のことだ」と学んでしまうわけです。
すると、家以外の場所(学校など)に出たときに、「あれ?自分で自分を褒める人っているんだ」「自分を好きだって思う人がいるんだ」と驚くことすらあるのです。つまりは、自分を認めたり、労ったりするような気持ちがうまく育っていないわけです。
家族は感情が「共鳴」しやすいところがあります。共鳴は誰かの感情をまるで自分の感情のように感じることをいいますが、お母さんが悲しんでいれば、それを見ている子供もまるで自分のことのように悲しくなってしまうのです。
共鳴をして一緒に悲しくなることで、お母さんを理解してあげることができるし、そばにいてあげることもできる。お母さんをひとりぼっちにしないために、お母さんの感情をコピーするようなことを子供は平気でするのです。
つまりは、自分オリジナルではない自己嫌悪があるのかもしれないということです。これは心当たりがある人が多いかもしれませんので、チェックしてみてくださいね。
◇家族との繋がりを感じたくて自己嫌悪する人へのアドバイス
「ネガティブな感情のすべては誰かを理解するために使える」という心理学の言葉があります。あなたはいったい誰を理解したくて自己嫌悪をしたのでしょうか?
このタイプの人はネガティブな感情を引き受けることで、相手のことをラクにしてあげようとする傾向があります。しかし、そればかりをしていると少々しんどくなることも。
そんなときは「自分が感じたい感情はなんだろう?」と意識を自分に戻してきてください。もしそれが「嬉しい・楽しい・幸せ」などであるならば、それを感じることに集中してみてください。
あなたのまわりに楽しそうな人、笑顔の人、喜びに溢れている人はいませんか?あなたがもっている共鳴という才能をポジティブな感情に対しても使ってみてください。
まずはあなたが受け取りましょう。それこそがあなたが家族に届けたいものだからです。
(続)