長所と短所は紙一重、どう捉えるかはあなた次第

私たちは仕事でもプライベートでも、相手がどんな人であるかがわからないと不安になりやすいものです。
相手が話しやすい人、共感できる部分が多ければ少し安心するでしょうし、うまくやっていけそうな気持ちにもなります。
また、時には相手を「こんな人なんだ」と自分なりに相手の性格を見極めようとすることで、それに見合った対応をしようともします。

仕事でグループやプロジェクトのリーダーをまかされている立場の人であれば、部下やチームメンバーに対して、Aさんはこんな人、Bさんはこういう人と判断していることもあるでしょう。

相手のことを本当に理解してその人のことを判断しているのならいいのですが、時にはそれが無意識のうちに相手への決めつけとなっていることがあります。
人には長所も短所もあるのですが、私たちは自分の経験や価値観、考えが相手を判断する基準となっていて、実は自分が見たいように相手をみてしまっていることもあるのです。

たとえば、何か新しい提案があって、それをすぐにやろうとする人がいた場合、行動力があるとみるのか、先走りすぎ、せっかちと評するのか、相手をどう見るかで変わってきます。

熟考して決まった案であれば、スピーディに行動に移すのは行動力がある、迅速な対応ができる、と言われるかもしれませんが、後先をあまり考えてないような状況であれば、先走る、思慮がないと思われるかもしれません。

また、ミーティングをするといつも人の提案やアイデアに対して意見する人がいたとします。
それを「人の提案にケチをつける人、まとまることをいつも壊そうとする人」と感じるか、「いろんな視点から物事をみるから意見や疑問を持つ人」と捉えるのかで相手への評価は変わります。

なぜ評価が変わるのかと言えば、私たちは相手に対して、いつのまにかその相手のイメージ(こんな人)を持ってしまっているため、元々のイメージから相手を無意識に評価して決めつけてしまいやすくなるのです。
そのイメージは相手への好感度によって変わるものでもあります。

社内外で職位が高い人と自分の部下が初めて会う時、部下が気後れすることなく挨拶をし会話もスムーズに進めていたら、「こいつはものおじもせず度胸がある。」と思うでしょうか?
それとも、「相手は偉い方なんだからもう少し控えめにしろ。図々しい。」と思いますか?

あなたがその部下に好感(ポジティブな印象)を持っていれば前者になる可能性が高いですし、好感度が低ければ(ネガティブな印象)、相手のその態度は不快に感じる可能性が高くなるかもしれません。
そう考えると、私たちは「この人はこんな人」といつのまにか決めつけてしまったことを緩めていく必要があります。

「Cくんはいつも爪が甘い」とあなたが思っているのなら、物事の進め方を見ると「行き当たりばったり」に見え、いつのまにかCくんのことをそう決めつけてしまっているかもしれません。

そうすると、爪が甘くて何か問題が起き、たとえそれをCくんがうまくリカバリーしたとしても「君はいつも
行き当たりばったりだから、こんなことになる」と怒ることはあっても、「臨機応変に対応できる」能力に気づかなければその人の力を伸ばす、活かすことができなくなってしまいます。

自分がリーダーであるなら自分の思い描いたとおりスムーズに仕事が進むことは気分もよく寛容にもなれ、それは部下やチームの雰囲気も良くすることであり、みんなの意欲も湧いてきやすくなるものです。

反対に、「あいつはこういうやつだ」とネガティブな印象で相手をみていると、相手はその枠(決めつけ)から出にくくなってしまいます。

あるメンバーが、「この場合はどうなるのでしょう?」「こんなことが起きたとすれば、どう対処しましょうか?」と事細かに疑問、質問を投げかけてきても、あなたが「あいつは心配性だ、神経質だ」と思い込んで相手を見ていたとしたら、あなたは「何度もいろいろ聞いてきて面倒なヤツ」という態度をとってしまうこともあるでしょう。
そうすると、また怒られるかもとビクビクしながら上司に確認をとりにいくという態度になりがちです。
だけど、もしあなたがその部下を「いろいろシュミレーションが出来てリスクヘッジを考えれれる人」をいう目で見ているのなら、そのような態度にはならなでしょうし、あなた自身もイラつかなくて済むのだと思います。

相手の短所を長所に言い換えることは、同じものを別の角度から見てみることです。
時と場合によっては、長所だと思っていたことが短所、短所だと思っていたことが長所となることもあり得ます。

いつの間にか相手のことを〇〇な人と思ってしまうことは誰にでもあることです。
相手を自分が知っているタイプに分類することで相手との対応に余裕や安心感を持つため策であるのかもしれません。

大切なことは「〇〇な人」という決めつけや思い込みから抜け出して、「〇〇な人な時もあれば、そうでない時もあるかもしれない」という発想を持つことが大事なことではないでしょうか。

物事を多角的な視点で俯瞰してみることは仕事をするためには大切で必要なスキルです。
それと同様で、決めつけてしまっているとその人の本当の良さや懸念点が見えなくなってしまうことがあることを心に留めておきましょう。

あなたが上司やリーダの立場ではなくても、会社の先輩として後輩やメンバーのフォローや指導に関わる場合も同じです。

そして、自分自身についてもいつのまにか「私は〇〇な人」と決めつけていないかな?とも思ってみてくださいね。

短所としておもっていることを、もし長所に言い換えられるとしたら・・・そう考えてみてください。
あなたにも相手にも、意外な可能性が拡がるかもしれませんよ。

お読みいただきありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

自己否定、自己嫌悪、疎外感、自己肯定を得意とする。「その方の心に寄り添い、一番の味方でいること(安心感)」をモットーに、わかりやすい言葉で恋愛問題や対人・自己との関係を紐解き、改善・生き易さへと導いている。  東南アジア2カ国での生活経験もあり、国や文化の違いについても造詣が深い。