男嫌い

男が“私の敵”になっているとき、深層心理で何が起きているのか

こんばんは

神戸メンタルサービスの平です。

この日、ご相談におみえになった彼女はとても疑い深い女性でした。

“疑い”というと、多くのみなさんは外に向けられるものだと思うでしょうね。

しかし、心理的に見ると、“疑い”は自分に向けた「こんな私がモテるはずがない」、「こんな私が愛されるはずがない」という信念からつくられています。

このような信念をもっていると、私に近づいている男性や、好意を示す男性がいたとしても、「きっとなにかウラがあるに違いない」と思いがちです。

すると、そっけない態度や悪い態度をとってしまいますから、せっかく近づいてきた男性も、「なんだよ、こいつ?」と去っていきます。

そして、私は「ほーら、やっぱり」と安心するんですね。

‥‥このようなことを、彼女はもう10数年も繰り返してきましたので、30歳を過ぎたいまもパートナーができる気配がありません。

婚活する意欲も湧かなければ、「モテない私がマッチングアプリやお見合いサイトに登録してもお金のムダ」と思っています。

ときどき、母親がお見合いの話をもってくることもあるのですが、「この私を気に入ってくれる人などいない」と思っていますから、興味をもつことがありません。

彼女以外にも、このようなパターンをもつ人にはしばしばお会いしますが、こうなった原因としていちばんよくあるのは、大好きな人にふられた経験といえそうです。

この場合、いちばん好きな人に好かれることだけが、彼女にとっての一大事なので、その人以外に好かれても、まったく意味はないようです。

深層心理に「私が好きなのはあの人だけなので、それ以外の人にお近づきになられたら、あの人に申しわけない」という思いがあることもあるようです。

つまり、うんとわかりやすくいうならば、「この世界で男性と呼べるのは、昔、私が好きだったあの人だけ」となるわけです。

もう少し複雑な物語になると、父親のことが好きすぎて、「おとうさん以外の人を男と見られない」というケースもあります。

これは深層意識の中にあることが多く、実際の父親は単身赴任が長かったり、出張族であったりで、直接、接することが少なかったという親子関係で起こりがちです。

そして、「私がパパを好きでいるほど、パパは私のことが好きではない」という誤解があることも少なくありません。

「惚れてしまえば、それが弱みになる」という思いがあるので、ほんとうは大好きな人を好きにならないような努力をしていいて、その人が近づいてきたら拒絶することもしばしばあるようです。

そして、「あなたとふれあえないことで、どれぐらい私がつらい思いをしたか、思い知ればいいわ」と思っていたりするんですね。

そのため、このケースでは、男というものが“私の敵”になっていることもよくあります。

今回のご相談者の場合は、おにいさんが彼女にとっての憧れの人でした。

ずっと自慢の兄で、実際、カッコよくて、モテモテのおにいさんでした。まわりの女性たちからも、「おにいさんに彼女がいるか教えて」とか「お兄さんの好きなものはなあに?」とか、しょっちゅう聞かれるほどだったのです。

いつも、「あんなカッコいいおにいちゃんがいて、いいね!」と言われるのですが、「おにいちゃんは私にはあまり興味がないみたい」と感じていました。

そして、「自分が妹であることで、おにいちゃんに恥ずかしい思いをさせているのではないか?」という誤解を彼女はもっていて、そこから彼女のコンプレックスがつくられていたようなのです。

思春期のころはおにいさんに接すること自体が恥ずかしくてなかなかできなかったわけですが、おたがいに大人になるにつれて、いろいろな話ができるようになってきました。

そこで、彼女にこんな提案をしました。

「あなたのコンプレックスのことなども含めて、ぜんぶ、お兄ちゃんに話してみてごらん」

最初は強く抵抗した彼女でしたが、最後には勇気をもっておにいさんと話をしてみてくれました。

それによって、すべての誤解がほぐれ、彼女の男嫌いにも変化が出たたようなのです。

来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。