自立と依存の役割がはっきりと分かれた関係ではなかなかうまくいきません
こんばんは
神戸メンタルサービスの平です。
男女関係において、もっとも大切といえることの一つに“対等さ”があります。
多くの場合、夫婦や恋人どうしである二人の関係は“依存”と“自立”に分かれます。
依存側は「自分は愛してもらうべき」、「愛してもらって当たり前」と考えます。
ですから、愛してもらっていないと思うと、たちどころに不平不満が出てきます。親子関係における子どものような立場であるわけです。
一方、自立側は、親子関係でいう親のポジションにあたります。
主導権はもっていますが、いっぱいいっぱい愛してあげないと、いっぱいいっぱい文句を言われます。
といっても、自立側も人間ですから、依存心だってもっています。
「なぜ、自分ばかりが一方的に愛し、文句を言われつづけなければいけないんだ?」という不満も、当然、出てきたりするわけです。
しかし、その気持ちはなかなか依存側には伝わりません。
依存側には「自分は不完全で、大人になりきれていないので、愛せなくて当然だ」という思いがあるからです。
その状況がなかなか変わらないと、自立側はやがて依存的なパートナーから離れていきます。
自分が依存できるだれか、または、自分が与えたことにちゃんと感謝してくれるかわいげのあるだれかを求めて‥‥。
どちらかが一方的に愛し、もう一方は愛されるだけ‥‥、つまり、自立と依存の役割がはっきりと分かれた関係ではなかなかうまくいかないわけですね。
その点、対等な関係とは、おたがいの依存心をおたがいに満たし合えるような関係性をいいます。
一方通行の愛ではなく、与え合う関係であるわけです。
私の知り合いのあるカップルがまさにその一例で、“すべてが対等”という関係性を築いています。
二人は共働き夫婦として、それぞれが稼いでいると同時に、奥さまだけでなくご主人も家事を担当しています。
ご主人は一人暮らしの経験が長く、掃除・洗濯から料理までなんでも自分でやってきました。
結婚後は育児も含め、奥さまと同じぐらい家のことをこなし、ほんとうの意味で対等かつ平等な夫婦関係をつくっているのです。
もうひと組、やはり私の知り合いで、いまご紹介したご夫婦とはまた違う形での対等さを体現しているカップルがいます。
こちらのご主人は、家事も育児もまるでダメというタイプです。
しかし、仕事においてはキレキレで、会社でも彼の右に出るものはいないというほどのトップ・セールスマンなんですね。
奥さまは専業主婦ですが、彼一人で一般の共稼ぎ家庭を優にしのぐほどの稼ぎがあり、奥さまもそこには十分に満足しています。
そして、彼は自分が家のことをサポートできない代わりに、週2回、家政婦さんに来てもらったり、定期的にベビーシッターを頼んだりして、奥さまに自由な時間をプレゼントしています。
また、外では人一倍、リーダーシップを発揮しているご主人ですが、家にいるときはまったく逆の依存的な人となり、奥さまはまるで子どもが一人増えたかのように彼の面倒を見ています。
奥さまの口ぐせは、「この人は、私がいないとたぶん生きていけないの」。
経済力があり、社会では自立的タイプのご主人の手綱を家庭では奥さまがしっかりと握っており、二人で一つのチームとして完成しているわけです。
相手の依存の部分を、おたがいにどう上手に引き受けてあげるか。
これが対等さを実現するための大事なポイントといえるでしょう。
来週の恋愛心理学もお楽しみに!!
(完)