対人関係の好き嫌いの激しさと親密感・分離感の関係を解き明かす
対人関係の好き嫌いが激しくなってしまうのは、過去のハートブレイク、心の痛みが原因となっているようです。
なぜ過去の痛みが影響してしまうのか?そして、もっと楽な人間関係に進むために必要なアプローチも解説します
■誰にでも苦手な人はいる、けれど・・・
人間関係が不得意なことにお悩みを抱えてる方からこうしたお話を伺うことがあります。
「ちょっとしたことで『嫌われたんだ』と感じてしまい、すぐに関係を切ってしまう」
「なかなか人を好きにならないうえ、仲良くなるのに時間がかかってしまう」
「昔から人づきあいが苦手だったし、もしかして私、人間嫌いなのかな?」
このような対人関係での問題を感じてしまう主要な理由の一つに「苦手なタイプの人が多い」ことがあげられるかもしれません。
とは言え、誰にでも「あの人なんとなく苦手だなあ」と感じる相手がいるものです。皆さんにも近づきやすい人もいれば近づきにくい人もいるでしょうし、つきあいやすい人もいればつきあいにくい人もいるでしょう。
全員が同じ価値観を持っているわけではないですし、全員と気が合うというのもあり得ないですよね。
対人関係での好き嫌いは、私たちのほとんどが経験する感情だと言えます。
ただし、好き嫌いの激しさから人間関係がうまくいかずに、人と関わること自体が苦手になってまうこともあり得えます。
社会生活を送るうえでは、恋人、友人との関係、仕事の人間関係、地域社会との関係など、あらゆる場面で対人関係がついて回るだけに、好き嫌いの激しさが問題を作っているとしたら何とかしたいものです。
今回はそんな「苦手な人が多い」と感じる心理とその解決方法を解説していきます。
■好き嫌いの激しさと親密感・分離感との関係
対人関係における好き嫌いの激しさは、ほとんどの人が経験する感情ですが、この感情の波を【親密感】と【分離感】の関係から見ていきたいと思います。
【親密感】は、恋愛、パートナーシップ、対人関係でお互いの心の距離が近づいていくことによって感じられる感情のことです。
相手との間に感じる親密感が高まるほど、安心感や満たされた感じを得られますし、繋がりや喜びも感じられます。
ただし、相手との心理的な距離が近づいた分、お互いに相手からの感情の影響を強く受けるようになり、時には振り回されたり、期待外れな状況になる場合も出てきます。さらに相手に嫌われたり、関係が悪くなったり、繋がりが切れてしまうことで傷つく可能性もあり得ます。
たとえば、過去に失恋や離婚などの大きなハートブレイクを感じる経験をした。または周りから攻撃や拒絶をされたり、裏切られたような経験があったとしましょう。
すると、その痛みの大きさのあまり、人との関係から遠ざかって一人でいようとしたり、人間関係に期待するのをやめて周りとの関係性を自ら切り離して孤独を選ぶ、ということが起こりえます。
どうしてか?というと、心の痛みが大きすぎると自己嫌悪が強くなり、「自分が悪かったからこうなったんだ」「自分なんて愛される存在じゃないんだ」など、自分を責める【罪悪感】を抱えるようになりやすいからです。
すると、どうしても周りとの関係に対等さを感じられず、親密な関係をつくることが難しく感じられるんですね。
逆に人間関係に過剰に期待し過ぎて依存的になるケースもありますが、周りから避けられてしまい結果的に孤独になることも少なくありません。
このような、人から離れて誰とも繋がりを感じられない感情を【分離感】と言いますが、人はいつまでも一人孤独でいることには耐えられるものではありません。
誰かと心の通い合う関係を求めたくなるのは自然なことですからね。なので、もう一度繋がりを作ろうという方向へ心は動くのですが、その際にまた傷つくことを恐れる感情も同時に浮上してくるのです。
「この人は大丈夫だろうか?」「この人は優しそうだ。あの人はちょっと怖そうだな。」など無意識のうちに、傷つきが大きかった分だけ周りを厳しい基準で査定してしまうのです。
再び傷つく恐れを感じていればいるほど、少しの不安も否定的な部分もない人間関係を求めるので、なかなか周りとの距離を縮められなかったり、人を好きになるための安心感を感じるまでに時間がかかってしまうんですね
すると表面的には「苦手な人が多い」と感じてしまったり、周りからは対人関係の好き嫌いが激しいと受け取られるわけです。
■心の痛みを癒すともっと楽な関係が見えてくる
ここから抜け出すために必要なのは、自分自身への「許し」です。抱えてきた罪悪感を癒し、自己嫌悪を手放し、自分自身を愛することで「自己肯定感」を育てていく取り組みが有効になってきます。
誰かから愛されなかった痛みを癒す。その痛みの体験によって生じた「人間関係で傷つく恐れ」「愛されない悲しみ」を手放す。
自分が悪い存在だから愛されなかったと思い込んできた「罪悪感」を癒すことで自己嫌悪を手放せた分だけ、痛みと苦しみの中にいる自分自身の解放につながります。
人との関わりの中でまた傷つくことはあるかもしれません。だけど、そのままのあなたを愛してくれる人も必ずいます。
心の痛みを癒すという選択ができた時、きっとあなたの前にもっと楽で安心な対人関係の道が見えてくるはずですからね。
(完)