人間関係のパターンと5つの家族の役割

5つの家族の役割を理解して、人間関係のパターンを変える

人間関係で繰り返すパターンに、家族の中で担当してきた役割が影響する場合があります。
家族の役割は、ヒーロー・ヒロイン、殉教者、問題児、チャーマー、傍観者の5つ。各々どんな役割なのか、どんないい面があるのか、どんな問題が起きやすいのか、問題を乗り越えるカギは何かを解説していきます。

人間関係のパターンは、家族との関係性での「役割」にルーツがあるのかもしれません。

家族それぞれが、家族を「助けるため」「愛するため」に、無意識的に役割を持ちます。
5つの役割があり、ひとつの役割を継続して持つ場合もあれば、複数を掛け持つこともあります。
また途中で役割を交代することもあります。

今の生き方が苦しいなら、家族の役割の特徴を理解して、抜け出すヒントにしてくださいね。

●ヒーロー/ヒロイン/スターの役割

ヒーロー/ヒロイン/スターになることで、家族を救おうとするパターンです。

優等生・成功者になって家族の希望や幸せを作り出そうとします。真面目で努力家、負けず嫌い、自分に厳しい、正義感が強いといった傾向を持ちます。
リーダーシップの才能があり、人望や信頼を得ていて、存在感があり、カリスマ性を持って成功する人も多いです。

ただし、周囲から「できるのが当然」と思われがちで、「弱音が言えない」「できないことが認められない」「プレッシャーがストレス」といった悩みを抱えやすいです。
責任感のある完璧主義で、限界を超えてがんばって燃え尽きてしまったりもします。

この役割の人は「助けて」と言うのが苦手のようです。
一人でがんばらずに、助けを求めることが問題を乗り越えるカギになるでしょう。
また、人の期待を優先しがちなので、自分の素直な気持ちを認めることも大切になります。

●殉教者/犠牲者の役割

我慢することで家族を助けようとするパターンです。

包容力・安心感があり、愚痴聞き役や調整役もわりと得意で、大変な仕事を任されやすく、面倒見がいいサブリーダーなどで活躍します。

ただし、「私が我慢すれば」と我慢や犠牲をし、自分の感情・感覚が麻痺しやすいです。
縁の下の力持ちで、「私はいいから」と自分を後回しにする傾向があります。
「誰にもわかってもらえない」孤独感や「私の人生って何だろう」と虚しさを持つこともあります。

この役割の人が苦しみを背負うと、他の家族は表面的には救われます。
しかし、深層心理では、周囲に「自分のせいで、大変な思いをさせている」と罪悪感を生じさせたりもします。

「もう我慢しなくていい」「充分がんばった」と認めることが必要なようです。
「NOと言っていい」「無理しなくていい」「楽しんでいい」「ラクでいい」と自分に言ってあげましょう。
そして、「私がしたいこと・好きなことは何?」と自分の感情と感覚を取り戻していきましょう。

●問題児/スケープゴート/悪役の役割

問題を起こすことで、家族を助けようとするパターンです。

自分が悪役になることで、他の家族のマイナス面を隠したり、問題に対処する形で家族をつなぎとめたり、家族の援助者(親戚や先生や警察など)を招き入れたりします。

問題を起こす点では家族の厄介者になりがちですが、「問題を起こすことで家族を助けようとしていた」と理解すると、ヒーローにもなり得るでしょう。
嫌われ役を引き受ける強さ、パワフルな行動力、セクシャリティなどがあり、痛みがわかるリーダーや、人助けの素質があります。

ただし、本人は「家族を助けよう」と自覚して行動していないので、「自分は悪だ」と罪悪感を持ち、「自分なんて、どうせ無理」と絶望し、自己破壊的・暴力的な行動をする場合もあります。
人から否定された経験から、素直に人を信じにくく、反抗的な態度を取る傾向があります。

この役割の人は、本当にしたかったことに気がついてみましょう。
そして、自分のいい影響力を使うことを選びましょう。

●チャーマー/マスコット/ピエロの役割

可愛がられ、いじられ役を引き受けることで、家族を助けようとするパターンです。

笑われる、喜ばせる、楽しませるといったエンターティナーの才能があります。周囲からは社交的で愛されキャラでお気楽そうと思われますが、敏感に空気を読み、配慮しています。

ただし、無力な子供のままでいて、自立した大人になるのを止めてしまうことがあります。また、自分を下げた自虐的な言動を取りがちで、自信が持てなくなるようです。

この役割の人は、「無理に笑わなくていい」と自分につけた仮面を外してあげましょう。
自分が与えてきた精神的な貢献に気がつけると、自己肯定しやすくなるでしょう。

●傍観者/家なき子/迷子/孤児の役割

自分のためにエネルギーを使わせないことで、家族を救おうとするパターンです。

距離を置いて家族を眺め、客観的に問題点や解決方法を見出す才能があります。
また、豊かなイメージ力を持つ人も多いです。

ただし、コミュニケーションはあまり得意ではなくて、協調性がないと誤解されたり、自己内完結しやすかったりします。
「居場所がない」と分離感や孤独感を抱えがちです。

この役割の人は、自分から人に近づき、かかわることが重要です。
思いや考えを言葉にして伝えてみたら、もっとわかりあえる関係が築けるでしょう。

(完)

 

この記事を書いたカウンセラー

About Author

自己嫌悪セラピスト。心理学ワークショップ講師(東京・仙台) 「自分が嫌い」「自分はダメ」「私は愛されない」などの自己否定、ネガティブな感情・思考をリニューアルし、自信や才能・希望へと変換していく職人。生きづらい人の心が楽になる気づきや癒しを提供。テレビ・Web記事の取材にも多数協力。